アレッポ県では、シリア人権監視団によると、イスラエル軍戦闘機複数機がサフィーラ市近郊の防衛工場機構一帯を多数のミサイルで攻撃し、「イランの民兵」のシリア人4人が死亡、6人が負傷した。
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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、イスラエル軍戦闘機複数機がシリア政府の支配下にあるサラーキブ市一帯の複数ヵ所に対して2回の爆撃を行い、身元不明者1人が死亡、シリア軍兵士6人が負傷した。
また、「第80監視団アブー・アミーン」はテレグラム(https://t.me/syrianevent1/)を通じて、サラーキブ市一帯に対するイスラエル軍の爆撃で、「アライン連隊、アーシューラー連隊、アサーイブ・アフル・ハックといった「イランの民兵」の戦闘員7人が死亡、15人以上が負傷したと主張した。
イスラエル軍がイドリブ県を爆撃するのは、2020年までにシリア政府が同地の南部と東部の支配を回復して以降初めて。
イスラエル軍の爆撃と前後して、同地一帯に展開するシリア軍が「シリアのアル=カーイダ」として知られる国際テロ組織のシャーム解放機構の支配下にあるサルミーン市などイドリブ県内各所、アレッポ県のアターリブ市を砲撃するとともに、カフル・アンマ村の農園一帯を自爆型のFPV無人航空機1機で攻撃、シャーム解放機構がこれに応戦していた。
このうち、アターリブ市の住宅地や公害には20発以上の砲弾が着弾し、住居1棟で火災が発生した。
また、ホワイト・ヘルメットのX(https://x.com/SyriaCivilDefe/)などによると、サルミーン市では、シリア米医療協会(SAMS)の施設が狙われ、施設の庭が被弾、一時利用できなくなった。
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この爆撃に関して、シリアの国防省はフェイスブックの公式アカウント(https://www.facebook.com/mod.gov.sy/)は、午前0時45分頃、イスラエル軍がアレッポ市南東方面からアレッポ県とイドリブ県の農村地帯の複数ヵ所を狙って航空攻撃を行い、軍関係者多数が負傷し、一部で物的損害が生じたと発表した。
シリア人権監視団によると、イスラエル軍は、米国が違法に部隊を駐留させているヒムス県のタンフ国境通行所一帯地域(55キロ地帯)を経由して、ダルアー県とスワイダー県の上空に侵入、シリア軍のレーダーがこれを捕捉していたが、迎撃しなかったという。
また、スプートニク・アラビア語版(11月9日付)は、X(https://x.com/sputnik_ar/)で、航空機複数機がシリア・ヨルダン国境地帯の空域を経由して、イスラエル占領下のゴラン高原方面に飛行していったとしたうえで、これらの航空機が、55キロ地帯上空を経由して、アレッポ県とイドリブ県で爆撃を行った航空機である可能性が高いと報じた。
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スワイダー県でも、シリア人権監視団によると、イスラエル軍戦闘機複数機がシャフバー町近郊のマスィーフ丘にあるシリア軍のレーダー大隊基地の上空に飛来し、同基地を2回にわたって爆撃した。
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ヒムス県でも、シリア人権監視団によると、イスラエル軍戦闘機複数機が、フーシュ・サイイド・アリー村に近い「非公式」のジャルマーシュ国境通行所と、通行所に近い橋に対して2回の爆撃を実施した。
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一方、ラタキア県では、シャーム解放機構が国民解放戦線(シリア国民軍)と主導する「決戦」作戦司令室諸派がシリア政府の支配下にある県北部のナフシャッバー村一帯を砲撃した。
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シリア人権監視団によると、イスラエル軍の攻撃は、今年に入って145回(うち119回が航空攻撃、26回が地上攻撃)となり、これにより258あまりの標的が破壊され、軍関係者279人が死亡、216人が負傷した。
同監視団によると、軍関係者の死者内訳は以下の通りである。
イラン人(イラン・イスラーム革命防衛隊):25人
ヒズブッラーのメンバー:54人
イラク人:28人
「イランの民兵」のシリア人メンバー(カーティルジー・グループ社も含む):82人
「イランの民兵」の外国人メンバー:25人
シリア軍将兵:62人
身元不明者:1人
また、民間人も51人が死亡、58人あまりが負傷している。
攻撃の県別内訳は以下の通りである。
ダマスカス県、ダマスカス郊外県:51回
ダルアー県:17回
ヒムス県:46回
クナイトラ県:16回
タルトゥース県:3回
ダイル・ザウル県:5回
アレッポ県:3回
ハマー県:4回
スワイダー県:3回
ラタキア県:2回
イドリブ県:1回
AFP, November 9, 2024、ANHA, November 9, 2024、‘Inab Baladi, November 9, 2024、Reuters, November 9, 2024、SANA, November 9, 2024、SOHR, November 9, 2024などをもとに作成。
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