カーミシュリー市タイ地区での国防隊と内務治安部隊の戦闘は後者が同地区を完全制圧して収束(2021年4月26日)

ハサカ県では、ANHA(4月26日付)によると、シリア政府と北・東シリア自治局の共同統治下にあるカーミシュリー市のタイ地区で、内務治安部隊がアッバース・アッラーウィー学校と給水塔周辺の街路を除く同地区全域から国防隊を排除した。

シリア人権監視団によると、国防隊と内務治安部隊の戦闘は未明までに決着していた。

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ANHA(4月26日付)によると、戦闘収束を受けて、ロシア軍憲兵隊と内務治安部隊が合同パトロールを実施、一時避難していた住民が帰宅を開始した。

シリア人権監視団によると、これに合わせて、人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍と内務治安部隊の代表がカーミシュリー国際空港を訪問し、空港に駐留するロシア軍と会談し、停戦を合意した。

合意は、国防隊と内務治安部隊の戦闘停止のほか、タイ地区内の内務治安部隊の分隊の本部に隣接するかたちでシリア軍憲兵隊分隊本部を併設することが定められているという。

また、ノース・プレス(4月26日付)によると、合意は、タイ地区への内務治安部隊の駐留、国防隊の完全退去、避難住民の帰宅、ロシア軍憲兵隊と内務治安部隊による地区内での合同パトロールの実施も定めているという。

なお、ANHA(4月26日付)は、内務治安部隊は、国防隊が退去したファーディル・アブドゥルアズィーズ・ハサン学校で世界食糧計画(WFP)のロゴがついた段ボール約1,000箱を発見したと伝えた。

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これにより、内部治安部隊の展開地域は、環状道路南部に到達し、シリア政府の支配地域は、市の中心街のいわゆる治安限界地区、タイ地区交差点南のズヌード地区一帯、ハルクー地区とカーミシュリー国際空港に三分割された。

なお、シリア人権監視団によると、国防隊はまた、カーミシュリー市のズヌード地区、タルタブ村にある第154中隊基地の拠点を閉鎖し、シリア政府の支配下にある市南側の農村地帯に撤退した。

AFP, April 26, 2021、ANHA, April 26, 2021、al-Durar al-Shamiya, April 26, 2021、North Press Agency, April 26, 2021、Reuters, April 26, 2021、SANA, April 26, 2021、SOHR, April 26, 2021などをもとに作成。

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