シャーム解放機構が主導する「攻撃抑止」の戦い軍事作戦局はM5高速道路を遮断する一方、シリア軍とロシア軍の爆撃続く:作戦司令局で指揮にあたるシャーム解放機構のジャウラーニー指導者の写真が公開される(2024年11月28日)

シャーム解放機構、国民解放戦線(シリア国民軍)などによって構成される「決戦」作戦司令室がアレッポ県西部およびイドリブ県南東部で11月27日に開始した「攻撃抑止」の戦いは28日も続いた。

「攻撃抑止」の戦い軍事作戦局がテレグラムの専用アカウント(https://t.me/aleamaliaat_aleaskaria/)を通じて発表したところによると、この侵攻によって、アレッポ県のズィルバ村などを新たに制圧し、アレッポ市と首都ダマスカスを結ぶM5高速道路を寸断した。

また、M5高速道路の沿線に位置するハーン・アサル村も制圧、アレッポ市の西2キロ地点にまで進軍した。

イドリブ県でも「決戦」作戦司令室は、カフル・バッティーフ村、オリーブ工場、ダーディーフ村、ジューバース村を制圧した。

「攻撃抑止」の戦い軍事作戦局の発表によると、作戦開始後に制圧した町、村、軍事拠点などの数は33ヵ所に達した。

「攻撃抑止」の戦い軍事作戦局は、制圧した地域を別途通知があるまでの期間、軍管区として封鎖すると発表した。

「攻撃抑止」の戦い軍事作戦局の司令官を務めるハサン・アブドゥルガニー大佐(「決戦」作戦司令室報道官)は、Xに新設されたアカウント(https://x.com/hasanabdalgany/)を通じて、戦車12輌、歩兵戦闘車2輌、機関銃および迫撃砲複数を捕獲し、士官1人を含む兵士20人を捕捉、シリア軍兵士と「イランの民兵」の戦闘員200人を殺害したと発表した。

また、「攻撃抑止」の戦い軍事作戦局の発表によると、無人航空機部隊のシャーヒーン部隊がハーン・アサル村近くの警察学校に設置されている多連装ロケット弾発射台とナイラブ航空基地に配備されているヘリコプター1機を破壊した。

RIAノーヴォスチ(11月28日付)によると、イドリブ県サラーキブ市一帯に戦闘が波及したことを受けて、シリア軍は、旅行者の安全を確保するためとして、M5高速道路を封鎖した。

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ホワイト・ヘルメットは、シャーム解放機構の支配下にあるイドリブ県とアレッポ県へのシリア軍、ロシア軍、「イランの民兵」の爆撃、砲撃、ミサイル攻撃によって、28日(午後5時30分時点)の1日で、子ども5人と女性2人を含む民間人20人が死亡し、子ども9人と女性5人を含む33人が負傷したと発表した。

死者20人のうち15人(うち子ども4人と女性2人)と負傷者33人のうち5人(うち子ども2人)はシリア軍とロシア軍によるアレッポ県アターリブ市への爆撃による犠牲者だという。

また、アレッポ県のダーラト・イッザ市の住宅街や市場、大モスク近くなどに対するロシア軍の爆撃で、民間人4人が死亡、子ども7人を含む民間人21人が負傷した。

一方、イナブ・バラディー(11月28日付)によると、イドリブ県のファイルーン村に対するシリア軍とロシア軍のクラスター弾による爆撃で、民間人複数が負傷したほか、両軍は、アリーハー市および同市近郊に対しても爆撃を行った。

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シリア人権監視団によると、27日以降の戦闘での死者は231人に達した。

内訳は以下の通り:

戦闘員211人
シャーム解放機構109人
国民軍(国民解放戦線)諸派20人
シリア軍側82人(うちシリア軍士官4人、「イランの民兵」6人、イラン・イスラーム革命防衛隊顧問1人)

民間人20人(うち子ども5人、女性3人)

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シリア人権監視団によると、反体制派諸派は、アージル村および同地一帯でシリア軍兵士8人を捕捉、これにより捕虜となったシリア軍兵士は12人となった。

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一方、ロシア軍とシリア軍の爆撃は63回に達した。

内訳は以下の通り:

27日
シリア軍
ワースィタ村4回
ダーラト・イッザ市東(第111中隊基地一帯)4回

ロシア軍
ダーラト・イッザ市一帯3回
タフタナーズ市近郊1回
カブターン・ジャバル村一帯6回
カフル・タアール村一帯4回
ナイラブ村4回
アブザムー村1回
シャイフ・バラカート村3回
サーン村3回

28日
サルミーン市一帯4回
マジュダリヤー村一帯4回
ナイラブ村2回
サラーキブ市一帯4回
ダーディーフ村2回
ダーラト・イッザ市4回
アターリブ市2回
アリーハー市および同市一帯3回
ダーディーフ村2回

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シリア人権監視団によると、シリア軍はカフルラーター村に設置されているトルコ軍の拠点複数ヵ所を直接砲撃した。

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「攻撃抑止の戦い」軍事作戦局がテレグラムの専用アカウント(https://t.me/aleamaliaat_aleaskaria/)を通じて28日に行った主な発表は以下の通り。

午前7時10分、アルナーズ村、カフルバスィーン村を制圧したと発表。

午前8時40分、「イランの民兵」2人を捕捉したと発表。

午前10時13分、シャーヒーン大隊が警察学校に設置されている多連装ロケット砲の砲台1ヵ所に対して特殊作戦を実施、これを破壊したと発表した。

午前10時38分、アレッポ県のバスラトゥーン村、アルナーズ村、シャイフ・アリー村、オリーブ工場、第2技師地区農村地帯、イドリブ県のダーディーフ村とダーディーフ丘を制圧したと発表。

午後11時44分、アージル村一帯でシリア軍兵士8人を捕捉。

午前11時47分、シャーヒーン大隊がカフルナーハー村にある軍の陣地や集結地を攻撃したと発表。

午後12時51分、カフルナーハー村を制圧したと発表。

午後1時32分、アブー・ズバイル・シャーミー軍事司令官のビデオ声明を配信。

午後2時8分、Xにアカウント(https://x.com/hskaleaskaria)を開設したと発表。

午後3時24分、ハサン・アブドゥルガニー司令官のビデオ声明を配信。

午後3時51分、アレッポ県のハーン・アサル村、カフルナーハー村、ヤーキド・アダス村、第1技師地区農村地帯、カフル・バッティーフ村を制圧し、戦車10輌などを捕捉したと発表。

午後4時15分、ハサン・アブドゥルガニー司令官のXの公式アカウント(https://x.com/hasanabdalgany)を開設したと発表。

午後5時16分、これまでにシリア軍兵士200人以上を殺害、100人以上を負傷させたと発表。

午後5時18分、ズルバ村、行政事務ブロック、「魔法の世界」複合施設、ラーキム丘を解放し、電力協会で、大砲4門、2S1グヴォズジーカ 122mm自走榴弾砲2門、迫撃砲倉庫を捕獲したと発表した。

午後5時31分、「攻撃抑止の戦い」で解放した地域を、別途通知があるまで、軍事閉鎖地区に指定すると発表。

午後8時42分、作戦司令局で指揮にあたるシャーム解放機構のアブー・ムハンマド・ジャウラーニー指導者の写真を公開。

午後8時51分、ハサン・アブドゥルガニー司令官のビデオ声明を配信。

午後9時1分、カフル・ハラブ村を解放したと発表。

AFP, November 28, 2024、ANHA, November 28, 2024、‘Inab Baladi, November 28, 2024、Reuters, November 28, 2024、RIA Novosti, November 28, 2024、SANA, November 28, 2024、SOHR, November 28, 2024などをもとに作成。

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