イラクのシャファク・ニュース(10月19日付)などは、10月18日深夜から19日未明に、米軍が駐留を続けるアンバール県のアイン・アサド基地とアルビール県のハリール基地が無人航空機(ドローン)やロケット弾による攻撃を受けたと伝えた。
シャファク・ニュース(10月19日付)はまた、19日にもアイン・アサド米軍基地に向けてグラード・ロケット弾複数発が発射されたと伝えた。
これに関して、 米中央軍(CENTCOM)は18日午後11時頃に声明第20231018-01号を出し、米軍がイラク領内の米軍および有志連合に接近したドローン3機を応戦したと発表した。
声明によると、イラク西部で、米軍がドローン2機と交戦し、1機を破壊、1機に損害を与える一方、イラク北部でドローン1機を破壊した。
イラク西部での交戦では、有志連合側に若干の負傷者が出たという。
一方、イラク・イスラーム抵抗は19日、この二つの攻撃のうちアイン・アラブ基地に関して、多数のロケット弾を撃ち込んだとして関与を認めた。
イラク・イスラーム抵抗は、イラクのシーア派民兵からなる人民動員隊を構成するヒズブッラー大隊、バドル機構、アサーイブ・アフル・ハック、ヌジャバー運動、ジハード連隊、殉教者の主大隊、アンサール・アッラー、フラーサーニー連隊、イラク自由人旅団、などからなる。
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一方、シリアでは、SANA(10月19日付)などによると、アイン・アラブ、ハリール両基地への攻撃の数時間後、米軍が違法に駐留するタンフ国境通行所の基地がドローンの爆撃を受けた。
これに関しても、イラク・イスラーム抵抗が声明を出し、ドローン3機で爆撃を実施、直接の損害を与えたと発表した。
さらにその数時間後、ダイル・ザウル民政評議会(北・東シリア自治局)の支配下にあるダイル・ザウル県ユーフラテス川東岸のアブー・ハシャブ村近郊の砂漠地帯で、ウマル油田とCONOCOガス工場を結ぶパイプラインが攻撃を受け、大きな爆発が発生したと伝えた。
パイプラインは、米国(有志連合)と人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍がシリア産のガスを盗奪ために使用しているもの。
シリア人権監視団によると、爆発は仕掛けられていた爆発物によるものだという。
攻撃を受けて、米軍とシリア民主軍が厳戒態勢を敷き、上空にはヘリコプターが無人航空機(ドローン)が頻繁に旋回し、警戒にあたった。
さらに、これと前後して、米軍が基地を設置し、違法駐留を続けるウマル油田もロケット弾による攻撃を受けた。
シリア人権監視団によると、砲撃を行ったのは「イランの民兵」でロケット弾5発が撃ち込まれた。
砲弾は、シリア政府の支配下にあるユーフラテス川西岸ではなく、ダイル・ザウル民政評議会の支配下にある東岸から発射された。
この攻撃による米軍の人的被害はなかった。
このほか、CONOCOガス田に違法に設置されている米軍の基地もドローンによる爆撃を受けた。
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一方、CNN(10月19日付)は2人の米当局者の話として、イエメン海外近くで米海軍の軍艦が複数の飛翔体を迎撃したと伝えた。
当局者らによると、飛翔体はアンサール・アッラー(フーシー派)が発射したミサイルで、これに対して米軍はミサイル複数発を発射し迎撃したという。
これに関して、国防総省のパット・ライダー報道官(准将)は、米海軍駆逐艦カーニーがフーシー派が発射した地上攻撃用ミサイル3発とドローンを撃破したことを認めた。
AFP, October 19, 2023、ANHA, October 19, 2023、CNN, October 19, 2023、‘Inab Baladi, October 19, 2023、Reuters, October 19, 2023、SANA, October 19, 2023、Shafaq News, October 19, 2023、SOHR, October 19, 2023などをもとに作成。
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