アサド大統領はイランを公式実務訪問し、ハーメネイー最高指導者、ライースィー大統領と会談、二国間協力関係、地域の諸問題への共通の理解について意見を交わす(2022年5月8日)

アサド大統領はイランを公式実務訪問し、最高指導者アリー・ハーメネイー師、エブラーヒーム・ライースィー大統領と会談、二国間協力関係、地域の諸問題への共通の理解について意見を交わした。

SANA(5月8日付)が伝えた。









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アサド大統領は会談で、シリアとイランが過去数年間辿ってきた路線やヴィジョン、とりわけ「テロとの戦い」が正しいものであることを一連の出来事が改めて立証しているとしたうえで、両国が協力を継続し、米国が、過去数十年にわたって世界の国々、とりわけ中東諸国に対して利用してきた国際テロ組織を再生させないようにすることが重要で、米国はかつてないほどに弱体化していると述べた。

アサド大統領はまた、パレスチナ問題についても言及し、パレスチナの大義が、抵抗運動(ムカーワマ)の英雄たちの犠牲ゆえに、アラブ・イスラーム世界の良心のなかで存在感と重要性をこれまで以上に増しているとの見方を示した。

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これに対して、ハーメネイー最高指導者は、シリアが「テロとの戦い」に完全勝利し、全土を開放するまで支援を続けると表明、シリアがアサド大統領の不動の勇気、国民と軍の力と不屈の精神ゆえに歴史的勝利を納めていると称賛した。

また、シリアが残された領土を解放する能力を有し、その指導のもとにシリアを統合できることを何ら疑っておらず、両国、および両国民との強力な関係を維持することが、両国にとって有益であるだけでなく、中東地域にとっても必要だと述べた。

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一方、ライースィー大統領は、イランにはシリアとの関係、とりわけ経済と通商関係を拡大しようと真摯に考えているとしたうえで、世界が困難な経済状況にあっても、引き続きシリアとその国民にあらゆるかたちの支援を行うと述べた。

また、シリアの苦難をイランの苦難とみなして、シリアが困難を克服するのを支えると強調した。

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ハーメネイー師とライースィー大統領の発言を受けて、アサド大統領は、イランが、その指導部と国民ともにシリアにとって姉妹国、友好国、協力国であり、中東地域や国際社会における諸問題に対するイランの取り組み方は、イランとシリアの国益だけでなく、中東地域のすべての国と国民に資すると答えた。

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ホセイン・エミール・アブドゥッラフヤーン外務大臣はツイッターのアカウント(https://twitter.com/Amirabdolahian/)を通じて、アサド大統領のイランへの実務訪問と最高指導者アリー・ハーメネイー師、エブラーヒーム・ライースィー大統領との会談で「両国の新たな戦略段階が幕を開けた」と綴った。

https://twitter.com/Amirabdolahian/status/1523293901422948354

AFP, May 8, 2022、ANHA, May 8, 2022、al-Durar al-Shamiya, May 8, 2022、Reuters, May 8, 2022、SANA, May 8, 2022、SOHR, May 8, 2022などをもとに作成。

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