スタファン・デミストゥラ・シリア問題担当国連アラブ連盟共同特別代表とシリア政府の個別会談が延期される一方、最高交渉委員会の代表団はデミストゥラ・シリア問題担当国連アラブ連盟共同特別代表との会談で「人道面での進展」を要求(2016年2月1日)

2月1日に予定されていたスタファン・デミストゥラ・シリア問題担当国連アラブ連盟共同特別代表とシリア政府の代表との個別会談が延期された。

会談は2日に行われる見込み。

『ハヤート』(2月2日付)によると、延期の理由は不明だが、複数の国連消息筋によると、リヤド最高交渉委員会の代表団に、イスラーム軍のムハンマド・アッルーシュ氏が交渉責任者として、またアスアド・ズウビー准将が団長として残留していることに対して、シリア政府側が慎重な姿勢を示していることが背景にあるという。

シリア政府代表団との会談はシリア時間で12時、反体制派代表団との会談は18時に開催される予定だった。

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一方、デミストゥラ共同特別代表は、31日晩にスイスのジュネーブに到着したリヤド最高交渉委員会の代表団と会談した。

『ハヤート』(2月2日付)などによると、会談でリヤド最高交渉委員会の代表団は、シリア政府との間接交渉に入る前に、人道面での進展を求めたという。

交渉団の団長を務めるアスアド・ズウビー准将によると、デミストゥラ共同特別代表との会談では「3点、すなわちロシア軍による革命家の(支配)地域への攻撃停止、シリア軍および民兵によって包囲されている地域の封鎖解除と物資配給、女性や子供などの逮捕者の釈放」のみが話し合われたという。

Naharnet, February 1, 2016

Naharnet, February 1, 2016

『ハヤート』(2月3日付)によると、リヤド最高交渉委員会の報道官を務めるサーリム・ムスラト氏は「我々にとって三つの問題が重要だ。第1に都市の包囲解除、第2に逮捕者釈放、第3にロシア軍機そして政権による民間人への攻撃停止」と述べ、これらの問題にシリア政府が対処することが交渉の前提条件になるとの姿勢を改めて示した。

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リヤド最高交渉委員会の代表団とデミストゥラ共同特別代表の会談の数時間後、国連は、シリア政府がダマスカス郊外県マダーヤー町への新たな人道支援物資の搬入に同意したと発表した。

AFP, February 1, 2016、AP, February 1, 2016、ARA News, February 1, 2016、Champress, February 1, 2016、al-Hayat, February 2, 2016、February 3, 2016、Iraqi News, February 1, 2016、Kull-na Shuraka’, February 1, 2016、al-Mada Press, February 1, 2016、Naharnet, February 1, 2016、NNA, February 1, 2016、Reuters, February 1, 2016、SANA, February 1, 2016、UPI, February 1, 2016などをもとに作成。

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