ダイル・ザウル県ユーフラテス川東岸でアラブ系部族が再び蜂起、シリア政府支配地からも砲撃が行われるなか、シリア民主軍との間で激しく交戦(2023年9月25日)

ダイル・ザウル県では、イナブ・バラディー(9月25日付)によると、アラブ系部族の民兵が、ダイル・ザウル民政評議会(北・東シリア自治局)の支配下にあるズィーバーン町一帯に設置されている人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍の陣地3ヵ所を同時に襲撃した。

この襲撃の数時間前、シリア民主軍の特殊部隊の増援部隊が派遣され、その一部がジュダイド・アカイダート村に集結していた。

東部特派員(ムラースィル・シャルキーヤ)ネットで活動するアレッポ県東部在住のメディア活動家のハイラート・ハルフ氏によると、カルアーン部族の民兵が、23日にアレッポ県ジャラーブルス市近郊で、シリア民主軍の狙撃手によって部族のメンバー1人を殺害されたことへの報復として、ダイル・ザウル県内のシリア民主軍の陣地を襲撃、デイル・アウル・ナウはX(旧ツイッター)のアカウント(https://twitter.com/DeirEzzorNow/)で、部族の民兵がズィーバーン町一帯に設置されているシリア民主軍の陣地14ヵ所のうち10ヵ所を制圧したと発表した。

これに対して、シリア民主軍はスブハ村、ダフラ村、アブリーハ村、ブサイラ市、タヤーナ村で外出禁止令を発出、モスクのミナレットから拡声器を通じて、外出禁止令に違反した者は狙撃手が標的とすると住民に対して警告した。

シリア民主軍に所属するハジーン軍事評議会もテレグラム(https://t.me/hajeendeeealzoor/)を通じてシュハイル村からバーグーズ村に至る地域で外出禁止令を発出したとする声明を発表した。

なお、アカイダード部族の部族長の1人でシリア民主軍に対する蜂起を指導するイブラーヒーム・ハフル氏は音声声明を出し、シリア民主軍によって奪われた地域を奪還するためにズィーバーン町への攻撃を開始すると宣言した。

シリア人権監視団によると、ハワーイジュ・ズィーバーン町、タヤーナ村、ズィーバーン町、マフカーン町、ハワーイジュ・マフカーン村、ハワーイジュ村でシリア民主軍と地元の武装集団が交戦した。

このうち、タヤーナ村では、地元の武装集団がシリア民主軍の拠点を襲撃、シリア民主軍の兵士が死傷、ズィーバーン町では地元の戦闘員2人が死亡、2人が負傷した。

またハワーイジュ村では、女性1人が流れ弾を受けて死亡した。

一方、シリア政府の支配下にあるユーフラテス川西岸からズィーバーン町に向かって砲撃が行われ、砲弾複数発が民家に着弾、住民4人が負傷した。

これに対して、シリア民主軍はユーフラテス川西岸のマヤーディーン市一帯などに配置されているシリア軍の陣地複数ヵ所を砲撃するとともに、無人航空機(ドローン)で爆撃を行った。

この戦闘に関して、ANHA(9月25日付)が伝えたところによると、シリア民主軍の広報センターは声明を出し、シリア軍に所属する二つの武装グループが、ユーフラテス川西岸のマヤーディーン市からの無差別砲撃に紛れるかたちで、東岸のズィーバーン町一帯に潜入、シリア民主軍が即日に安全と安定を確保するために必要な措置を講じ、住民を近隣の安全な地域に誘導、武装グループの攻撃を阻止、メンバーらを殲滅、投降させたと発表した。

シリア人権監視団によると、このほか、米主導の有志連合の航空機がダイル・ザウル県ユーフラテス川東岸に飛来、音速で旋回を続けた。

なお、シリア人権監視団によると、一連の戦闘での死者は23人(うち地元の戦闘員18人、シリア民主軍兵士5人、女性1人)、負傷者は42人(うちシリア軍の砲撃による民間人負傷者4人、地元の戦闘員26人、シリア民主軍兵士12人)に達した。

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ラッカ県では、シリア人権監視団によると、北・東シリア自治局の支配下にあるラッカ市で、同自治局傘下のラッカ民政評議会が両替商に営業保証金の支払いを求めてことに抗議して、両替商らがデモを行った。

AFP, September 25, 2023、ANHA, September 25, 2023、al-Durar al-Shamiya, September 25, 2023、‘Inab Baladi, September 25, 2023、Murasil al-Sharqiya, September 25, 2023、Reuters, September 25, 2023、SANA, September 25, 2023、SOHR, September 25, 2023などをもとに作成。

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