【トルコ・シリア大地震】アサド大統領とアスマー夫人は、ダマスカス県で開幕した「シリア遺跡調査の最新の成果と地震の影響」国際大会の参加者と懇談(2023年6月5日)

アサド大統領とアスマー・アフラス夫人は、ダマスカス県で開幕した「シリア遺跡調査の最新の成果と地震の影響」国際大会の参加者を、同県にある国立博物館の中庭で出迎え、懇談した。

懇談会には、イタリアの考古学者でエブラ王国の発見者のパオロ・マッティアエ氏、ナジャーフ・アッタール副大統領ら、イタリア、ハンガリー、チェコの使節団、シリア人専門家ら数十人がが出席し、アイデンティティ、歴史、シリアでの紛争下で標的となった有形遺産の保護、世界の歴史や遺産の一部をなし、世界の歴史の中心、もっとも主要な柱をなすシリアの歴史や遺産を対象とした戦争などが話題となった。

アサド大統領は出席者を前に以下の通り述べた。

ある地域の歴史を知るたびに、別の地域について多くを知ることができる。なぜなら過去の世界は互いに結びつき合っているからだ。世界は、異なった幾つもの文明としてではなく、一つの文明として生きてきたと考える。文明は一つだが、文化が多様なのだ。
我々は今日苦しんでいる問題の原因は、我々は過去に目を閉ざしていることにある。過去に目を閉ざせば、現代を理解することはない。現代を理解できなければ、未来を見ることもできない。未来を見なければ、我々が今日目の当たりにしているように、大きな問題や破壊に直面することになる。
世界のあらゆる場所の多くの政治家と会ってきたが、私は彼らにこう言ってきた。兵士を派遣するのではなく、問題を作り出すために費やしている資金の一部を文化のために使えば、世界が変えられる、と…。我々は文化をもって過激主義、そしてテロ、さらには戦争と戦うことができる。戦争が増えるたびに、我々は文化を必要としてきた。遺跡と文化はアイデンティティを作り出す。人々は社会においてアイデンティティがない状態で安定を得ることはできない。このことを、我々はシリアに対する戦争を通じて悟った。なぜなら、我々は自らのアイデンティティの一部を喪失した。その一部とは、あなた方もご存じの遺跡に体現されている。彼らはタドムル、アレッポ城の一部、多くの遺跡を破壊した。それはシリアに限られたことではなく、実際に世界のさまざまな場所でも起きている。
シリアにおける戦争の一部は、戦闘とは関係ない。我々は銃をもって戦っているだけではなく、文化をもって戦っている。アイデンティティを維持するために戦っている。無形遺産とともに遺跡が守られなければ、アイデンティティは維持できない。あなた方は有形遺産の分野で仕事をている。我々は無形遺産の分野においてそれを補完しなければならない。そうすることで、我々はシリアに平和をもたらすことができる。
あなたはシリアを愛している。シリアもあなたを愛している。我々にとって、社会、国家、歴史、文化としてのシリアは、パオロ・・・・・・とともにある。あなたは我々のアイデンティティであり、今日の我々の遺産の一部だ。
シリアにお越し頂いた方々、シリアに滞在されている一部のみなさんにお礼を申し上げたい。我々は、この困難な状況下で戦地であるシリアを訪問し、滞在することが容易でなかったことを承知している。
我々が歴史や遺産について語るとき、シリアの名前に言及せずに語ることはできない。










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懇談会に先立って、アサド大統領は、マッティアエ氏にシリア功績勲章最高位を授与することを決定、国立博物館で執り行われた授与式では、アッタール副大統領がマッティアエ氏に勲章を授与した。

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SANA(6月5日付)が伝えた。

AFP, June 5, 2023、ANHA, June 5, 2023、al-Durar al-Shamiya, June 5, 2023、Reuters, June 5, 2023、SANA, June 5, 2023、SOHR, June 5, 2023などをもとに作成。

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