ハサカ市治安厳戒地区でシリア軍が、ジャブール部族長を罵倒し、暴行を加えたアブドゥルカーディル・ハンムー司令官率いる国防隊と激しく交戦(2023年9月20日)

ハサカ県では、ANHA(9月20日付)、ノース・プレス(9月20日付、21日付)、シリア人権監視団によると、シリア政府の支配下にあるハサカ市内の治安厳戒地区で19日深夜から20日未明にかけて、シリア軍部隊とアブドゥルカーディル・ハンムー司令官が率いる国防隊とが交戦した。

シリア軍は、バアス党ハサカ支部に近いハンムー司令官の自宅が入っている集合住宅や、同司令官が率いる国防隊の陣地1ヵ所を重火器で砲撃した。

ティシュリーン公園やマハッタ地区にある総合情報部近くで複数回の爆音が聞こえるなか、シリア軍は戦車を展開させる一方、国防隊のメンバー数十人が立て籠もる陣地を包囲、機関銃などで激しい戦闘が行われた。

一連の戦闘で、ダルアー県出身のシリア軍兵士1人が死亡、警官4人と国防隊のメンバー1人が負傷した。

戦闘の結果、国防隊のメンバー16人がシリア軍に投降したが、ハンムー司令官らは自宅で籠城を続けた。

シリア人権監視団によると、この戦闘ではまた、女性1人と高齢者1人を含む住民5人が流れ弾に撃たれて負傷、ノース・プレス(9月20日付)がヒクマ病院筋の医療筋の話として伝えたところによると、女性と子供2人を含む9人が巻き添えとなって負傷した。

なお、ANHA(9月20日付)は、複数筋の話として、ハンムー司令官が負傷したと伝えたが、真偽は不明。

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さらに、北・東シリア自治局の支配下にあるハサカ市内のサーリヒーヤ地区、ムフティー地区、グワイラーン地区にも砲弾複数発が着弾、住民らが避難した。

一方、北・東シリア自治局の内務治安部隊(アサーイシュ)は、国防隊のメンバーの逃走を阻止するため、治安厳戒地区と自治局支配地を結ぶすべての道路を封鎖した。

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戦闘発生を受けて、シリア政府当局は、治安厳戒地区にあるすべての学校を休校にすることを決定した。

また、地元の部族長や名士らが戦闘停止と事態収拾のための仲介に乗り出した。

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シリア人権監視団によると、ロシア軍の使節団が19日にハサカ市を訪問し、シリア軍当局者らと協議、24時間以内にハサカ市での国防隊の活動を終了させることで合意していた。

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ハサカ市では、8月13日にハンムー司令官がジャブール部族の部族長の1人アブドゥルアズィーズ・ムスラト氏を罵倒し、暴行を加えた事件が発生し、両者の緊張が高まり、その後、ハンムー司令官の解任やロシア軍の仲介などで事態は収束したかに見えていた。

だが、9月13日に、ハサカ市治安厳戒地区にあるパン製造所(バアス・パン製造所)がハンムー司令官や彼が率いる攻防隊のメンバーへのパンの配給を禁止したことで、再び緊張が高まっていた。

9月15日には、ハンムー司令官らがバアス・パン製造所を掌握、事態に対処するため、シリア軍が増援部隊を派遣、ハンムー司令官の自宅周辺やティシュリーン公園一帯に狙撃兵などを配置して厳戒態勢を敷いていた。

AFP, September 20, 2023、ANHA, September 20, 2023、al-Durar al-Shamiya, September 20, 2023、‘Inab Baladi, September 20, 2023、North Press, September 20, 2023、September 21, 2023、Reuters, September 20, 2023、SANA, September 20, 2023、SOHR, September 20, 2023などをもとに作成。

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