ロシア軍がタドムル市一帯(ヒムス県)、ダマスカス郊外県を初めて爆撃(2015年10月6日)

ロシア国防省のイゴール・コナシェンコフ報道官は、過去24時間でロシア軍戦闘機が、ヒムス県タドムル市一帯、ダマスカス郊外県、アレッポ県、イドリブ県、ダイル・ザウル県、ラタキア県の12カ所を20回にわたって空爆した。

またSANA(10月6日付)は、シリア軍消息筋の話として、シリア軍の支援を受けたロシア軍戦闘機による連日の空爆で甚大な被害を受けたダーイシュ(イスラーム国)、アル=カーイダ系組織のシャームの民のヌスラ戦線、ヤルムーク軍の戦闘員3,000人以上が、シリア領内の支配地域からトルコ、ヨルダンに逃亡している、と伝えた。

SANA, October 6, 2015

SANA, October 6, 2015

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ヒムス県では、SANA(10月6日付)によると、シリア軍の支援を受けたロシア軍戦闘機が、UNESCO世界文化遺産に指定されているパルミラ遺跡を擁するタドムル市一帯を空爆し、ダーイシュ(イスラーム国)の車輌20輌、武器庫2カ所、ロケット弾発射拠点3カ所を破壊した。

タドムル市一帯への空爆は、9月末に米国が初めて実行していたが、ロシア軍による空爆が行われるのはこれが初めて。

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アレッポ県では、SANA(10月6日付)によると、シリア軍の支援を受けたロシア軍戦闘機が、ダイル・ハーフィル市、バーブ市を空爆し、ダーイシュ(イスラーム国)の拠点を破壊した。

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イドリブ県では、ロシア国防省によると、ロシア軍は、戦闘機2機を投入し、カフル・ウワイド村にあるダーイシュの前線キャンプを破壊した。

コナシェンコフ報道官によると、この前線キャンプでは、外国語で無線連絡が交わされており、このことは、外国人戦闘員の教練基地として使用されていたことを示すものだという。

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ダイル・ザウル県では、ロシア国防省によると、ロシア軍戦闘機複数機が、ダイル・ザウル市近郊のダーイシュ司令部2カ所を地中貫通爆弾(バンカーバスター)を使用して破壊した。

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ダマスカス郊外県では、ロシア国防省によると、ロシア軍戦闘機複数機が、グータ地方のダーイシュの爆弾製造工場、車輌を空爆、破壊した。

ロシア軍がダマスカス郊外県で空爆を行うのはこれが初めてだが、空爆が行われた正確な場所は不明。

なおグータ地方一帯では、ダマスカス県南部を除くと、アル=カーイダ系組織のヌスラ戦線、シャーム自由人イスラーム運動、そしてイスラーム軍などが優勢で、ダーイシュの活動が確認されることは少ない。

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https://youtu.be/Y3gx4y7r_yw

https://youtu.be/HktgSG6BCIA

https://youtu.be/qoJuPy9XVoQ

AFP, October 6, 2015、AP, October 6, 2015、ARA News, October 6, 2015、Champress, October 6, 2015、al-Hayat, October 7, 2015、Iraqi News, October 6, 2015、Kull-na Shuraka’, October 6, 2015、al-Mada Press, October 6, 2015、Naharnet, October 6, 2015、NNA, October 6, 2015、Reuters, October 6, 2015、SANA, October 6, 2015、UPI, October 6, 2015などをもとに作成。

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