国連安保理でシリア情勢への対応を協議する会合が開かれ、越境(クロスボーダー)人道支援の終了の是非をめぐって意見が交わされた。
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ゲイル・ペデルセン・シリア問題担当国連特別代表はオンラインで出席し、越境人道支援の期間延長が実現しなかったことに失望の意を示しているアントニオ・グテーレス事務総長に同調するとともに、制憲委員会を再開するには、現実的かつ柔軟な交渉が重要だと述べた。
また、難民を安全かつ尊厳あるかたちで自発的に帰還させる環境が依然として整っていないとし、シリア政府に対してさらなる努力を行うよう求めた。
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国連人道問題調整事務所(OCHA)ジュネーブ本部のラメシュ・ラジャシンガム代表は、越境人道支援がシリア北西部で暮らす数百万の人々にとっての死活問題だとしたうえで、今後も人道主義、公平性、中立性、独立性という人道原則に基づいて継続されるべきだと主張した。
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発言を行った安保理メンバーのうち、英国のバーバラ・ウッドワード国連常駐代表は、シリア政府が国連にイドリブ県バーブ・ハワー国境通行所経由での支援の継続を許可したと主張しているのもかかわらず、越境人道支援の85%を担っていた同通行所を経由した国連による物資の輸送は途絶えたままだとしたうえで、シリア政府が科した条件によって、OCHAによる人道支援の中立性と独立性が損なわれていると非難した。
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ロシアのドミトリー・ポリャンスキー国連第1常駐副代表はシリアへの難民の帰還と、トルコとシリアの関係改善が、シリア危機の迅速な解決を促し、中東情勢全体を改善させるとしたうえで、こうした動きに対する欧米諸国の干渉を拒否すると述べた。
また、越境人道支援については、他の国に対する支援と同様の方法で、国際的に認められた政府の同意のもと、同政府と連携して行われることに歓迎の意を示し、新たな安保理決議の採択は必要ないと協調した。
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シリアのバッサーム・サッバーグ国連代表は、シリア北西部への人道支援を保証することに尽力しているとしたうえで、シリアの主権や越境人道支援に対する一部理事国の激情的な姿勢を批判した。
また、バーブ・ハワー国境通行所の使用許可については、いかなる条件も課しておらず、OCHAとの全面的に協力する用意があると強調した。
このほか、イスラエルが繰り返す爆撃などの侵略行為、米国によるシリア領内での違法な部隊駐留と領土の占領を批判し、その即時停止を求めた。
AFP, July 24, 2023、ANHA, July 24, 2023、al-Durar al-Shamiya, July 24, 2023、‘Inab Baladi, July 24, 2023、Reuters, July 24, 2023、SANA, July 24, 2023、SOHR, July 24, 2023などをもとに作成。
(C)青山弘之 All rights reserved.
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