シリア反体制勢力の動き(2014年8月10日)

シリア国民変革潮流代表のアンマール・カルビー氏(在イスタンブール)は、イダーア(8月10日付)に対し、ダーイシュ(イスラーム国)の台頭が、反体制勢力の汚職に乗じたものだと指摘、自由シリア軍参謀委員会やシリア革命反体制勢力国民連立を批判した。

カルビー氏は「自由シリア軍なるものは事実上存在していない。これは、シリア政府への軍事的抵抗運動に対して与えられた名前だったが、次第に原理主義的なジハード主義組織が台頭した。その結果、自由シリア軍という呼称は穏健なイスラーム主義組織を指すものに変化してしまった。参謀委員会やいわゆる連立は、シリア人ではない外国が作り出した幻想に過ぎない」と述べた。

Kull-na Shuraka', August 10, 2014

Kull-na Shuraka’, August 10, 2014

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反体制武装集団のラバート中隊司令官のイッザト・ムスリマーニー氏は、クッルナー・シュラカー(8月10日付)に対して、アジュナード・シャーム・イスラーム連合が行っているダマスカス県などに対する砲撃について「パワー・バランスに何らの変化を及ぼさないので…断固拒否する」と述べた。

ラバート中隊はダマスカス県、ダマスカス郊外県カラムーン地方、イドリブ県などで活動しているという。

Kull-na Shuraka', August 10, 2014

Kull-na Shuraka’, August 10, 2014

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『ハヤート』(8月11日付)は、シリア革命反体制勢力国民連立のハーディー・バフラ議長が、連立の総合委員会の委員を務める自由シリア参謀委員会メンバーの15人全員が9日に脱会を発表したのを受け、トルコのハタイ県レイハンル市で参謀委員会と会談し、脱会の撤回を説得したと報じた。

これを受け、自由シリア軍参謀委員会(最高軍事評議会)は、委員24人のうち19人が署名した声明を発表し、連立からの脱会を宣言した15人の解任を決定したと発表した。

解任された15人は、1. イブラーヒーム・ムハンマド・ハンムード氏、2. アフマド・ムハンマド・アリー・ジャクル氏、3. ハーリド・ヤフヤー・アリー氏、4. スライマーン・ファウワーズ・ウバイド氏、5. スィーバーン・ヒクマト・アフマド氏、6. アブドゥッサラーム・ナジーブ氏、7. アブドゥルムトリブ・アフマド・マルイー氏、8. アンマール・カッルート氏、9. フアード・アッルーシュ氏、10. カースィム・アフマド・シャイフ氏、11. ムハンマド・マハーミード氏、12. ムスタファー・ムハンマド・スフタ氏、13. マムドゥーフ・ラーカーン・タッハーン氏、14. ムハンナド・アブドゥッラフマーン・イーサー氏、そして15. すでに辞表を提出していたルワイユ・ミクダード氏。

なお声明によると、後任の15人は参謀委員会での協議により早急に選出されるという。

連立からの脱会した15人は、連立が反体制運動の意思決定を独占していると批判していた。

AFP, August 10, 2014、AP, August 10, 2014、ARA News, August 10, 2014、Champress, August 10, 2014、al-Hayat, August 11, 2014、al-Ida’a, August 10, 2014、Kull-na Shuraka’, August 10, 2014、al-Mada Press, August 10, 2014、Naharnet, August 10, 2014、NNA, August 10, 2014、Reuters, August 10, 2014、SANA, August 10, 2014、UPI, August 10, 2014などをもとに作成。

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