ロシア海軍がカスピ海からシリア領内のダーイシュ(イスラーム国)拠点などを巡航ミサイルで攻撃(2015年10月7日)

SANA(10月7日付)などは、シリア軍消息筋の情報として、カスピ海に配備されているロシア海軍のフリゲート艦などから巡航ミサイル26発を発射し、約1,500キロ離れたラッカ県、アレッポ県、イドリブ県のダーイシュ(イスラーム国)拠点11カ所を攻撃したと伝えた。

この攻撃で、爆弾製造工場1棟、司令本部複数カ所、武器弾薬燃料庫複数棟、教練キャンプ複数カ所が破壊されたという。

ロシア国防省が公開した映像などによると、巡航ミサイルは、イラン、イラクの領空を通過し、シリア北部3県に着弾した。

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ロシアのヴラジミール・プーチン大統領は、セルゲイ・ショイグ国防大臣と会談し、カスピ海に配備されているフリゲート艦からのシリア北部に対する巡航ミサイルでの攻撃の報告を受けた。

会談で、ショイグ国防大臣は、攻撃によってすべての標的を破壊し、民間人に死傷者はなかったと報告したほか、9月30日以降のロシア軍が112カ所への空爆を実施したと報告、今後空爆をさらに増加させると伝えた。

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ロシア国防省のイゴール・コナシェンコフ報道官は、ロシア軍によるダーイシュ(イスラーム国)などの拠点への空爆を受け、ダーイシュが都市部に武器を移動させ、攻撃を回避しようとしていると述べた。

コナシェンコフ報道官によると、ダーイシュは「ロシア軍機が攻撃しないということを承知のうえで、走行車輌をモスクの近くに展開させている」のだという。

SANA, October 7, 2015

SANA, October 7, 2015

SANA, October 7, 2015

SANA, October 7, 2015

SANA, October 7, 2015

SANA, October 7, 2015

SANA, October 7, 2015

SANA, October 7, 2015

SANA, October 7, 2015

SANA, October 7, 2015

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一方、シリア人権監視団は、ロシア軍がシリア領内(ハマー県、イドリブ県)で少なくと37回にわたって空爆を実施したと発表した。

空爆は、ハマー県のラターミナ町、カフルヌブーダ町、カフルズィーター市、ラトミーン村に対して23回、イドリブ県のバーラ村近郊、ハーン・シャイフ市、マアッラト・ハルマ村、フバイト村、サラーキブ市近郊、マアッラト・ヌウマーン市、バービーラー村、イフスィム村、マルイヤーン村に対して14回にわたって行われたという。

ハマー県カフルズィーター市に対するロシア軍の空爆では児童1人が死亡し、イドリブ県バービーラー村での空爆でも女性、子供を含む4人が死亡したという。

またクッルナー・シュラカー(10月7日付)は、マアーッズ・シャーミーを名乗る活動家の情報(https://youtu.be/mw1tJpddnfg)として、ロシア軍の空爆はマアッラト・ヌウマーン市郊外のムアスラーン村にも及び、住民9人が死亡、12人が負傷したと伝えた。

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アレッポ県では、SANA(10月7日付)によると、シリア軍の支援を受けたロシア軍戦闘機が、ダイル・ハーフィル市、バーブ市でダーイシュ(イスラーム国)の拠点に対して正確な空爆を行い、複数の戦闘員を殺害した。

AFP, October 7, 2015、AP, October 7, 2015、ARA News, October 7, 2015、Champress, October 7, 2015、al-Hayat, October 8, 2015、Iraqi News, October 7, 2015、Kull-na Shuraka’, October 7, 2015、al-Mada Press, October 7, 2015、Naharnet, October 7, 2015、NNA, October 7, 2015、Reuters, October 7, 2015、SANA, October 7, 2015、UPI, October 7, 2015などをもとに作成。

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