シリア・ロシア軍はイドリブ県、ハマー県、アレッポ県、ラタキア県の反体制派支配地域を爆撃(2019年7月20日)

シリアのアル=カーイダと目されるシャーム解放機構が軍事・治安権限を掌握するイドリブ県、ハマー県北部、ラタキア県北部、アレッポ県西部の緊張緩和地帯では、シリア・ロシア軍が攻撃を激化させてから80日目となる7月20日、シリア・ロシア軍は爆撃を継続、シリア軍とシャーム解放機構などからなる反体制武装集団が交戦した。

シリア人権監視団によると、4月30日以降の戦闘による犠牲者数は前日より10人(民間人3人、シリア軍兵士7人、反体制武装集団戦闘員0人)増えて2,549人となった。

うち、673人が民間人(女性133人、子供173人を含む)、913人がシリア軍兵士、963人が反体制武装集団戦闘員。

シリア軍戦闘機による爆撃回数は80回を記録、ヘリコプターが「樽爆弾」60発を投下、ロシア軍も35回の爆撃を行った。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が戦闘機でヒーシュ村、ラカーヤー村、ウライニバ村、ハーン・シャイフーン市、タッル・タルイー村、マアッルズィーター村、タマーニア町、アリーハー市一帯、カンスフラ村、イブリーン村、バルユーン村、バサーミス村、フライカ村、カルサア村、フィキーア村、トゥラムラー村、ナキール村、ハッサーナ村、マアッラト・スィーン村に対して爆撃を実施するとともに、ヘリコプターでシャイフ・ムスタファー村、マアッラト・ハルマ村、ハーン・シャイフーン市、トゥラムラー村、ラカーヤー村一帯、ストゥーフ・ダイル村に「樽爆弾」を投下した。

ロシア軍もハーン・シャイフーン市、マアッラト・ハルマ村、ビダーマー町、ハムブーシーヤ村一帯を爆撃した。

ドゥラル・シャーミーヤ(7月20日付)によると、シリア軍による「樽爆弾」での攻撃はハーッス村近郊にあるラフマ村の避難民キャンプにも及び、1人が死亡したという。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が戦闘機でタッル・ミルフ村、ジャビーン村、アルバイーン村、カフルズィーター市、ラターミナ町に対して爆撃を実施するとともに、ヘリコプターでムーリク市、サルマーニーヤ村に「樽爆弾」を投下した。

ロシア軍もカフルズィーター市、カルクール村、サルマーニーヤ村、ドゥワイル・アクラード村を爆撃した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が戦闘機でジュッブ・カース村、バウワービーヤ村に対して爆撃を実施した。

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ラタキア県では、シリア人権監視団によると、シリア軍ヘリコプターがカッバーナ村一帯に「樽爆弾」を投下した。

ロシア軍もフドル丘一帯、カッバーナ村一帯を爆撃した。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を5件(ラタキア県2件、アレッポ県2件、ハマー県1件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を2件(ハマー県)確認した。

AFP, July 20, 2019、ANHA, July 20, 2019、AP, July 20, 2019、al-Durar al-Shamiya, July 20, 2019、Ministry of Defence of the Russian Federation, July 20, 2019、Reuters, July 20, 2019、SANA, July 20, 2019、SOHR, July 20, 2019、UPI, July 20, 2019などをもとに作成。

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