オバマ米大統領「「穏健な反体制派」への軍事教練の失敗は、彼らが「樽爆弾」の攻撃を受けており、ダーイシュとの戦闘に集中できないため」(2015年10月2日)

バラク・オバマ米大統領は記者会見で、ロシアがダーイシュ(イスラーム国)と「イスラーム教スンナ派の反体制派」を区別せずに空爆していると述べた。

また「穏健な反体制派」への軍事教練の失敗に関して、彼らが「樽爆弾」の攻撃を受けているためにダーイシュとの戦闘に集中できないと主張した。

記者会見でのオバマ米大統領の主な発言は以下の通り。

「何よりもまず、シリアで何が起きているのか…を理解しよう。アサドに対する平和的デモが内戦に発展したのは、アサドが想像を絶する蛮行で抗議行動に対峙したからだ。だから、これは米国とシリアの当事者の間の紛争ではない。これはシリア国民と野蛮で非常な独裁者の間の紛争だ」。

「アサドが未だに権力の座にいるのは、ロシアとイランが支援してきたからだ…。彼ら(ロシア)は、圧倒的なシリア国民が拒んでいる体制をてこ入れしている…。だから、プーチン大統領との会談で、私ははっきりと、シリアの問題を解決する唯一の方法が政治的移行であり…、それを実現する唯一の方法が、アサドを移行させることだと言った…。これは私が行った判断ではなく、圧倒的大多数のシリア人が下した判断だ。だから、私は、プーチン大統領がアサドやイランを仲介して、政治的移行を推し進めるのであれば、彼とともに行動する用意があると彼に伝えた」。

「私はまた彼に、米国とロシア、そして全世界がISIL(ダーイシュ(イスラーム国)を殲滅するという点で利害が一致していると言った。しかし、プーチン大統領が何と言おうが、非常に明白なのは、彼はISILと、アサドの退陣を求める穏健なスンナ派反体制勢力をしていない。彼ら(ロシア)にとって、彼らはすべてテロリストだというのだ」。

「シリア国内の反体制組織への支援に関して、米国は軍事的解決を押しつけるつもりはないと明確の述べてきた…。しかしまた、我々はシリアの穏健な反体制派と関わっている…。なぜなら、シリアはいずれ倒れ、またアサド体制は倒れたとき、我々には、共にその破片を拾い集める…ことができる誰が必要だからだ…。それゆえに、我々は今後も彼らを支援し続ける」。

「私は…国防省による穏健な反体制派の教練プログラムが意図した通りには進んでいないと最初に認めた人間だ。国防省を同じことを言ったかと思う。その理由について率直に言うと、我々は彼らがISILに集中するよう試みたが、我々が得た応えは、「我々は毎日、シリア政府の樽爆弾攻撃を受けているのに、どうやってISILに集中できるというのか?」というものだった」。

「我々は、シリアを米国とロシアの代理戦争の場にしたくはない。我々にとって、それは誤った戦略だ。これは、ロシア、イラン、そしてアサドが大多数のシリア国民に対して行っている戦いだ。我々の戦いはISILに対するものであり、我々の戦いはすべての国際社会とともに行われており、流血、難民危機を終わらせるためのものである」。

AFP, October 2, 2015、AP, October 2, 2015、ARA News, October 2, 2015、Champress, October 2, 2015、al-Hayat, October 3, 2015、Iraqi News, October 2, 2015、Kull-na Shuraka’, October 2, 2015、al-Mada Press, October 2, 2015、Naharnet, October 2, 2015、NNA, October 2, 2015、Reuters, October 2, 2015、SANA, October 2, 2015、UPI, October 2, 2015などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.