国連安保理でシリアの人道状況への対応を協議するための会合の開催が投票で否決(2018年3月19日)

国連で19日、フランスがシリアの人道状況への対応を協議するための会合を開き、国連人権高等弁務官事務所のザイド・フサイン氏の意見聴取を行うよう要請したが、開催するか否かを決める投票が行われたが、安保理常任・非常任理事国15カ国のうち4カ国が反対、3カ国が棄権したことで、否決された。

開催には9カ国の賛成が必要だったが、賛成票を投じたのは、フランス、米国、英国、スウェーデン、ポーランド、クウェート、ペルーの8カ国だけだった。

これに対して、ロシアは「協議は国連人権理事会で行われるべき」と異議を唱え、中国、カザフスタン、ボリビアとともに反対票を投じた。

また、エチオピア、赤道ギニア、コートジボワールは棄権した。

これを受け、賛成票を投じた8カ国は非公式協議としてザイド代表の意見聴取を行った。

ザイド代表はこれを受け「シリアにおける体系的な人権侵害」を停止すべきだとする意見を述べる一方、「民間人を保護するためにあらゆる努力を行っているとのシリア政府の言葉は、民間人に対する砲撃、化学兵器使用、包囲、人道支援物資搬入阻止などを続けているなかで、信頼できない」と批判した。

またダマスカス郊外県東グータ地方とアレッポ県アフリーン市で「数万人が避難を余儀なくされている…アフリーン市には約5万人が留まっている」と懸念を表明、シリア国内での戦争犯罪を国際刑事裁判所で審理するよう訴えた。

AFP, March 20, 2018、ANHA, March 20, 2018、AP, March 20, 2018、al-Durar al-Shamiya, March 20, 2018、al-Hayat, March 21, 2018、Reuters, March 20, 2018、SANA, March 20, 2018、UPI, March 20, 2018などをもとに作成。

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