ヌスラ戦線はアル=カーイダへの固執し、アル=カーイダへの忠誠を拒否するアル=カーイダ系組織との統合の試みは挫折(2016年1月31日)

ロイター通信(1月31日付)は、複数の反体制派消息筋の話として、アル=カーイダ系組織のシャームの民のヌスラ戦線は、シャーム自由人イスラーム運動などそのほかの反体制武装集団との統合に向けた会合を行ったが、決裂したと伝えた。

複数の消息筋によると、会合は10日ほど前にヌスラ戦線、シャーム自由人イスラーム運動、そしてイドリブ県で活動するその他のファトフ軍構成組織などの幹部らによって開かれたという。

一部の武装集団は、統合によってダーイシュ(イスラーム国)への優位を印象づけ、軍事的支援増をもたらすと考えていた。

ヌスラ戦線の最高指導者と目されるアブー・ムハンマド・ジャウラーニー氏は、統合が実現した場合、組織の改称にも応じるとの姿勢を示したもの、アル=カーイダとの関係を絶つことを拒否し、統合の試みは頓挫したという。

なお、シャーム自由人イスラーム運動は、アル=カーイダの元メンバーらが主導して結成された組織だが、アル=カーイダへの忠誠を拒否、サウジアラビアやトルコの後押しを受けてリヤド最高交渉委員会に参加している。

イドリブ県ハーリム市、サルキーン市で25日に発生したヌスラ戦線とシャーム自由人イスラーム運動の衝突は、この交渉の決裂を受けたものだという。

AFP, January 31, 2016、AP, January 31, 2016、ARA News, January 31, 2016、Champress, January 31, 2016、al-Hayat, February 1, 2016、Iraqi News, January 31, 2016、Kull-na Shuraka’, January 31, 2016、al-Mada Press, January 31, 2016、Naharnet, January 31, 2016、NNA, January 31, 2016、Reuters, January 31, 2016、SANA, January 31, 2016、UPI, January 31, 2016などをもとに作成。

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