首都ダマスカスの水源を占拠していたシャーム自由人イスラーム運動などからなる反体制武装集団の戦闘員およびその家族数百人がイドリブ県に退去(2017年1月29日)

シリア軍武装部隊総司令部は声明を出し、シリア軍が人民防衛諸集団および予備部隊の協力を得て、ダマスカス郊外県バラダー渓谷一帯での任務を完了し、同地の町・村における治安と安定を回復したと発表した。

SANA(1月29日付)が伝えた。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、シリア政府と反体制武装集団の停戦合意に基づき、シリア政府が用意した旅客バス複数輌が、イドリブ県方面への退去を希望する反体制武装集団戦闘員およびその家族数百人を移送するため、アイン・フィージャ町に派遣された。

Kull-na Shuraka', January 29, 2017

Kull-na Shuraka’, January 29, 2017

同監視団によると、シリア軍はアイン・フィージャ町にある揚水施設および同地一帯での爆発物処理の作業を継続しているという。

一方、ナビール・ハサン水資源大臣は、シリア・アラブ・テレビ(1月29日付)とのインタビューで、バラダー渓谷アイン・フィージャ町の揚水施設の復旧作業に関して、復旧作業が開始されたことを明らかにするとともに、首都ダマスカスへの水道供給は徐々に復旧するとの見方を示した。

これに先だって、ダマスカス郊外県のアラー・スライマーン県知事は、アイン・フィージャ町にある水源の施設の破壊状況が「甚大だった」としたうえで、首都ダマスカスへの水道供給が完全に復旧するまでには「数ヶ月を要するだろう」と述べた。

施設の破壊は、揚水ポンプだけでなく、揚水制御装置、電気系統、機械系統などに及んでおり、同地を占拠していたシャーム・ファトフ戦線などからなる反体制武装集団が復旧を遅らせようとして意図的に破壊行為に及んだことが見て取れるという。

SANA(1月29日付)が伝えた。


AFP, January 29, 2017、AP, January 29, 2017、ARA News, January 29, 2017、Champress, January 29, 2017、al-Hayat, January 30, 2017、Iraqi News, January 29, 2017、Kull-na Shuraka’, January 29, 2017、al-Mada Press, January 29, 2017、Naharnet, January 29, 2017、NNA, January 29, 2017、Reuters, January 29, 2017、SANA, January 29, 2017、UPI, January 29, 2017などをもとに作成。

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