ロシアのラヴロフ外務大臣はモスクワでの反体制派代表との会談直前にジュネーブ4会議の延期を発表(2017年1月27日)

ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣はモスクワでシリアの反体制派の代表と、アスタナ会議の成果のフォローアップと、2月8日に開催が予定されているジュネーブ4会議の準備に向けた会合を行った。

会合には、シリア国内の反体制派・野党からなる「フマイミーム・グループ」(アルヤーン・マスアド氏代表)、「カイロ宣言グループ」(ジハード・マクディスィー氏、ジャマール・スライマーン氏)、「モスクワ・リスト」(ジャミール・カドリー前副首相、ランダー・カスィース氏)、民主的変革諸勢力国民調整委員会(ハサン・アブドゥルアズィーズ氏)、民主統一党(ハーリド・イーサー氏)が参加した。

トルコ、サウジアラビア、カタール、欧米諸国が後押しするシリア革命反体制勢力国民連立、最高交渉委員会は参加を拒否した。

ラブロフ外務大臣は会合に先だって、アスタナ会議によって国連がジュネーブでの和平協議再開に向けて動きを再活性化させたことを評価しつつ、2月8日に予定されていたジュネーブ会議が2月末に延期されたことを明らかにした。

また、会合への参加を拒否したシリア革命反体制勢力国民連立の姿勢については「もはや受け入れられず、彼らは拒否しているだけにしか見えない」と批判した。

一方、アスタナ会議で開示された「シリア共和国憲法」草案に関しては、「シリア人に何も押しつけようとしていない」としつつ、「ジュネーブ会議の新ラウンドに先立って、すべてのシリア人が憲法草案に目を向けて欲しい」と述べした。

そのうえで、イラク戦争後の米国によるイラク占領支配とロシアの対シリア政策を比較することに関して「比較は正しくない。イラクでは…憲法が占領軍によって策定され、妥協のないかたちでイラク国民に押しつけられた。これに対してロシア政府は自国の提案を他者に押しつけるつもりはない」と強調した。

なお、ラブロフ外務大臣によるジュネーブ4会議延期発言に対して、スタファン・デミストゥラ・シリア問題担当国連特別代表付報道官のヤーラー・シャリーフ氏は「2月の会合の延期は確定してない」と述べた。

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なお、『ハヤート』(12月29日付)によると、この会談で、民主統一党のハーリド・イーサー氏が、ロシア側に、連邦制樹立、西クルディスタン移行期民政局による外交権の享受、人民防衛隊の合法化などを柱とする独自の憲法草案を提出したという。

AFP, January 27, 2017、AP, January 27, 2017、ARA News, January 27, 2017、Champress, January 27, 2017、al-Hayat, January 28, 2017、January 29, 2017、Iraqi News, January 27, 2017、Kull-na Shuraka’, January 27, 2017、al-Mada Press, January 27, 2017、Naharnet, January 27, 2017、NNA, January 27, 2017、Reuters, January 27, 2017、SANA, January 27, 2017、UPI, January 27, 2017などをもとに作成。

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