ロシアを訪問中のアスマー・アフラス大統領夫人がRTのインタビューに応じる:「全世界に最大の課題は、国民アイデンティティを溶解させようとするネオリベラリスムに対処することです」(2023年6月30日)

ロシアのRTアラビア語放送(6月30日付)は、モスクワを訪問中のアスマー・アフラス大統領夫人との単独インタビューを行った。

アスマー夫人は、アサド大統領の長男のハーフィズ・バッシャール・アサド氏が修士号を取得したM.V.ロモノーソフ・モスクワ国立総合大学(モスクワ大学、МГУ)での大学院修了式・学位授与式に招待されていた。

インタビューはSANA(6月30日付)でも映像と全文が掲載された。


アスマー夫人の発言は以下の通り。

(修士課程を修了したハーフィズ氏に母親としてどのような言葉をかけたのかとの問いに対して)私にとって、優等学位は、その人の性格のなかにある一連の原則を反映したものです。献身、挑戦、責任、忍耐といった一連の原則が、その人をこの学位に至らせます。今日、私が抱いているのは、誇りの気持ちで、それは、これらの資質を持つ子供たちの母親の気持ちと同じです。これらの資質は成功や優秀な成績に至る道なのです。また、満足感も抱いています。なぜなら、家族とは常にもっとも優秀な子供を国に捧げたいと考えているからです。これこそが今日、私がハーフィズの優秀さのなかに見たものです。
(完璧さという言葉をどのように理解しているかとの問いに対して)完璧さとはもちろん万世の主のものです。でも、確かなのは、私たちは優秀な成績を数字としてではなく、概念として見ているということです。優秀な成績という概念とは、人が、あらゆるものが完璧ではないからといって受け入れることはないということです。こうした念が生きるための文化となります。それは科学にかかわっているだけではなりません。仕事、スポーツ、個人の人生にかかる生きるための文化なのです。例えば、個人が祖国に半分だけ帰属する、あるいは家族に半分だけ属すということはあり得ません。私たちは自分たちの専攻を特定の段階だけ好きですと言うことはできません。それは、数字としての狭義の成績がよりも大きな思考にかかわる文化なのです。

(生きるための文化が個人にとって未来の武器になるかとの問いに対して)、優秀な生徒たちと行ったすべての懇談のなかで、彼らがいつも逆のことを言っていることだけは確かです。これは彼らにとって最大のインセンティブなのです。なぜなら、彼らが何らかの段階に至る時、彼ら自身が天井を引き上げるからです。優秀な学生が持つ野心はいつも無限の野心なのです。常により良いものをめざしています。私たちの社会にはこうした文化が必要なのです。こうした思考が必要なのです。それによって私たちは真の覚醒を生み出すことができます。

(留学が持つ二面性について)良い面と悪い面は実施のところ、それにどのように対処するかにかかっています。でも、私にとって、そのことの意義は様々な側面に潜んでいます。まず、数学の分野で世界的なレベルにあることで知られるモスクワ大学のような由緒ある大学、あるいはハーフィズが卒業したダマスカスの応用科学テクノロジー高等学院のような先進的な専門大学で研究をすれば、高い学歴を得ることができます。第2の側面は、より意義のあることですが、第2の文化への道が開かれることです。この開放それ自体がその人の地平を切り開くのに資するのです。とくに、ロシアの文化は東洋の文化です。また、それは、概念や原則などのさまざまな側面でシリア社会と交差しています。こうしたことのすべてが強力な基盤を気づく素地となり、若者たちの間で、深淵で幅広い対話が行われることになります。さらに、既存のコミュニケーションの架け橋を強固なものとしていきます。

(ロシアとシリアにとって共通の課題とは何かとの問いに対して)もちろん課題を共有しています。とくに、世界は今日、SNSの普及によって狭くなりました。また、ロシアとシリアには、社会面、政治面で、共通点、類似点がいくつもあります。両国は近代史から今日に至るまで、分割、周縁化、包囲を主たる目的とする多くの試みにさらされてきました。もちろん、両国の決定を掌握しようとするものです。これ自体は今日、そして未来において大きなものになっています。でも、全世界にとってより包括的で一般的な課題は、諸国民に課されようとしているネオリベラリスムに対処するという課題です。その目的はもちろん、国民アイデンティティを溶解させることにあります。国民アイデンティティだけでなく、人としてのアイデンティティを作り出しているすべての要素、祖国への帰属、習慣、伝統、健全な社会的概念、社会の調和を維持するための道徳をです。もちろん、家族がどの社会においても基本的な細胞をなしています。私は、こうした問題について、世界の若者、とりわけ私たち東洋の社会の若者たちの間で対話がなされなければいけないと見ています。なぜならこれらの社会は第1に、そして直接に脅威に晒されているからです。でも、これらの社会は、その文化、道徳、価値観によってこうした攻撃を退ける能力を持ってもいます。

(共通の課題への解決策は何だと思うかとの問いに対して)解決策や役割はもちろん対話の結果として確定します。対話せずに決めることはできません。でも、基本的には、教育、研究、思考、文化、青少年にかかる機関などの関係機関があります。それらは、特に社会や経済といった分野で、コミュニケーションや交流関係を築くことができます。これは、深く根付いたものであり、数千もの家族がともに作り出してきました。これは、対話の基礎があることの証拠です。これが対話を成功させる追加要素となることは確かです。

(ロシア訪問直前にワグネル・グループ社創設者のエフゲニー・プリゴジン氏の反乱が起きたことに恐怖は抱かなかったのかとの問いに対して)ロシアの友人は、私たちの戦争において私たちに寄り添うに際して、躊躇しませんでした。私たちも(ロシアが直面している)この戦争においてロシアの人々と寄り添うことを躊躇しませんでしたし、躊躇はしていません。

(ロシアを学ぶことはできるかとの問いに対して)言語はコミュニケーションと文化の懸け橋です。ロシアの文化は非常に由緒があり、その歴史は非常に古いものです。仕事の負担が減り、将来、この言語(ロシア語)を学ぶ機会を持てればと願っています。

https://www.facebook.com/SyrianPresidency/videos/635690275163518/

AFP, June 30, 2023、ANHA, June 30, 2023、al-Durar al-Shamiya, June 30, 2023、Reuters, June 30, 2023、SANA, June 30, 2023、SOHR, June 30, 2023などをもとに作成。

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