ロシア軍によるシリア領内での爆撃開始をめぐるロシア政府の動き(2015年9月30日)

ヴラジミール・プーチン大統領は、シリア領内のダーイシュやアル=カーイダ系組織へのロシア軍の空爆開始に関して「ロシアにジハード主義者たち(の脅威)が及ばないよう、シリアのジハード主義者を壊滅するために先手を打って行動する」と述べた。

プーチン大統領は「国際テロリズムと戦う唯一の正しい方法は、先制的に行動し、テロリストによって掌握されている場所で彼らと戦闘、壊滅し、彼らが我々のもとにまで到達することを待たないことだ」と述べた。

『ハヤート』(10月1日付)が伝えた。

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ロシアのセルゲイ・イワノフ大統領府長官は、シリア政府がロシア大統領に正式に「テロとの戦いのための軍事支援」を要請してきたとしたうえで、ロシア連邦議会がこの要請を審議するための臨時会を開催、全会一致で、プーチン大統領による国外での軍事力行使を承認したと発表した。

連邦議会の臨時会は非公式で行われ、数分で法案審議と採決を終了したという。

イワノフ大統領府長官はまた、地上軍派遣の是非に関して、「地上部隊の派遣は検討されていない」と述べ、否定した。

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『ハヤート』(10月1日付)によると、ロシア大統領府のドミトリー・ペスコフ報道官は、ロシア軍によるシリア領内での空爆に関して、第三国領内での武力行使は、国連安保理決議ないしはその国の正統な政府の要請に基づく必要があるとしたうえで、「ロシアは、シリア領内で唯一合法的に武力行使を行う国である」と述べた。

なお『ハヤート』(10月1日付)によると、ロシア軍による空爆開始と合わせて、ロシア外務省はイスラエルにその旨通知、またミハイル・ボグダノフ外務副大臣によると、数日中にすべての関係各国に空爆開始を通知するという。

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『ハヤート』(10月1日付)は、ロシア正教会が、ロシア軍によるシリア領内でのダーイシュ(イスラーム国)、アル=カーイダ系組織への空爆を「聖なる戦い」と評し、支持を表明したと伝えた。

AFP, September 30, 2015、AP, September 30, 2015、ARA News, September 30, 2015、Champress, September 30, 2015、al-Hayat, October 1, 2015、Iraqi News, September 30, 2015、Kull-na Shuraka’, September 30, 2015、al-Mada Press, September 30, 2015、Naharnet, September 30, 2015、NNA, September 30, 2015、Reuters, September 30, 2015、SANA, September 30, 2015、UPI, September 30, 2015などをもとに作成。

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