イスラエル軍の爆撃激化を受けて、レバノン人、シリア人がレバノンからシリアに避難するなか、シリア政府は避難者を収容するためのセンター設置を準備し、入国にかかる手続きを省略化して、住民らを受け入れるよう指示(2024年9月24日)

AFP(9月24日付)は速報として、レバノンに対するイスラエル軍の爆撃激化を受けて、レバノンから約100人が越境し、シリア領内に避難したと伝えた。

日刊紙『ワタン』もテレグラムを通じた速報で、正午までにレバノン人約2,000人とシリア人約3,000人がジュダイダト・ヤーブース国境通行所を経由して、シリア領内に避難したと伝えた。

イナブ・バラディー(9月24日付)によると、100人あまりが国境通行所を経由せず、レバノン領内からシリア領内に避難した。

シリア人権監視団によると、避難は23日から増加し、マスナア国境通行所(シリア側はダマスカス郊外県ジュダイダト・ヤーブース国境通行所)に多くのレバノン人が押し寄せているという。

また、同監視団によると、24日のイスラエル軍のレバノンに対する爆撃でシリア人45人(うちシリア難民は23人)が死亡した。

なお、23日のイスラエル軍のレバノンに対する爆撃では、シリア人22人(うち女性5人、子供11人)が死亡した。

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保健省の広報局は、レバノンに対するイスラエル軍の爆撃激化を受けて、フェイスブックの公式アカウント(https://www.facebook.com/MinistryOfHealthSYR/)を通じて、レバノンからシリアに入国する市民への医療サービスの提供、救急患者受け入れ、病気の診断や検査、自動への予防接種状況の確認を24時間体制で行っていると発表した。

同措置は、シリアとレバノンを結ぶすべての通行所、すなわちジュダイダト・ヤーブース(マスナア)国境通行所、ジスル・カマール(タッルカラフ、ワーディー・ハーリド)国境通行所、ジュースィーヤ(カーア)国境通行所、ダブースィーヤ(アッブーディーヤ)国境通行所、マトリバー(ハムラー)国境通行所、タルトゥース(アリーダ)国境通行所で実施されている。

シリア・アラブ赤新月社も同様の声明を出した。

また、SANA(9月24日付)によると、アフマド・イブラーヒーム・ダマスカス郊外県知事がジュダイダト・ヤーブース国境通行所を視察した。

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これに関して、シリア人権監視団、シリア・スターズなどは、シリア政府が、各自治体や関係機関に対して、レバノンからの避難者を収容するためのセンターの設置を準備し、入国にかかる手続きを省略化して、住民らを受け入れるよう指示したと伝えた。

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一方、ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ジャースィム市の地元武装集団が、イスラエル軍の爆撃激化に伴い、レバノン人がシリアへの避難を開始したことを受けて、レバノンのシーア派住民の受け入れを拒否すると宣言、受け入れた場合はバアス党員のメンバーを殺害するなどと脅迫した。

AFP, September 24, 2024、ANHA, September 24, 2024、‘Inab Baladi, September 24, 2024、Reuters, September 24, 2024、SANA, September 24, 2024、SOHR, September 24, 2024などをもとに作成。

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