停戦合意に沿ってロシア軍がダルアー市ダルアー・バラド地区に進駐、指名手配者や兵役忌避者らの武装解除と社会復帰に向けた手続きが行われる(2021年9月1日)

ダルアー県では、シリア人権監視団によると、8月31日にロシアの仲介によってシリア政府側の治安委員会と、武装解除を拒否し、ダルアー市ダルアー・バラド地区で立て籠もりを続けていた反体制武装集団メンバーを代表する中央委員会が交わした停戦合意に従い、ロシア軍部隊が、シリア政府の治安委員会の代表、地元名士らとともにダルアー市ダルアー・バラド地区に進駐した。

また、SANA(9月1日付)によると、ダルアー市アルバイーン地区にある社会復帰センターで、指名手配者や兵役忌避者ら209人が武器を引き渡し、社会復帰にかかる手続きを行った。

シリア人権監視団によると、センターを訪れたのは33人。

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中央委員会のアドナーン・ムサーラマ報道官は声明を出し、8月31日に交わされた停戦合意の内容を明らかにした。

HFL(9月1日付)が転載した文書によると、停戦合意の骨子は以下の通り:

  1. 即時戦闘を停止する。
  2. ロシア軍憲兵隊がダルアー市ダルアー・バラド地区に進駐・駐留する。
  3. 指名手配者の社会復帰と武装解除のためのセンターを開設する。
  4. 外国人が潜伏してないことを証明するため、ダルアー市ダルアー・バラド地区居住者の身元を確認する。
  5. 治安拠点を4カ所に設置する。
  6. ダルアー市一帯の道路封鎖を解除する。
  7. 警察分署を再開する
  8. ダルアー市ダルアー・バラド地区へのサービス提供を開始する。
  9. 本合意の実施から5日後に逮捕者釈放と身元不明者の捜索に向けた取り組みを行う。

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一方、シリア人権監視団によると、ヒルバト・ガザーラ町近郊で空軍情報部の兵士1人が遺体で発見された。

遺体には銃で撃たれた跡があったという。

AFP, September 1, 2021、ANHA, September 1, 2021、al-Durar al-Shamiya, September 1, 2021、HFL, September 1, 2021、Reuters, September 1, 2021、SANA, September 1, 2021、SOHR, September 1, 2021などをもとに作成。

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