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アサド大統領は運命の夜(ライラト・カドル)に合わせて、ダマスカスの大統領宮殿で各界の代表らを招いてイフタールを行い、出席者の前で演説を行った。
演説は45分間にわたり、シリアの各テレビ局で生放送された。
アサド大統領の演説での主な発言は以下の通り。
「戦いが、メディア、SNS、社会のなかで行われていることは確かだが、危機は戦場においてのみ決着する…。我々みなが苛まれている経済的困窮、サービスの低下、そしてシリア人として日々苦しんでいることのすべては、治安状況に関わっている。テロを打破することによって以外に解決策はない…。鉄拳で打破する以外に、テロを解消するものはない」。
「この種の戦いにおいて、我々には、シリア人としてともに勝利するか、ともに敗北するかしかない」。
「(武装テロ集団との戦闘の訓練を受けていなかった)正規軍は、ほぼ不可能だったことを達成した…。よりよい戦果が達成された地域は、精神面での支援に加えて、実質的な支援があった地域だ」。
「悪党がしかける戦争を越える唯一の戦争とは人民による戦争だ。この戦争は軍が国民とともに行うものである。これが実際に起きたことであり…、もしこの人民戦争において成功すれば、ほかの地域にも大きく貢献することになろう。私は、解決が簡単だと言うことができる。数ヶ月中に、シリアは危機を脱し、テロを打破できる。なぜならアッラーはみなとともにあるからだ」。
「政治プロセスそのもの、そして政治プロセスにおける進展はあり得ない。テロがすべての場所で破壊を続けている。正しいかたちで政治が動くようにするため、テロを打破せねばならない」。
「同時並行路線も阻まれていない。我々がテロを打破し、それとともに政治プロセスがあるのならば、阻むものはない。しかしこれはテロとの戦いを停止するのを正当化するものではない」。
「我々には、愛国的な反体制勢力というものがあり、当初から政治的・国民的な行動をとってきた。こうした反体制勢力の一部はこの講堂で我々と席をともにしている…。愛国的でない反体制勢力もおり、利益を上げること以外の何ものもめざしていない…。その一部は複数のアラブ諸国から資金を握らされている」。
「反体制勢力を支援している国々は、自らが追及している結論が不可能だと納得するにいたった…。アラブ世界をはじめとするほとんどの国は、よく知られた少数の国を除くと、現実に目を向けるようになっている」。
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アサド大統領は2013年政令第54号を発し、内閣の許可なく、シリア・ポンド以外の通貨での取引を行うことを禁止し、違反者に対して禁固6~10ヶ月の実刑、ないしは罰金刑を科すことを定めた。
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ワーイル・ハルキー首相は、イランのハサン・ロウハーニー大統領の就任に合わせてテヘランを訪問、同大統領と会談した。
SANA(8月4日付)によると、会談で、ロウハーニー大統領は「確固とした戦略的、歴史的関係は、両友好国とその国民どうしを結びつけ、相互理解、共通の運命を起訴としており、両国国民の意思を反映している。世界のいかなる国もこれを揺るがすことはできない」だと述べた。
また「安定を回復し、脅威に立ち向かい、危機の平和的解決に向けた努力を支援するため、イランはシリアの政府と国民を支援する」ことを確認した。
さらに「シリアで今起きていることは、テロとタクフィール主義者への支援というかたちをとる米・シオニズム的計略を拒否するレジスタンス枢軸を崩壊・打破しようとする試みの挫折だ」との認識を示した。
一方、ハルキー首相は、両国の戦略的関係強化を確認するアサド大統領のメッセージを伝えた。
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クッルナー・シュラカー(8月4日付)は、アサド大統領がダーライヤー市の軍部隊を視察(8月1日)した際の映像に、シャーム外国人大隊(自由シリア軍)のハサン・ジャズラ司令官が映っていたと報じた。
同報道は、ジャズラ司令官が、アサド大統領を出迎える軍の兵士のなかに混じっており、「軍が自由シリア軍内部に浸透していたことを示す証拠」だと報じた。
クッルナー・シュラカー(8月4日付)は、シリア・クルド民主党(バッシャール派)のアブドゥルハキーム・バッシャール書記長が、イラク・クルディスタン地域に「組織された軍事組織を保有しており…、シリア・クルディスタンを防衛する用意がある」ことを明らかにし、民主統一党に受入を呼びかけたと報じた。
これに対して、民主統一党のサーリフ・ムスリム共同党首は「全面拒否する。いかなるクルド政党も独自の民兵を持つことは許されない。そうしたことが起きれば、クルド人地域が将来内戦に曝されるかも知れない」と応えたという。
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クッルナー・シュラカー(8月4日付)によると、シリア・ムスリム同胞団は、シリア・クルド国民評議会の使節団と会談し(場所不明)、シリア情勢について協議した。
会談では、クルド人地域での即時戦闘停止の必要で合意、またシリア・クルド国民評議会は、シリア革命反体制勢力国民連立への参加に向けてシリア・ムスリム同胞団に協力を要請した。
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自由シリア軍北の嵐旅団はフェイスブック(8月4日付)で声明を出し、シリア国内でレバノン人女性370人が拘束されているとしたうえで、「我々は彼女らの釈放のみを交渉する。アサド政権との対話はこのミッションに関して設置されるべき国際委員会を経由して行われる」と主張、また「イランの党(ヒズブッラー)が、イード・アル=フィトル休暇前に我々に巡礼者2人(アレッポ県アアザーズ市で誘拐されたレバノン人)を釈放して欲しいのなら、女性拘束者らを解放するために行動すべきだ」と発表した。
ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、カーブーン区、ヤルムーク区、カダム区で、軍と反体制武装集団が交戦し、軍が砲撃を加えた。
またルクンッディーン区では、政府を支持する一家5人(うち女性4人)が反体制武装集団によって殺害された。
一方、SANA(8月4日付)によると、バルザ区、ジャウバル区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
またブスターン・ダウル地区で反体制武装集団が仕掛けた爆弾が爆発し、市民1人が負傷した。
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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ザマルカー町、ダーライヤー市、フタイタト・トゥルクマーン市、バービッラー市、ヤブルード市、バイト・サフム市、ジスル・カッバース市、フサイニーヤ町、ズィヤービーヤ町、アイン・タルマー渓谷、シャイフ山地方で、軍と反体制武装集団が交戦し、軍が砲撃を加えた。
一方、SANA(8月4日付)によると、アルバイン市、ザマルカー町、ミスラーバー市、ザマーニーヤ農場、カースィミーヤ農場、ダイル・サルマーン農場、ズィヤービーヤ町、フジャイラ村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、外国人戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。
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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、タカード村、アターリブ市、ダーラト・イッザ市、タッル・リフアト市、マンスーラ村、マアーッラト・アルティーク村、シュワイフナ山、バーブ市、アンジャーラ市などで、軍と反体制武装集団が交戦し、軍が砲撃を加えた。
またヌッブル市とザフラー町では、人民諸委員会と反体制武装集団が交戦し、前者の民兵10人と後者の戦闘員11人が死亡した。
さらにアレッポ市では、ハーリディーヤ地区、ザフラー地区、バニー・ザイド地区で、軍と反体制武装集団が交戦し、軍が砲撃を加えた。
一方、SANA(8月4日付)によると、ヌッブル市、アレッポ中央刑務所周辺、ハーン・アサル村、マンスーラ村、タッル・リフアト市、アターリブ市、ダーラト・イッザ市、バーブ市、ラスム・アッブード航空基地周辺、アアザーズ市、マンナグ航空基地周辺で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
アレッポ市では、ラーシディーン地区、ブスターン・カスル地区、ザバディーヤ地区、ライラムーン地区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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ラタキア県では、シリア人権監視団によると、サルマー町を軍が空爆、またバールーダ村、シャイフ・ナッバハーン村、アンバータ村で、軍と反体制武装集団が交戦した。
またジャズィーラ・チャンネル(8月4日付)は、反体制武装集団がハッファ市に向けて、各所を砲撃、シリア軍兵士「80人を殺害、125人を負傷させた」と報じた。
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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ブスラー・シャーム市、ハーッラ市で、軍と反体制武装集団が交戦し、軍が砲撃を加えた。
一方、SANA(8月4日付)によると、バサーラ市、サイダー市、ハーヌート市、アブダラ市、スィヒム・ジャウラーン市、タファス市、タスィール町、アドワーン村、クサイバ市、ムハッジャ村、ヌジャイフ村、アイン・ズィクル村、イズラア市、フラーク市、ムライハ市、ブスル・ハリール市、インヒル市、バフト市、キータ市で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、ヨルダン人、サウジ人戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。
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イドリブ県では、SANA(8月4日付)によると、マストゥーマ村、ジャーヌーディーヤ町、カニーヤ村、カフルルーヒーン村、ハバート市、アルバイーン山で、軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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ダイル・ザウル県では、SANA(8月4日付)によると、ダイル・ザウル市ウルフィー地区、ジュバイラ地区、工業地区、ラシュディー地区、ハウィーカ地区、マリーイーヤ村で、軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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ハサカ県では、シリア人権監視団によると、ラアス・アイン市郊外のタッル・ハルフ市周辺、マアバダ市郊外のカルフーク村、ターヤー村周辺で、民主統一党がシャームの民のヌスラ戦線、イラク・シャーム・イスラーム国と交戦した。
民主統一党はこれに先立ち、3日、タッル・ハルフ市に近いカシュトゥー村を攻撃し、サラフィー主義者の検問所などを制圧していたという。
一方、SANA(8月4日付)によると、ブジャーリー村、ヒラーブ・アスカル村、アブー・カサーイブ村で、軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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ラッカ県では、シリア人権監視団によると、タッル・アブヤド市郊外のサールンジ村、ジャバリー村、スースキー村で、民主統一党がシャームの民のヌスラ戦線、イラク・シャーム・イスラーム国と交戦した。
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ヒムス県では、SANA(8月4日付)によると、ヒムス市バーブ・フード地区、クスール地区、ラッフーム村、トゥワイブ村、タルビーサ市などで、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
またハウラ地方の街道で反体制武装集団が仕掛けた爆弾が爆発し、市民1人が死亡、3人が負傷した。
NNA(8月4日付)によると、北部県アッカール郡アリーダ村で、レバノン領内に入ろうとしたシリア人がシリア領から銃で撃たれ、死亡した。
これを受け、住民が、村にある総合情報総局の施設に投石などを行い、抗議の意を示した。
『サンデー・タイムズ』(8月4日付)は、英国警察が、シリアなどで武装活動を行うサラフィー主義者戦闘員への資金供与を行おうとしていたNGO(Aid Convoy)に対する調査を開始したと報じた。
AFP, August 4, 2013、Aljazeera.net, August 4, 2013、al-Hayat, August 5, 2013、Kull-na Shuraka’, August 4, 2013、Kurdonline, August 4,
2013、Naharnet, August 4, 2013、NNA, August 4, 2013、Reuters, August 4, 2013、SANA,
August 4, 2013、The Sunday Times, August 4, 2013、UPI, August 4, 2013などをもとに作成。
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イドリブ県では、テレグラムの「…
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