サウジアラビアのジェッダで第32回アラブ連盟首脳会議が開催された。
会議では、以下の首脳らがそれぞれ5分程度の発言を行った。
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会議に出席したアサド大統領は以下の通り発言した。
危険が差し迫ったものではなく、終わった時、人はどこから話を始めればよいのだろう。それは達成と行動を動機づける希望から始めるだろう。病気が合併して起きている時、医師はその原因となっている疾患を治療することで、これに対処することができる。
つまり、我々は、原因ではなく結果に対処することで、将来の世代を埋没させないようにするため、自らの将来を脅かし、危機を生み出す大きな問題を突き止めねばならない。脅威は危険を伴うが、好機もある。我々は今日、多極世界になろうとしている国際情勢を変化させる好機を前にしている。それは、原則、道徳、友人、パートナーを欠いた西側の覇権主義がもたらしたものだ。これは外国の介入を最低限に抑えて、我々が自分たちの問題を再編する歴史的好機だ。それには、今日存在するこの世界のなかで自らを再配置し、その積極的な一員となり、首脳会議に先立つ今日の諸々の和解によって醸成された好意的な雰囲気に投資する必要がある。
これは、我々の文化がネオ・リベラリズムとともに将来溶解してしまうことに対処するための好機だ。ネオ・リベラリズムは人間の本質的な帰属を狙い、その道徳やアイデンティティを奪おうとしている。これは、我々のアラブ人としてのアイデンティティを文明という次元において定義するための好機だ。アラブ人としてのアイデンティティは、人種主義やショーヴィニズムだとして不当に非難を浴びている。それは、アラブ人としてのアイデンティティを民族、人種、宗教といった当然の諸要素との紛争状態に陥れ、この紛争状態のなかで、我々の社会もろとも死に追いやろうとしている。
問題は非常に多く、言葉だけでは表しきれず、首脳会議を幾度か開催するだけでは不充分だ。それは、アラブ人にとして拒絶すべきシオニスト政体が抵抗するパレスチナ人民に行う数々の犯罪から始まり、逸脱した同胞団の風味で味付けられた拡張主義的オスマン主義思考の脅威で終わるというものではない。成長過程にある我々の社会にとっての最優先事項である開発という課題と切り離されるものでもない。ここにおいて、アラブ連盟が憲章、内規を見直しつつ活動のシステムを発展させ、時代に沿った仕組みを発展させる限りにおいて、連盟は、さまざまな問題を議論し、それに対処するためのあるべきプラットフォームとしての役割を果たす。アラブの共同行動には、ビジョン、戦略、共通の目標が必要だ。我々は今後、それらを実施政策へと変えていく。アラブの共同行動には、統一的な政策、確固たる原則、メカニズム、明確な規則が必要だ。それらがあれば、我々は事態に対応する存在から、事態を先んじる存在となる。連盟は、閉塞状態の迎合者ではなく、そこから脱するための糸口となり、侵略の橋頭保ではなく、それを交わす場所となる。
リビアからシリア、イエメン、スーダンなどで我々が日々従事している諸問題、さまざまな地域で発生しているそれ以外の諸々の問題について、その症状に対処するだけでは、病弊に対処することはできない。これらの問題はそのすべてがこれまでに対処されてこなかったより大きな問題の結果だからだ。その一部に言及するには、アラブ世界において過去数十年にわたって作り出された亀裂に対処し、連盟が傷を深めることなく癒す役割を取り戻す必要がある。もっとも重要なのは、国内の諸問題をそれぞれの諸国民に委ねることだ。諸国民は自分たちの問題に対処する能力を持っている。我々がすべきは、彼らの国々への内政干渉を阻止し、求めがある場合だけ、彼らを支援するのみだ。シリアについて言うと、その過去、現代、そして未来そのものがウルーバ(アラブ性)だ。だが、それは帰属としてのウルーバであり、よりどころとしてのウルーバではない。よりどことしてというものは一過性のものだが、帰属とは持続する。人間は何らかの理由であるよりどころから別のよりどころへと移っていくこともある。だが、帰属を変えることはない。帰属を変えることができる者は、そもそも帰属がない者だ。、心臓のなかにいる者は、よりどころのなかで衰えることもない。シリアはアラブの心臓であり、その心臓のなかにある。
みなさん、我々は混乱した世界のなかにあってこの首脳会議を開催している。アラブとアラブ、アラブと地域、そして国際社会が互いに接近するなかで希望は高まっており、それはこの首脳会議によって最高潮に達している。私は、それが戦争や破壊ではなく、アラブの連帯行動、我々の地域の平和、発展と繁栄の新たな段階の始まりとなることを願っている。
5分という時間的制約を遵守しつつ、シリアに対して深い愛情を表明してくれた各国使節団の代表に深く謝意を示し、同様の愛情を表明したい。また、二聖モスクの守護者が我々の地域の和解を強化し、この首脳会議を成功させるために行った集中的な取り組みと多大なる役割に感謝したい。彼と皇太子殿下、そして兄弟国であるサウジアラビア国民が常に発展、繁栄することを願っている。あなた方に平和とアッラーの慈悲がありますように。
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会議は共同声明「ジェッダ宣言」の発表をもって閉会、シリア情勢をめぐっては、アラブ共通の利益、すべてのアラブ諸国民を結びつける友愛関係に沿って、シリアが危機を克服することを支援することが確認されるとともに、アラブ連盟へのシリアの復帰決定がシリアの安定化への支援と同国がアラブ世界においてあるべき役割を果たすことに資することへの期待を表明した。
シリア情勢への対応について言及した「ジェッダ宣言」の第3項の文言は以下の通り。
我々は、シリア政府使節団の連盟および所属機関の会議への参加再開を盛り込んだ連盟閣僚級会合の決議を歓迎する。我々は、この決定がシリアの安定支援に資し、シリアの領土統一を維持し、シリアがアラブの祖国におけるそのあるべき役割を再開しすること、アラブ共通の利益とすべてのアラブ諸国民を結びつける友愛関係に沿って、シリアが危機を克服するためにアラブ諸国が行っている取り組みを継続・強化することを希望している。
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SANA(5月19日付)が伝えた。
AFP, May 19, 2023、ANHA, May 19, 2023、al-Durar al-Shamiya, May 19, 2023、Reuters, May 19, 2023、SANA, May 19, 2023、SOHR, May 19, 2023などをもとに作成。
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