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自由シリア軍北の嵐旅団がフェイスブック(9月30日付)に声明を出し、アアザーズ市を占拠するイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)に関して「彼らのアミールはバッシャール・アサドだ」と断じたうえで、アアザーズ市がシリア軍とダーイシュ双方の「墓場」になるだろう」と脅迫、徹底抗戦の構えを示した。
北の嵐旅団は声明で「ダーイシュは、これまでの声明で、彼らのアミールがバッシャール・アサドで、彼がムジャーヒドゥーンに武器を入手し、シリアを嘘とねつ造で埋没させるよう度々求めてきた、と述べてきた。我々の対応は、アアザーズをアサドの戦車と兵士の墓場にするというものであり、また我々は、愛しい町アアザーズを、いわゆるダーイシュの兵士の墓場にすることを約束する」と主張した。
また「シャーム自由人旅団、ヌスラ戦線、タウヒード旅団、使徒末裔旅団などのムジャーヒドゥーンと同様、我々は彼らが裏切ったと考えている」と付言した。
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民主的変革諸勢力国民調整委員会のハサン・アブドゥルアズィーム代表は、『ラアユ』(9月30日付)に「ジュネーブ2会議開催を阻んでいたすべての障害は、米露合意とシリアの化学兵器禁止条約加盟を受けてなくなった」としたうえで、自らが率いる国民調整委員会、シリア革命反体制勢力国民連立、そしてクルド最高委員会が反体制勢力として代表を派遣するかたちで調整を進めていることを明らかにした。
また「武器を通じて紛争を決着させることは不可能で、反体制勢力はそれによって政権を倒すことはできず、政権は治安・軍事的解決によって事態を決着させることはできない。化学兵器使用は紛争の質を変化させた…。この武器は政権と反体制勢力双方によって使用されたと評価できる」と述べた。
アサド大統領の進退については、「アサドも国民がこの問題を決すると言っている…。国際社会、地域社会、アラブ世界が、対話の雰囲気を準備することが肝要だ。解決はシリア人の手によるものとなろうが、国際社会の支援と保障が必要だ」と強調した。
シリア軍と自由シリア軍の統合の可否について「両軍に共通の利益はあるが、時期尚早だ。双方の信頼が醸成されていないため、現時点では困難だ」としつつ、「ジュネーブ2が開催され…、逮捕者・捕虜が釈放され、移行期政府が発足すれば、両軍にある種の協力をもたらすのにふさわしい雰囲気が醸成されるだろう」と述べた。
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シリア革命反体制勢力国民連立のルワイユ・サーフィー報道官はAKI(9月30日付)に「連立はアサド退陣の要求をあきらめていない。なぜなら独裁体制を根絶するには、独裁者を根絶する必要があるからだ…。連立の現下の要求は、人道犯罪で処罰するため国際刑事裁判所にアサドを立たせることだ…。彼と彼の制度をどう廃するかは、あらゆる交渉の一部をなすだろう」と述べた。
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シリア民主主義者連合は29、30日の2日間にわたってトルコのイスタンブールで結成大会を開き、約250人が出席、書記長、事務局(41人)、執行部(11人)などを選出、またジュネーブ2会議などへの対応について協議した。
リハーブ・ニュース(9月30日付)によると、ジュネーブ2会議への対応については、出席者の多くが支持の姿勢を示したが、カマール・ルブワーニーは「革命の成果を無に帰す罠」と参加拒否の姿勢を示したという。
大会は、ミシェル・キールー氏を初代書記長に、また以下のメンバーを事務局、執行部、風紀委員会メンバーに選出した。
執行部:アブドゥルアズィーズ・タンムー、ウマル・クーシュ、バヒーヤ・マルディーニー、マーズィン・ハッキー、カールティーン・タッリー、ターイズ・サーラ、サーイル・ムーサー、サーイブ・イバーラ、サミール・スアイファーン、ザカリヤー・サッカール、バヒージャ・トゥラード
事務局:ハサン・イスマーイール、ファルハーン・アフマド・シャイフ・バクル、ムハンマド・マフムード、カーワー・ハリール、タウフィーク・ハムドゥーシュ、アリー・ジャルバー、イッザト・バフラ、ワリード・ウマリー、マーズィン・ラビーウ、ファーディー・ムトラク、ワリード・ナッブーニー、ナイルーズ・ムハマド、ムフイーッディーン・イースー、ルーシャン・カースィム、ジュワーン・ムハンマド、アフマド・イスマーイール・アーリフ、ナディーム・ガンヌーム、アフマド・イスマーイール・イスマーイール、ダッハーム・サッターム、アーディル・ダルーシュ、ナジャーティー・タイヤーラ、ハーズィム・ダーキル、ムハンマド・サイード・ナッハース、スィナー・アイヤーシュ、スハイル・ジャービリー、アブドゥッラー・ラシュワーニー、バッサーム・バッラーン、マフムード・カルウー、フザイファ・バッラ、ムアイイド・スカイフ、サバー・ハドゥール、イブラーヒーム・ハウワーシュ、ウサーマ・サンマーン、ムラード・イスマーイール、アブドゥッラフマーン・マタル、アブドゥッラティーフ・ミスリー、アブドゥルジャッバール・フワイディー、スィナーフワイジャ、アブディー・ユースフ・アフマド、イリヤース・ワルダ、アラー・バーシャー
風紀委員会:アイマン・アブー・ハーシム、ファルハーン・アフマド・ザルダシュト・ムスタファー・ハリール、アリー・アッラーウ、サビーハ・ハリール、ムハンマド・シャイヒー、ムハンマド・バッサーム・タブリーヤ
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シリア民主主義者連合の書記長に選出されたミシェル・キールー氏は、同連合結成大会を取材したアナトリア通信の記者に対して、現時点でジュネーブ2会議に参加する意思はないと述べた。
キールー氏は「後から誰もついてこないような4、5人の(反体制勢力)代表がジュネーブに行き…私の首を斬るのなら、こうした条件のもとでジュネーブには行かない…。いずれにせよ、私はジュネーブには行かないし、誰も私を推挙していない。私自身、ジュネーブに行くことを推挙しない。アラブ世界で反体制勢力を支援する真の雰囲気が情勢されれば…、そして米露間で国際的支持のバランスが生じれば…、我々はジュネーブに行く」と述べた。
また「シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・ウワイヤーン・ジャルバー議長にジュネーブに行くべきでないと忠告した、と米国などに対してニューヨークで先日、個人的に述べた」と付言した。
一方、シャームの民のヌスラ戦線など13の反体制武装集団が、シリア革命反体制勢力国民連立を拒否したことに関して「アフマド・トゥウマ暫定内閣首班がシャリーア法廷を受け入れないと述べたためだろう」としたうえで「シャリーア法廷はカリフ制国家建設の基礎をなしており、シャリーア法廷を創設するものは、国を非民主的な選択肢へと導くことになろう」と非難した。
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共産主義行動党は声明を出し、国連安保理決議第2118号に関して「内戦を回避し、国民を守るための小さな一歩」と評価するとともに、国際社会に対して、ジュネーブ2会議に関する誓約を遵守し、全権を委任された移行期政府樹立に尽力するよう呼びかけた。
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クッルナー・シュラカー(10月1日付)によると、シリア革命反体制勢力国民連立の駐カタール代表部(大使館)のニザール・ヒラーキー代表(大使)は領事部のアスマー・クルディー女史を解雇した。
在カタールの代表部やシリア人学校に縁故者を雇用させたことに、在留シリア人から抗議があったことが理由だという。
シリアのワリード・ムアッリム外務在外居住者大臣は第68回国連総会で一般討論演説を行い、ジュネーブ2会議への「無条件」での参加の必要を強調した。
ムアッリム外務在外居住者大臣は「武器、資金、教練といった面でテロを支援し続けるなかで、政治的解決を云々しても、それは単なる幻想、欺瞞である…。シリアにおいて政治的解決を欲する者、とりわけこれまでに何度も政治的解決を支持すると言ってきた者は、シリアへのあらゆる敵対的行為を停止し、無条件でジュネーブに向かわねばならない。なぜなら国民が国の運命を決めるのであり、シリア国民のみが自らの指導者、代表、将来、国家の形態を選択する権限を唯一もっているからだ」と述べた。
また「シリアは政治的解決に向け遵守してきたが、このことは平穏に暮らす市民を攻撃するテロを放置することを意味しない。ヒムス、アレッポ、そしてマアルーラーで起きたように、モスクや教会が破壊することを傍観することを意味しない」と付言した。
さらに化学兵器の廃棄については、国連安保理決議第2118号で定められた行程を遵守することを強調する一方、「みなが現在直面している脅威とは、テロリストにこうした武器を手渡している者たちが、直ちに廃棄に応じるかということだ…。我が国のテロリストは、周知の地域諸国、西側諸国から化学兵器を供与されている。彼らこそが我々の兵士や市民に毒ガスを用いている」と述べ、化学兵器使用の疑いがある反体制武装集団、そしてその支援国である西側諸国こそが、決議遵守を誓約すべきだとの見解を示した。
ダマスカス県では、シリア人権監視団などによると、カフルスーサ区、マーリキー地区、ティシュリーン公園、カッバース地区に迫撃砲弾複数発が着弾し、マーリキー地区にある中国大使館が被弾、1人が負傷、建物の一部が被害を受けた。
新華社通信(9月30日付)によると、反体制武装集団が撃った迫撃砲の着弾により、シリア人職員1人が負傷し、建物や窓などが被害を受けたという。
中国外交部報道官は「事件に衝撃を受けた。厳しく非難する」と述べた。
この迫撃砲攻撃に関して、クッルナー・シュラカー(9月30日付)は、2発の迫撃砲弾がマーリキー地区の大統領宮殿の屋根などに着弾したほか、カフルスーサ区の軍事情報局正門、首相府近くの建物に着弾したと報じた。
このほか、バルザ区では、軍と国防隊がシャームの民のヌスラ戦線などからなる反体制武装集団と交戦、軍が同地区を砲撃した。
一方、SANA(9月30日付)によると、カーブーン区、ジャウバル区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ムウダミーヤト・シャーム市などで、軍と反体制武装集団が交戦した。
またクッルナー・シュラカー(9月30日付)によると、ジュダイダト・シーバーニー市の軍検問所前で爆弾が仕掛けられた車が爆発し、兵士10人が死亡した。
一方、SANA(9月30日付)によると、アドラー市、シャイフーニーヤ村、ミスラーバー市、バハーリーヤ市、アルバイン市、ハラスター市、ルハイバ市、ザバダーニー市郊外の山間部、ナースィリーヤ村、ダーライヤー市、ムウダミーヤト・シャーム市は、軍が反体制武装集団の追撃を続け、シャーム自由人旅団、シャームの民のヌスラ戦線の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。
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ラッカ県では、シリア人権監視団によると、タッル・アブヤド市西方のスーサク村周辺で、民主統一党人民防衛隊がイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)、シャームの民のヌスラ戦線と交戦した。
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ダイル・ザウル県では、SANA(9月30日付)によると、ダイル・ザウル市ブール・サイード通り、ズィーバーン町で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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アレッポ県では、SANA(9月30日付)によると、アレッポ市旧市街、バニー・ザイド地区、ジュダイダ地区、ライラムーン地区、ダイル・ハーフィル市、アンジャーラ村、マンスーラ村、クワイリス村、アルバイド村、カスキース村、ラスム・アッブード村、アレッポ中央刑務所周辺、キンディー大学病院周辺で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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ヒムス県では、SANA(9月30日付)によると、マルマリーター村、カフルナーン村、ガースィビーヤ村、ハーリディーヤ村、ダール・カビーラ村、カルアト・ヒスン市、アーミリーヤ村、アイン・ダナーニール村、ダイル・フール村、ザアフラーナ村、アイン・フサイン村ヒムス市ワアル地区、クスール地区、カラービース地区、ジャウラト・シヤーフ地区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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ハサカ県では、リハーブ・ニュース(10月1日付)によると、ハサカ市でマサーキン・マハッタ地区西方のバアス党支部棟近くで爆発が置き、党民族治安局(現国民安全保障会議)のアブドゥッサラーム・ジュドゥーア代表が暗殺された。
ジュドゥーア代表は28日に同職に任命され、カウカブ山の軍部隊を視察したあと、ハサカ市に立ち寄り、随行者3人とともに暗殺されたという。
『ハヤート』(10月1日付)は、国連安保理で、周辺諸国からシリア国内への国連の人道機関による人道支援をアサド政権に認めるよう求める安保理議長声明案の審議が始まったと報じた。
複数の外交筋によると、反体制勢力の「解放区」への人道支援を許す可能性のあるこの声明案にロシアは難色を示しているという。
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フランスのローラン・ファビウス外務大臣は、フランス・インター(9月30日付)で「バッシャール・アサドは好き勝手なことを言っているが、十万人以上が犠牲となったことへの責任を人道犯罪者としてとらねばならない」としたうえで、「ジュネーブ2会議は、安保理常任理事国などが出席するかたちで、マイノリティを尊重した統合的な移行期政府について合意するために議論がなされねばならない」と述べた。
また「ジュネーブ2で、我々はテロリスト、過激派、アル=カーイダが利益を得ないよう、政権の代表と穏健な反体制勢力の代用の間で解決策が案出されることを望んでいる」と付言した。
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化学兵器使用に関する国連監視団が、シリア国内での調査を終えて、ダマスカスを撤収、レバノンに向かった。
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化学兵器禁止機関の調査先遣隊(20人)がレバノンのベイルートに到着した。
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赤十字国際委員会は声明を出し、2013年9月の1ヶ月間にシリア国内各地で、32万人に食糧を、10万8,000人に家財道具を、41,240人に調理・掃除器具を提供したと発表した。
また同委員会は、アレッポ市東部のジスル・ハッジ地区での廃棄物収集、各県の住民・避難民に供給するための水道の整備を行ったと発表した。
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サウジアラビアは、第68回国連総会での一般討論演説を急遽とりやめた。
『ハヤート』(10月2日付)は、信頼できる消息筋の話として、シリア情勢をめぐる国連の対応、化学兵器使用に関する国連調査団の報告書の内容への不満が理由だと報じた。
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国境なき医師団(MSF)は、フェイスブック(9月30日付)などを通じて、8月21日のダマスカス郊外県での化学兵器攻撃に関するMSFの姿勢を説明するメゴ・テルジアン会長の映像を公開した(http://www.youtube.com/watch?v=LqFSCFbqMlA&feature=youtu.be)。
このなかで、テルジアン会長は、MFSの発表が「国連の報告と同様には扱えない」としたうえで、「国連の調査と見解が化学兵器使用の有無を見極める」と述べた。
また映像のナレーションは「MFSの発表は武力干渉を正当化する道具ではありません」と付言した。
AFP, September 30, 2013、AKI, September 30, 2013、al-Hayat, October 1, 2013、Kull-na Shuraka’, September 30, 2013, October 1, 2013、Kurdonline,
September 30, 2013、Naharnet, September 30, 2013、Reuters, September 30,
2013、al-Ra’y, September 30, 2013、Rihab News, September 30, 2013, October 1, 2013、SANA,
September 30, 2013、UPI, September 30, 2013などをもとに作成。
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