タウヒード旅団司令官が「ヌスラ戦線はテロ活動を行っていない」として同戦線に対する支持を表明、英国防省がダマスカス近郊で化学兵器が使用されたことを示す検出結果を得たと報じられる(2013年4月13日)

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国内の暴力

ダルアー県では、反体制活動家が軍の空爆によって破壊されたというダルアー市のウマリー・モスクのミナレットの映像をアップした。

またシリア人権監視団によると、ヒルバト・ガザーラ町など、ダマスカス県とダルアー県を結ぶ国際幹線道路沿いで、軍と反体制武装集団が交戦した。

一方、『サウラ』(4月14日付)によると、ダマスカス・ダルアー街道沿いのイーマーン・ガソリン・スタンド近くの民家に迫撃砲弾が着弾し、市民4人が死亡した。

また、ダルアー市内で、軍がシャームの民のヌスラ戦線の「シャリーア法廷」を攻撃し、外国人戦闘員ら複数の戦闘員を殲滅した。

さらに、スマード村などでも軍がシャームの民のヌスラ戦線と交戦し、外国人戦闘員など複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、スバイナ町のパレスチナ人難民キャンプ、ザバダーニー市、ムウダミーヤト・シャーム市、ザマルカー町などが軍の空爆を受けた。

一方、『サウラ』(4月14日付)によると、ウタイバ村、イバーダ市、ジャルバー市、アフマディーヤ市、スバイナ町、ザーキヤ町などで、軍が反体制武装集団に対する特殊作戦を行い、外国人戦闘員など複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、ジャウバル区が軍の空爆を受けた。

またカフルスーサ区に迫撃砲弾が着弾した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、バーブーリーン村で軍と反体制武装集団が交戦し、戦闘員12人が負傷、数十人が負傷した。

またスィフヤーン村でも戦闘があり、複数の戦闘員が負傷した。

このほか軍は、ヒーシュ村周辺、マアッラト・ヌウマーン市周辺、サラーキブ市、ビンニシュ市、サルマー町などを空爆・空爆し、サラーキブ市では女性・子供を含む12人が死亡した。

一方、『サウラ』(4月14日付)によると、アイン・バイダー村、マクバラ村、タッル・マンス村、マアッラト・ヌウマーン市、ラーム・ハムダーン市、マアッル・バリート市、ビンニシュ市、サルミーン市、マアッラトミスリーン市、サラーキブ市、ハッフ・サルジャ村、ヒルバト・マールティーン村、マジュダリヤー村などで、軍が反体制武装集団に対する特殊作戦を行い、シャームの民のヌスラ戦線メンバーなど複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またシャビーバ軍事基地襲撃を試みた武装集団を軍が撃退した。

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ラッカ県では、シリア人権監視団によると、タブカ市を軍が空爆した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル市のムワッザフィーン地区、ハウィーカ地区などで、軍が反体制武装集団と交戦した。

一方、『サウラ』(4月14日付)によると、ダイル・ザウル市のジュバイラ地区、マリーイーヤ村などで、軍が反体制武装集団に対する特殊作戦を行い、外国人戦闘員など複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市ハーリディーヤ地区などが砲撃を受けた。

またヒムス市クスール地区で、軍に拉致された男性の遺体が発見された。

一方、『サウラ』(4月14日付)によると、ヒムス市カラービース地区、ラスタン市、ダール・カビーラ村、アーバル市、ブワイダ市、ジュワーディーヤ市、ダブア市、カマーム市、ハイダリーヤ村、アルジューン市、ムーフ市、ラドワーニーヤ市、ガントゥー市、タルビーサ市、カルヤ・ヒスン市などで、軍が反体制武装集団と交戦し、外国人戦闘員など複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またレバノン領からタッルカラフ地方に潜入しようとした武装集団を軍が撃退した。

さらにタドムル市でもベル神殿やデデマン・ホテルに潜入・襲撃しようとした武装集団を軍が撃退した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団が、アレッポ市シャイフ・マクスード地区で軍が投下した化学兵器によって、子供2人、女性1人が死亡、16人がアフリーン市の病院に搬送されたと発表した。

同監視団によると、軍のヘリコプターが小型の爆弾2発を投下し、ガスが充満、死傷者が出たという。

一方、『サウラ』(4月14日付)によると、アレッポ市シャイフ・マクスード地区で、軍が反体制武装集団に対する特殊作戦を行い、戦闘員16人を殲滅し、拠点・装備を破壊した。

またウワイジャ地区、ハンダラート・キャンプ、アレッポ中央刑務所、アレッポ市シャイフ・サイード地区、シュカイイフ地区、サーフール地区、ライラムーン地区などで、軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ラタキア県では、『サウラ』(4月14日付)によると、ムズギラ村、サーキヤ・カルト村、ハーン・ジャウズ村、スーダー村、ドゥワイリカ村、グマーム村、ズワイク村、バイト・アワーン村、ナビー・ユーヌスなどで軍が反体制武装集団を攻撃し、シャームの民のヌスラ戦線メンバーなど複数の戦闘員を殺傷した。

反体制勢力の動き

タウヒード旅団司令官のアブドゥルカーディル・サーリフは、アラビーヤ(4月13日付)に対して、「シャームの民のヌスラ戦線が米国のテロ組織リストに加えられることを拒否してきたし、今も拒否している」としたうえで、同戦線はテロ活動を行っていないとの見解を示した。

ヌスラ戦線の戦闘員の「一部」が外国人だとしたうえで、「解放区」の自治を担うシャリーア委員会がヌスラ戦線のみによって運営されているのではなく、それ以外の集団も参画していると述べた。

また「我々は今、バッシャールや彼の体制と戦っていない。なぜならもう終わったからだ。我々は今、イランやヒズブッラーと戦っており、彼らがとくにヒムスやクサイルにいることを示す多くの証拠がある」と主張した。

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ダマスカス県・ダマスカス郊外県で活動する反体制武装集団5団体がビデオ声明を出し、「第1歩兵師団」を結成すると発表した。

第1歩兵師団を結成したのは、イスラームの楯旅団、ルクンッディーン旅団、グータの楯旅団、グータ殉教者旅団、ジャアファル・タイヤール旅団。

声明によると、師団は、自由シリア軍の指揮下で活動し、「アッラーの言葉を高め、体制を打倒する」ことをめざすという。

なお、4月初めには、ナースィル・サラーフッディーン大隊、イスラームの旗大隊、シャイフ・イスラーム・イブン・タイミーヤ大隊、ハサンとフサイン連隊、ダマスカス大隊、フカファー・ワ・サーリヒーン大隊、イマーム・シャーティビー大隊、スルターン・ムハンマド・ファーティフ機甲大隊、アンサール・クルアーン大隊が「預言者のシャーム旅団」を結成し、サイイダ・ザイナブ町および同市周辺で活動している。

また、サクバー殉教者大隊、ハッザ殉教者大隊、ウマル・ブン・アブドゥルアズィーズ大隊、バッラー・ブン・マーリク大隊、体制維持大隊、ウサーマ・ブン・ザイド大隊、ウマル・ブン・ハッターブ大隊、ムハージリーン・ワ・アンサール連隊は、「サイフ・ハック旅団」として東グータ地方で活動をしている。

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クッルナー・シュラカー(4月13日付)は、ダルアー市で武装闘争を行う自由シリア軍の各部隊が「3月18日革命庇護師団」を結成したと報じた。

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シリア民主フォーラムのミシェル・キールー代表はRT(4月13日付)に対して、「我々は政権移譲に関して、我々と交渉する意思がある体制内の人々と交渉する用意がある」と述べた。

また「西側諸国は混乱しており、シリア危機に関して確固たる政策を持っていない。彼らはヌスラ戦線などを口実として…決断を下していないからだ」と批判した。

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シリア革命調整連合は声明を出し、シャームの民のヌスラ戦線によるアイマン・ザワーヒリーへの忠誠宣言を拒否すると発表した。

諸外国の動き

『タイムズ』(4月13日付)は、英国防省の複数の消息筋の話として、ダマスカス近郊から化学生物研究課チームが秘密裏に持ち出した土壌のサンプルから、化学兵器が使用されたことを示す検出結果が出たと報じた。

同報道によると、軍と反体制武装集団のいずれが化学兵器を使用したのかは明らかでないという。

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ロシア外務省は、カタールなどがシリア革命反体制勢力国民連立にシリア代表としての地位を付与するための決議の国連総会での採択を準備していることに関して、「シリア危機における緊張と対立を激化させることを懸念する」としたうえで、「こうした決議を支持せず、また反対票を投じるだろう」との意思を示した。

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イタリアのマリオ・モンティ首相は声明を出し、シリアで誘拐・拉致されていたイタリア人記者4人が無事解放されたと発表した。

AFP, April 13, 2013、Akhbar al-Sharq, April 13, 2013、al-Hayat, April 14, 2013、Kull-na Shuraka’, April 13, 2013, April 14, 2013、Kurdonline,
April 13, 2013、Naharnet, April 13, 2013、Reuters, April 13, 2013、SANA, April
13, 2013、al-Thawra, April 14, 2013、The Times, April 13, 2013、UPI, April 13, 2013などをもとに作成。

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