シリア軍がイドリブ県、アレッポ県でアル=カーイダ系組織などに対して反転攻勢(2015年5月26日)

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が、アブー・ズフール航空基地周辺に位置する村々(ラスム・ナイヤース村、ラーイフィーヤ村、タラブ村、ブワイティーヤ村、ダブシーヤ村、アブー・ズフール町、ウンム・ジャリーン村、ハミーディーヤ村、バヤーイーヤ村、ブーヤドル村、タッル・サラムー村)に対して43回にわたって空爆を行う一方、同村々を占拠し、飛行場を2年にわたって包囲し続けるシャームの民のヌスラ戦線などジハード主義武装集団と交戦した。

スィラージュ・プレス(5月26日付)によると、シリア軍の空爆は「100回以上」に及んだという。

同監視団によると、シリア軍は空爆において「樽爆弾」も使用し、タッル・トゥーカーン村では空爆により子供1人が死亡したという。

一方、アルバイーン山一帯では、クッルナー・シュラカー(5月26日付)によると、シリア軍の攻撃をファトフ軍が撃退し、シリア軍側に10人の死者が出た。

他方、SANA(5月26日付)によると、シリア軍がフマイマート村、ダブシーヤ村、シュワイハ村、カルア・ガザール村、タッル・ワッズ村、タッル・サラムー村、マジャース村などアブー・ズフール・航空基地周辺一帯のシャームの民のヌスラ戦線拠点などに対して空爆を行い、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

このほか、シャーム自由人イスラーム運動は、ジスル・シュグール国立病院から脱出後、同地に近い農地に潜伏していたシリア軍のアブドゥルハーリク・マンスール准将を拘束したと発表、その写真を公開した。

反体制活動家のハーディー・アブドゥッラー氏によると、マンスール准将とともに、アリー・サルトゥーンを名乗る中尉も拘束されたという。

**

アレッポ県では、SANA(5月26日付)によると、アレッポ市旧市街、バーブ・ナスル地区、サーフール地区、シャイフ・サイード地区、バーブ・ハディード地区、マアスラーニーヤ地区、ハミーディーヤ地区、サミーリーヤ村、バンーン・フッス村、ブルジュ・アザーウィー村、バヤーヌーン町、アウラム・クブラー町、カフルハムラ村、フータ村、ハーン・トゥーマーン村で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

これに関して、ARA News(5月26日付)は、シリア軍がハナースィル市郊外のラシャーディーヤ村一帯でシャーム戦線などジハード主義武装集団と交戦の末、同地を奪還したと伝えた。

**

ヒムス県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が包囲を続けるヒムス市ワアル地区で深夜、爆発が発生、その直後、シリア軍とジハード主義武装集団が交戦した。

またタルビーサ市一帯でも両者が交戦し、ジハード主義武装集団戦闘員2人が死亡した。

一方、SANA(5月26日付)によると、タルビーサ市、ガントゥー市で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、シャームの民のヌスラ戦線の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

**

ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、ジャウバル区で、シリア軍、国防隊がシャームの民のヌスラ戦線などジハード主義武装集団と交戦した。

一方、『ハヤート』(5月27日付)は、複数の親政府および反体制消息筋からの情報として、ジャウバル区でのシリア軍、国防隊と、アル=カーイダ系組織のシャームの民のヌスラ戦線などジハード主義武装集団との戦闘で、共和国護衛隊のアブドゥッザイン・サクル大尉が戦死したと伝えた。

同報道によると、大佐の死を告知する張り紙が、2014年にアサド大統領が同地区を視察した際に撮影された写真付きでザバダーニー地区などで回付されたという。

サクル大佐は、ラタキア県ジャブラ市出身で、アサド大統領と「親密で溺愛されていた」という。

Kull-na Shuraka', May 26, 2015

Kull-na Shuraka’, May 26, 2015

Kull-na Shuraka', May 26, 2015

Kull-na Shuraka’, May 26, 2015

 

**

ダルアー県では、シリア人権監視団によると、シャームの民のヌスラ戦線などジハード主義者と共闘する自由シリア軍南部戦線などが占拠するブスル・ハリール市各所、インヒル市郊外のマトゥーク高地をシリア軍が砲撃した。

一方、SANA(5月26日付)によると、ダルアー市郵便局南部一帯、バジャービジャ地区など、カフル・ナースィジュ村、イブタア町、フィキーア村、インヒル市南部、ブルカ村、スラヤー村で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、シャームの民のヌスラ戦線の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

**

ラタキア県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がサルマー町郊外一帯を「樽爆弾」で空爆する一方、ナビー・ユーヌス峰山頂一帯でジハード主義武装集団と交戦した。

これに関して、シャーム自由人イスラーム運動はナビー・ユーヌス峰山頂での戦闘で、シリア軍兵士20人を殺害したと主張している。

AFP, May 26, 2015、AP, May 26, 2015、ARA News, May 26, 2015、Champress, May 26, 2015、al-Hayat, May 27, 2015,May 30, 2015、Iraqi News, May 26, 2015、Kull-na Shuraka’, May 26, 2015、May 29, 2015、al-Mada Press, May 26, 2015、Naharnet, May 26, 2015、NNA, May 26, 2015、Reuters, May 26, 2015、SANA, May 26, 2015、Siraj Press, May 26, 2015、UPI, May 26, 2015などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.