【トルコ・シリア大地震】クルド民族主義組織PYDが主導する北・東シリア自治局支配地でも救援活動が続く:シリア政府に封鎖解除を求める(2023年2月7日)

北・東シリア自治局のアフリーン・シャフバー地区の最高意思決定機関であるアフリーン・シャフバー評議会(アレッポ県)のマリク・フサイン共同議長は、ANHA(2月7日付)の取材に応じ、アレッポ県の住民、とりわけ被災地の住民に対して、同自治局がシャフバー地区として統治するタッル・リフアト市一帯地域に避難するよう呼びかけ、被災者を受入れる意思を表明した。

マリク共同議長はまた、シャフバー地区がシリア政府の封鎖を受けていると改めて批判、政府にその解除を要請、国内外の機関に人道支援を行うよう求めた。

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アレッポ市のシャイフ・マクスード地区とアシュラフィーヤ地区で居住していたアフリーン郡からの国内避難民(IDPs)とアレッポ市の住民数千世帯が、北・東シリア自治局がシャフバー地区として統治するタッル・リフアト市一帯地域の村々やテント、同地区に含まれるシーラーワー町周辺の村々に避難した。

また、シャイフ・マクスード地区とアシュラフィーヤ地区の総合評議会は、地元のコニューン、人民防衛隊(YPG)、女性防衛隊(YPJ)と連携して、倒壊の可能性がある住宅から避難した住民を収容するための避難所を開設し、数千人を受け入れた。

また、シャイフ・マクスード地区とアシュラフィーヤ地区での保健医療活動を所轄する北・東シリア自治局傘下の保健評議会は、仮設避難所に医師、看護師、薬剤師を派遣した。

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北・東シリア自治局のアフリーン・シャフバー地区の執行機関であるアフリーン・シャフバー地区民主自治局のジャマール・ラシード共同副議長ら同局メンバーが、タッル・リフアト市近郊にあるサルダム(国内避難民(IDPs))・キャンプで声明を発表し、アフリーン郡(トルコ占領下のいわゆる「オリーブの枝地域」)での地震により10人が負傷し、アレッポ市に移送されたことを明らかにしたうえで、国際機関や人道組織に対して、「自らの義務」を果たし、シリア政府支配地とを結ぶ街道を開放し、政府が科しているという封鎖を解除するために行動するよう呼びかけた。

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クルド赤新月社のハサン・ムハンマド・アミーン共同議長は声明を出し、国際機関、人道組織、保健機関に対して、アレッポ市シャイフ・マクスード地区とアシュラフィーヤ地区を含む北・東シリア自治局の支配地への被災者に対して緊急支援を行うよう呼びかけた。

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北・東シリア自治局の傘下組織であるタブカ民政評議会、ラッカ民政評議会(いずれもラッカ県)は7日朝、アレッポ市在住の住民や学生をタブカ市、ラッカ市の避難所に移送するための定期便の運航を開始するとともに、広場や公園にテント数十張を設置し、受け入れ態勢を整えた。



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シリア民主軍シリア民主軍に所属するマンビジュ軍事評議会は、北・東シリア自治局の傘下にあるマンビジュ市および同郊外民主民政評議会が設置した避難所に収容された被災者に救援物資を支給した。

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ANHA(2月7日付)が伝えた。

AFP, February 7, 2023、ANHA, February 7, 2023、al-Durar al-Shamiya, February 7, 2023、Reuters, February 7, 2023、SANA, February 7, 2023、SOHR, February 7, 2023などをもとに作成。

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