ロシア国防省はイドリブ県の反体制派支配地から飛来したドローンを撃破したと発表(2021年9月27日)

ロシア国防省(当事者和解調整センター)は声明を出し、ラタキア県フマイミーム航空基地の航空管制システムが12時30分にイドリブ県に設置されている緊張緩和地帯内のテロ組織が支配する地域から飛来した無人航空機(ドローン)を捉え、同基地に配備されているパーンツィリ-S1防空システムが基地遠方でこれを撃破したと発表した。

ドローンの飛来に伴う人的・物的被害はなかった。

一方、シリア人権監視団は、ロシア軍の迎撃によりカルダーハ市とジャブラ市の近郊の農地にミサイル複数発が着弾し、爆発が複数回発生したとしつつ、複数筋から得た情報だとして、ドローンによる攻撃そのものはなかったと発表した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、「決戦」作戦司令室の支配下にあるマストゥーマ村のバアス前衛キャンプに駐留するトルコ軍部隊がシリア政府の支配下にあるダーディーフ村一帯を砲撃した。

「決戦」作戦司令室は、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構とトルコの庇護を受ける国民解放戦線(シリア国民軍)などからなる武装連合体。

これに対して、シリア軍は「決戦」作戦司令室の支配下にあるマジュダリヤー村、サーン村を砲撃し、子供1人を含む複数人が負傷した。

一方、トルコ軍は、カフル・ルースィーン村に違法に設置されている国境通行所から重火器などを積んだ車輌約20輌をシリア領内に新たに進入させた。

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アレッポ県ではシリア人権監視団によると、シリア軍が「決戦」作戦司令室の支配下にあるカフル・ヌーラーン村を砲撃し、住民5人が負傷した。

また、同地一帯と第46中隊基地一帯で、シリア軍と「決戦」作戦司令室が砲撃戦を行った。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が「決戦」作戦司令室の支配下にあるガーブ平原のズィヤーラ町各所を砲撃した。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を23件(イドリブ県14件、ラタキア県3件、アレッポ県2件、ハマー県4件)確認したと発表した。

シリア政府によると、停戦違反は14件。

一方、トルコ側の監視チームは、停戦違反を19件確認したと発表した(ただし、ロシア側はこれらの違反を確認していない)。

AFP, September 27, 2021、ANHA, September 27, 2021、al-Durar al-Shamiya, September 27, 2021、Ministry of Defence of the Russian Federation, September 27, 2021、Reuters, September 27, 2021、SANA, September 27, 2021、SOHR, September 27, 2021などをもとに作成。

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