シリア軍、有志連合が、ダーイシュ(イスラーム国)の最大拠点ラッカ市への爆撃を通じて反転攻勢へ(2015年5月26日)

ラッカ県では、シリア人権監視団によると、有志連合が、ダーイシュ(イスラーム国)の最大拠点であるラッカ市一帯を7回にわたり空爆し、ダーイシュ戦闘員3人が死亡した。

これに関して、ARA News(5月26日付)は、有志連合が、ラッカ市の同一の標的に対して20分間で10回近く空爆を行っただけでなく、シリア軍戦闘機が有志連合による空爆の直後にラッカ市を空爆した、と伝えた。

一方、SANA(5月26日付)によると、シリア軍は、タブカ航空基地およびその一帯のダーイシュ(イスラーム国)拠点に対して集中的な空爆を行い、ダーイシュ戦闘員140人以上を殲滅した、と伝えた。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)が潜伏するダイル・ザウル市ジスル・スィヤーサ地区近郊をシリア軍が「樽爆弾」で空爆した。

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ハサカ県では、シリア人権監視団によると、有志連合に所属すると思われる戦闘機が、ハサカ市南東部郊外一帯、ラアス・アイン市南西部のマブルーカ村のダーイシュ(イスラーム国)拠点などを空爆、また西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊がダーイシュと交戦した。

ARA News(5月26日付)によると、有志連合はシャッダーディー市東部一帯のダーイシュ拠点などに対しても激しい空爆を行ったという。

またこの戦闘で人民防衛隊はマブルーカ村を制圧したという。

一方、SANA(5月26日付)によると、フール町一帯で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、ダーイシュ(イスラーム国)の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

このほか、ARA News(5月26日付)によると、今年2月にダーイシュ(イスラーム国)がタッル・タムル市一帯で誘拐した住民(アッシリア教徒)約200人のうち、老女2人が解放された。

他方、クッルナー・シュラカー(5月27日付)は、有志連合がラアス・アイン市近郊で、住民が乗った車を誤爆し、乗っていた一家4人が死亡した、と伝えた。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)によって制圧されたスフナ市各所をシリア軍が空爆した。

一方、SANA(5月26日付)によると、シリア軍がダーイシュ(イスラーム国)との戦闘の末、タドムル市郊外のシャーイル山(ハマー県)西部(シャーイル・ガス採掘所近郊、ジャズル・ガス採掘所北部)の複数カ所を制圧した。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、ヤルムーク・パレスチナ難民キャンプ一帯(大30通り一帯)で、シリア軍、国防隊、PFLP-GC民兵が、同キャンプを占拠するダーイシュ(イスラーム国)とシャームの民のヌスラ戦線と交戦、シリア軍が同地を「樽爆弾」などで空爆・砲撃した。

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スワイダー県では、SANA(5月26日付)によると、ブサイナ高地東部で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、ダーイシュ(イスラーム国)の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、アル=カーイダ系組織のシャームの民のヌスラ戦線が25日に奪還したサフム・ジャウラーン村一帯で、ヌスラ戦線などジハード主義武装集団が、ダーイシュ(イスラーム国)に忠誠を誓うヤルムーク殉教者旅団と交戦した。

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ARA News(5月26日付)は、イドリブ県を主な活動拠点としていた自由シリア軍第15旅団が、アレッポ県アイン・アラブ市一帯でのダーイシュ(イスラーム国)掃討戦で西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)主体のユーフラテスの火山合同作戦司令室に合流すると発表した、と伝えた。

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米中央軍(CENTCOM)は、有志連合が現地時間の25日8時から26日8時までの24時間で、シリア、イラク領内のダーイシュ(イスラーム国)拠点などに対して19回の空爆を行ったと発表した。

このうちシリア領内での空爆は7回におよび、ハサカ県のダーイシュに対して攻撃が行われたという。

AFP, May 26, 2015、AP, May 26, 2015、ARA News, May 26, 2015、Champress, May 26, 2015、al-Hayat, May 27, 2015、Iraqi News, May 26, 2015、Kull-na Shuraka’, May 26, 2015、May 27, 2015、al-Mada Press, May 26, 2015、Naharnet, May 26, 2015、NNA, May 26, 2015、Reuters, May 26, 2015、SANA, May 26, 2015、UPI, May 26, 2015などをもとに作成。

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