アレッポ市バースィル交差点に対する爆撃で30人以上が死傷する一方、「攻撃抑止」軍事作戦局はアレッポ国際空港、イドリブ県南部と東部を制圧:シリア軍、ロシア軍がアレッポ市一帯、イドリブ県から戦略的撤退(2024年11月30日)

シャーム解放機構が主導する「攻撃抑止」軍事作戦局がアレッポ市の大部分を掌握したことを受けて、シリア人権監視団、ANHA(11月30日付)などによると、戦闘機(ロシア軍、シリア軍が明示せず)が29日深夜から30日未明にかけて、アレッポ市中心街のバースィル交差点が爆撃を受け、数十人が死亡した(シリア人権監視団によると、市民16人が死亡、20人が負傷)。


また、アレッポ市中心街のサアドッラー・ジャービリー広場一帯、県裁判所一帯、サラーフッディーン地区一帯、市西部のフルカーン地区などに対して爆撃が行われた。

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これに対して、「攻撃抑止」軍事作戦局は進軍を続け、アレッポ国際空港を掌握、アレッポ市に外出禁止令を発出したほか、シリア軍の戦略的撤退を受けて、イドリブ県南部および東部の25町村、388平方キロメートルを制圧したと発表した。

これにより、「攻撃抑止」軍事作戦局が制圧した市町村、シリア軍基地などは約50となった。

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一方、シリア人権監視団によると、シリア軍(第4機甲師団)と「イランの民兵」がダマスカス国際空港、シーア派住民が多いヌッブル市、ザフラー町、シャイフ・ナッジャール市(工業団地地区)から撤退したことを受け、人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍が同地に展開した。

現地では、11月28日に、ロシア軍部隊がタッル・リフアト市、マンナグ航空基地から部隊を撤退させており、住民らの間で不安が高まっていた。

また、シリア民主軍は、シリア軍が県東部のダイル・ハーフィル市、アッラーン村などから撤退したことを受けて、同地に展開した。

ヌッブル市とザフラー町では、「攻撃抑止」の戦いの開始を受けて、住民らが29日夜から避難を開始していた。

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シリア人権監視団によると、27日以降の戦闘での死者は327人に達した。

内訳は以下の通り:

戦闘員283人
シャーム解放機構155人
国民軍(国民解放戦線)諸派28人
シリア軍側100人(うちシリア軍兵士79人(士官4人)、「イランの民兵」のシリア人メンバー6人、イラン・イスラーム革命防衛隊顧問1人、外国人15人)

民間人40人(うち子ども5人、女性3人、学生4人)

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、ロシア軍戦闘機がシャーム解放機構の支配下にあるイドリブ市に対して1回、フライフィル村に対して4回、カウカバー村に対して2回、カフルムース村に対して2回の爆撃を実施した。

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「攻撃抑止の戦い」軍事作戦局は午前2時7分、テレグラムの専用アカウント(https://t.me/aleamaliaat_aleaskaria/)で以下の通り戦果を発表した。

午前0時6分、シャーム解放機構の精鋭部隊アサーイブ・ハムラー(赤い鉢巻き)部隊の活動を宣伝するビデオを配信。

午前10時56分、イドリブ県のジャルジャナーズ町を解放したと発表。

午前11時40分、イドリブ県のジャルジャナーズ町、タッル・マンス村、アブー・ズフール町を解放したと発表。

午前11時42分、アナダーン市、カフルハムラ村、フライターン市、ハイヤーン町を解放したと発表。

午後12時4分、イドリブ県のマアッラト・ヌウマーン市への進攻を開始したと発表。

午後2時13分、「解放区」からアレッポ市に入った戦闘員と民間人に対して、私有財産、公共施設・機関、インフラを維持し、破壊・侵害したりしないよう求め、違反者を処罰する発表。

午後2時18分、イドリブ県のマアッラト・ヌウマーン市を奪還したと発表。

午後5時00分から翌12月1日午後5時00分までアレッポ市で外出禁止令を発出すると発表

午後3時19分、イドリブ県のカフルナブル市を奪還したと発表。

午後4時4分、ハーン・シャイフーン市を解放したと発表。

午後4時39分、イドリブ県南部および東部の25カ町村、約388平方キロメートルの土地を解放したと発表。

午後10時58分、アレッポ国際空港を制圧中と発表。

午後8時42分、ハマー県およびアレッポ県中部の農村地帯に進攻、シリア軍が数十の拠点から撤退、数十人が離反したと発表。

午後8時59分、シャーム解放機構のアブー・ムハンマド・ジャウラーニー指導者らが軍事作戦総司令部で作戦司令官らとハマー市での軍事作戦の進捗をフォローしている写真を公開。

午後9時21分、ジャウラーニー指導者の声明を発表、内容は以下の通り:

英雄的革命家よ、自由人たるムジャーヒディーンよ、汝らに平安とアッラーの慈悲と祝福があらんことを。我々はこの決定的な瞬間において、避難民である我らが住民を帰還させ、犯罪者体制とイランの民兵の脅威を排除するため、地域の解放を継続する。そのために、勝利の道徳、我々の正統なる宗教の教え、人道的な価値感を遵守しなければならない。我々の敵に対してだけ武器を向けることを課されているのではない。我々はアッラーの前で、我らが人民にどのように振る舞うのかを試されている。シリア人民が数十年に渡って期待してきた試練を築き上げようとしている。
イスラームは我々にやさしさと慈悲を教えてくれた。我々はそれらを正しい場所で用いなければならない。諸君らが戦いで見せてくれた勇気は、民間人に対する厳しさや不正を意味するものではない。人々の精神と財産は、我々の責任において保証されるものだ。彼らの家、財産に危害を与えてはならず、解放区の治安と安全を守るのだ。我々は復讐を望んではいない。正義と尊厳をめざしているのだ。
寛容と赦しの模範となれ。捕虜や敵の負傷者に義しくあれ。殺戮に関与してはならない。イスラームの徳をもって彼らに接せよ。私は、諸君らに対し、戦場でシリア革命を代表し、その原理、価値観を、真に、そして実際に表現する責任を与えている。
我々は今日、昼夜を問わず未来のシリアのために活動を続けている。アッラーのお許しのもとで、すべてのシリア人にとって、正義、尊厳、そして自由の国にとなるシリア。勝利は戦場に置けるものだけでないことを忘れるな。勝利はそこから始まるのだ。我々の側からアッラーに義しいものを示そう。
我々は、アッラーが我々の国を解放し、我々を団結させ、みなが誇れるようなシリアを建設することを助けてくれることを願っている。

午後9時33分、予備のアカウント(https://t.me/aleamaliaat_aleaskaria_1)を開設したと発表。

AFP, November 30, 2024、ANHA, November 30, 2024、‘Inab Baladi, November 30, 2024、Reuters, November 30, 2024、SANA, November 30, 2024、SOHR, November 30, 2024などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

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