デミストゥラ・シリア問題担当国連アラブ連盟共同特別代表は、シリア政府、反体制派双方の拒否の姿勢に直面するなか、米・ロシア高官と会談(2016年1月13日)

サウジアラビアが支援するイスラーム軍をはじめとする32の武装集団は共同声明を出し、「外国勢力が人道問題に乗じて我々に圧力をかけ、政府に有利なかたちでの政治的譲歩を強いており…、我々を無条件で交渉のテーブルに着かせようとしている」と非難、「一部の国が我々を犠牲にして取引を行うことを拒否する」と表明し、ジュネーブ3会議の開催に異議を唱えた。

共同声明を出したのは以下の組織:イスラーム軍、ダルアー諸部隊、アサーラ・ワ・タンミヤ戦線、スルターン・ムラード旅団、サラーフッディーン旅団、第1中隊、ムジャーヒディーン具、第16歩兵師団、ヤルムーク軍、ラフマーン軍団、アンサール・イスラーム戦線、ヒムス解放運動、中部師団、イスラーム覚醒大隊、シャーム革命家大隊、シャーム戦線、タウヒード軍、北部師団、シャーム戦線、「命じられるがまま進め」連合、フルカーン旅団、ナスル軍、ヒムス軍団、アンサール・シャーム大隊、第10旅団、第1沿岸師団、自由旅団、イッザ軍、第2沿岸師団、ザーウィヤ山の鷹旅団、第13師団、ムウタスィム・ビッラー旅団、アジュナード・シャーム・イスラーム連合。

Kull-na Shuraka', January 14, 2016

Kull-na Shuraka’, January 14, 2016

同じく、サウジアラビアのリヤドで活動する最高交渉委員会(リヤード・ヒジャーブ元首相が委員長)も声明を出し、「国連安保理決議第2254号の人道支援に関する第12、13項が実施されなければ、交渉プロセスに入ることを拒否する」と発表した。

国連安保理決議第2254号の第12、13項は以下の通り規定している:

12. Calls on the parties to immediately allow humanitarian agencies rapid, safe and unhindered access throughout Syria by most direct routes, allow immediate, humanitarian assistance to reach all people in need, in particular in all besieged and hard-to-reach areas, release any arbitrarily detained persons, particularly women and children, calls on ISSG states to use their influence immediately to these ends, and demands the full implementation of resolutions 2139 (2014), 2165 (2014), 2191 (2014) and any other applicable resolutions;

“13. Demands that all parties immediately cease any attacks against civilians and civilian objects as such, including attacks against medical facilities and personnel, and any indiscriminate use of weapons, including through shelling and aerial bombardment, welcomes the commitment by the ISSG to press the parties in this regard, and further demands that all parties immediately comply with their obligations under international law, including international humanitarian law and international human rights law as applicable;

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『ハヤート』(12月14日付)によると、8日のダマスカスでのスタファン・デミストゥラ・シリア問題担当国連アラブ連盟共同特別代表とワリード・ムアッリム外務在外居住者大臣との会談で、ムアッリム外務在外居住者大臣は、ジュネーブ3会議開始前に、国連安保理決議2254号の第12、13項を履行することを拒否するとともに、会議での議題についても、「外国が干渉せず、シリア人が交渉での議題を決めねばならない」と主張し、デミストゥラ氏の調整によって事前に確定することを拒否したという。

なお、ムアッリム外務在外居住者大臣は、この会談で、ジュネーブ3会議に参加する政府代表団の使命をデミストゥラ氏に開示する一方、反体制派統一代表団のメンバーの名簿を開示することを要請、また「テロ組織と交渉しない」との姿勢を明示し、合わせてテロ組織のリストをジュネーブ3会議開始前に開示するよう求めたという。

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スタファン・デミストゥラ・シリア問題担当国連アラブ連盟共同特別代表はスイスのジュネーブで、米・ロシア高官と会談、またその後国連安保理常任理事国大使とも会談し、シリア情勢、とりわけ25日に開催予定のジュネーブ3会議について意見を交わした。

デミストゥラ氏の報道官によると、米・ロシア高官との会談は米国によって準備され、デミストゥラ氏、ロシアのゲンナージー・ガティロフ外務次官、アン・パターソン米国務次官補が出席した。


AFP, January 13, 2016、AP, January 13, 2016、ARA News, January 13, 2016、Champress, January 13, 2016、al-Hayat, January 14, 2016、Iraqi News, January 13, 2016、Kull-na Shuraka’, January 13, 2016、al-Mada Press, January 13, 2016、Naharnet, January 13, 2016、NNA, January 13, 2016、Reuters, January 13, 2016、SANA, January 13, 2016、UPI, January 13, 2016などをもとに作成。

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