ダイル・ザウル県でシリア民主軍と同軍に所属するダイル・ザウル軍事評議会が激しく交戦、米主導の有志連合が介入し事態収拾(2023年7月25日)

ダイル・ザウル県では、イナブ・バラディー(7月25日付)、シリア人権監視団などによると、ダイル・ザウル民政評議会(北・東シリア自治局)の支配下にあるスワル町で、人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍に所属するダイル・ザウル軍事評議会と憲兵隊が激しく交戦した。

イナブ・バラディーによると、戦闘はシリア民主軍憲兵隊が検問所(クーア検問所)で、ダイル・ザウル軍事評議会の戦闘員らに対して身分証の提示を求めたことがきっかけで、口論が撃ち合いに発展、ダイル・ザウル軍事評議会の「フィダーイーン」、あるいは「エリート部隊」と称される部隊に所属する戦闘員2人(いずれも部族の子息)が死亡した。

また、双方の戦闘が始まってから数時間後には、地元の戦闘員らが機関銃やRPG弾でシリア民主軍の陣地複数ヵ所を攻撃、2人を殺害した憲兵隊員の身柄の引き渡しを要求した。

一方、シリア人権監視団によると、死亡は1人、負傷者3人で、戦闘は、憲兵隊がダイル・ザウル軍事評議会のメンバー複数人を拘束したことがきっかけで、評議会側はメンバーを釈放しなければ攻撃すると迫っていたという。

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イナブ・バラディーによると、これに対して、シリア民主軍も県北部からテロ撲滅部隊(HAT)などからなる増援部隊を派遣したが、住民らが立ちはだかり、スワル町への進軍を阻止した。

シリア民主軍とダイル・ザウル軍事評議会の戦闘は、ハーブール川に沿ってスワル町の南西に向かって波及、ブサイラ市一帯にまで拡大した。

これを受けて、ブサイラ市に駐留するシリア民主軍がスワル町方面に部隊を派遣したが、この部隊もファディーン村の住民によって進軍を阻止された。

また、シリア人権監視団によると、部族民兵(「ガドバーン」なる司令官が率いる民兵)が、ダイル・ザウル市西のアズバ村、ブサイラ市南東のアブー・ハマーム市を封鎖し、シリア民主軍の増援部隊の進軍を阻止、ダイル・ザウル軍事評議会と地元部族の民兵は、この戦闘で複数の村と検問所を制圧した。

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事態悪化を受けて、米主導の有志連合が介入し、ダイル・ザウル軍事評議会、地元部族の民兵とシリア民主軍を停戦させた。

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一連の戦闘を受けて、シリア民主軍の広報センターは声明を出し、戦闘を「反乱事件」と評したうえで、総司令部が調査を指示したと発表した。

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なお、今回の戦闘に先立って、ダイル・ザウル軍事評議会のアフマド・ハビール(アブー・ハウラ)司令官が、評議会とシリア民主軍の総司令部の間に対立があると発言する音声が7月19日にフェイスブックで公開されていた。

ハビール司令官は、そのなかで、評議会が内と外の二つの敵に対峙し、内なる敵はシリア民主軍とダーイシュ(イスラーム国)の一部司令官、外の敵はトルコとシリアの体制だ、などと述べていた。

ハビール司令官はその後7月24日、ロナヒ・チャンネルに対して、対立を否定、19日に公開された音声について、評議会の同志たちとの議論における発言で、司令官通しの「見解の違い」を反映したものに過ぎないと述べていた。

また、ダイル・ザウル県のユーフラテス川東岸地域で評議会が部隊を増強していることに触れ、「イランの民兵」が同川西岸地域で部隊を増強しているため、ダーイシュのスリーパーセルと戦うためなどと説明していた。

AFP, July 25, 2023、ANHA, July 25, 2023、al-Durar al-Shamiya, July 25, 2023、‘Inab Baladi, July 25, 2023、Reuters, July 25, 2023、Rohahi TV, July 24, 2023、SANA, July 25, 2023、SOHR, July 25, 2023などをもとに作成。

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