イドリブ県でシリア軍と国民解放軍が交戦、シャーム解放機構と「堅固に持せよ」作戦司令室の戦闘も続く(2020年6月24日)

イドリブ県の緊張緩和地帯(第1ゾーン)は、ロシア・トルコが3月5日の首脳会談で停戦に合意してから111日目を迎えた。

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が23日深夜から24日早朝にかけて、ザーウィヤ山地方のバイニーン村近郊の灌木地帯に進攻し、「決戦」作戦司令室と激しく交戦した。

「決戦」作戦司令室は、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構とトルコの庇護を受ける国民解放戦線(シリア国民軍)などからなる武装連合体。

数時間にわたる戦闘で、国民解放戦線の戦闘員4人とシリア軍兵士3人が死亡した。

シリア軍はまた、反体制派支配下のカフル・ウワイド村、スフーフン村を砲撃した。

これを受けるかたちで、トルコ軍がシリア政府支配下のサラーキブ市南に展開するシリア軍の拠点複数カ所を砲撃した。

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同じくイドリブ県では、シリア人権監視団によると、イドリブ市西部一帯でシャーム解放機構と「堅固に持せよ」作戦司令室が前日に続いて激しく交戦、シャーム解放機構はアラブ・サイード村および同村一帯に展開する「堅固に持せよ」作戦司令室に砲撃を加えた。

「堅固に持せよ」作戦司令室は新興のアル=カーイダ系組織のフッラース・ディーン機構が主導する武装連合体。

この戦闘で、女性1人を含む4人が砲撃戦に巻き込まれて負傷、砲撃はアラブ・サイード村に及び、住民数十人が避難を余儀なくされた。

イドリブ市西部一帯での戦闘激化を受けて、「決戦」作戦司令室側の増援部隊がイドリブ市西部からアラブ・サイード村いたる地域の街道を封鎖した。

シャーム解放機構はまた、ルージュ平原の街道分岐路に展開し、アルマナーズ市やアラブ・サイード村に至る街道を封鎖した。

一方、フッラース・ディーン機構と思われる武装集団が、ジスル・シュグール市北のヤアクービーヤ村に設置されているシャーム解放機構の検問所を襲撃し、戦闘となった。

これを受け、シャーム解放機構はダルクーシュ町に至る街道を封鎖した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、シリア政府支配下のジッリーン村で第4師団の拠点に武装集団が発砲、兵士1人が死亡した。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を4件(イドリブ県1件、ラタキア県0件、アレッポ県3件、ハマー県0件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を2件(イドリブ県1件、ラタキア県0件、アレッポ県0件、ハマー県1件)確認した。

AFP, June 24, 2020、ANHA, June 24, 2020、AP, June 24, 2020、al-Durar al-Shamiya, June 24, 2020、Ministry of Defence of the Russian Federation, June 24, 2020、Reuters, June 24, 2020、SANA, June 24, 2020、SOHR, June 24, 2020、UPI, June 24, 2020などをもとに作成。

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