トルコの占領下にあるシリア北部各所でトルコ人レイシストによる商店などへの襲撃、トルコのシリア難民の強制出国、トルコとシリア政府の接近に抗議するデモが発生、トルコ軍とデモ参加者が衝突(2024年7月1日)

トルコの占領下にあるアレッポ県「ユーフラテスの盾」地域、「オリーブの枝」地域、ハサカ県とラッカ県に跨る「平和の泉」地域各所で、トルコのカイセリ県でのトルコ人レイシストによる商店などへの襲撃(シリア人男性が7歳の幼女を強姦したことが発端)、トルコ当局によるシリア難民への強制出国、トルコ占領下の「ユーフラテスの盾」地域とシリア政府の支配地域を結ぶアレッポ県アブー・ザンディーン村の通行所の再開など、トルコとシリア政府の接近に抗議するデモが発生した。

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「ユーフラテスの盾」地域では、バーブ・サラーマ国境通行所で、デモが発生、デモ参加者がトルコから入国した貨物車輛などを襲撃、これに対してトルコ軍憲兵隊が発砲するなどして対応、これによって、子供1人が負傷した。



同じく「ユーフラテスの盾」地域内の拠点都市の一つジャラーブルス市の国境通行所でも、デモ参加者らが施設を襲撃し、トルコ軍の憲兵隊が発砲した。

ラーイー村では、住民数十人が集まり、トルコ領内からバーブ・サラーマ国境通行所を経由して「ユーフラテスの盾」地域に入ったトルコの貨物車輛の進行を阻止、またトルコが設置している郵便局(PTT)が若者らによって閉鎖され、従業員が放逐された。

また、トルコ国旗が破られ、引きずり下された。

アアザーズ市でも、PTTが襲撃を受け、閉鎖される一方、トルコ国旗が破られ、引きずり下された。

バーブ市では、活動家らがトルコの車輛の進入を阻止した。

このほか、ガンドゥーラ町、マーリア市でも抗議デモが発生した。

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「オリーブの枝」地域では、中心都市アフリーン市では、トルコ人執政官(ワーリー)が滞在する「サラーヤー」(宮殿)前で、活動家らが抗議デモを行い、「サラーヤー」を襲撃、デモを強制排除しようとして発砲したトルコ軍憲兵隊と撃ち合いとなった。

この戦闘で、デモ参加者1人が死亡、7人が負傷した。

また、アフリーン市近郊のガザーウィヤ村に設置されている通行所やカフル・ジャンナ村では、トルコ国旗が破られたり、引きずり下ろされた。

ジャンディールス町でも抗議デモが発生した。

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「平和の泉」地域では、ラアス・アイン市で同様のデモが発生した。



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シリア北部各所でのデモ発生を受けて、インターネット通信が遮断された。

なお、デモは少なくとも15カ所で発生、アフリーン市とジャラーブルス市で4人が死亡した。

AFP, July 1, 2024、ANHA, July 1, 2024、‘Inab Baladi, July 1, 2024、Reuters, July 1, 2024、SANA, July 1, 2024、SOHR, July 1, 2024などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

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