「ダーイシュ(イスラーム国)との戦い」の名のもとにPKKへの攻撃を続けるトルコのエルドアン大統領は、ロシアがダーイシュではなく反体制派を攻撃していると批判、シリア爆撃の再考を求める(2015年10月3日)

トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領はカタールの衛星テレビ局ジャズィーラ・チャンネル(10月3日付)に対して、ロシアのヴラジミール・プーチン大統領はシリア領内でのロシア軍による空爆によって民間人数十人が犠牲になっていると断じ、空爆を再検討すべきだと主張した。

エルドアン大統領は、ロシア政府が空爆によってダーイシュ(イスラーム国)を狙うことをトルコ政府に対して確約したにもかかわらず、「ロシアの空爆は、アサドと戦うシリアの反体制派を標的としており、ロシア軍戦闘機はダーイシュ拠点を攻撃していない」と述べ、「この問題で悲しみの念を表明したい…。友好国であるロシアに対して、現在行っている措置(空爆)の再検討を求めたい」と述べた。

またエルドアン大統領は「トルコは、シリア領内でのロシアの空爆によって65人が死亡したとの情報を得ている…。彼ら(ロシア)は民間人の死者が出ていることから目を反らしている」と付言した。

さらに、シリア情勢に関しては「アサドが(権力の座に)とどまったかたちで、シリアに平和を構築することは不可能だ」と改めて強調した。

なお、トルコ政府は8月になって、ダーイシュとの「テロとの戦い」を行うとの姿勢を示したが、ダーイシュに対する攻撃はほとんど行っておらず、実際にはイラク、トルコ領内のPKK(クルディスタン労働者党)に対する攻撃を激化させ、民間人に死傷者が出ている。

AFP, October 3, 2015、Aljazeera.net, October 3, 2015、AP, October 3, 2015、ARA News, October 3, 2015、Champress, October 3, 2015、al-Hayat, October 4, 2015、Iraqi News, October 3, 2015、Kull-na Shuraka’, October 3, 2015、al-Mada Press, October 3, 2015、Naharnet, October 3, 2015、NNA, October 3, 2015、Reuters, October 3, 2015、SANA, October 3, 2015、UPI, October 3, 2015などをもとに作成。

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