シリア軍がクナイトラ県、ダルアー県、スワイダー県から部隊を撤退させ、南部作戦司令室諸派と見られる地元武装集団が同地を掌握:ロシア軍も兵力引き離し地域(AOS)から撤退(2024年12月7日)

シリア人権監視団によると、シリア軍がクナイトラ県、ダルアー県、スワイダー県各所に展開させていた部隊を撤退させ、南部作戦司令室諸派と見られる地元武装集団が同地を掌握した。

シリア軍は兵力引き離し地域(AOS)に隣接する地域からも撤退、これと前後して、ロシア軍もAOSの監視ポストに駐留させていた憲兵隊を撤退させた。

**

ダルアー県では、シリア人権監視団によると、サナマイン市の第9師団の撤退を受けて、「南部作戦司令室」が県全域を掌握、首都ダマスカスまで20キロ弱の距離に到達した。

一方、シリア軍はサナマイン市を砲撃し、民間人6人が死亡した。

**

スワイダー県では、シリア人権監視団によると、地元武装集団がスワイダー中央刑務所に収容されていた収監者を解放した。

また、スワイダー県で活動する反体制武装勢力諸派からなる合同作戦司令室は声明を出し、同県の自治を担うと発表した。

合同作戦司令室は、尊厳の男たち運動、ジャバルの民連合、ジャバル旅団、征服者たちを名乗る組織からなる。

声明の内容は以下の通り:

スワイダ県における最近の情勢を受け、県の安全と安定を確保し、生活を通常の状態に戻すことを目的として、共同作戦室に属する軍事勢力は以下の通りを発表する:
予防措置:県内の治安を確保するため、一連の予防措置を講じる。これには、公的および私的財産の保護、市民の安全の維持が含まれる。
混乱対策:地元勢力は、破壊行為や混乱を引き起こすすべての試みに対処し、公的機関や私有財産に対する暴動や窃盗を行う者を拘束する。
武装解除の実施:市内の安全を完全に確保した後、スワイダー市から武装勢力の撤退を段階的に実施する。同時に、都市の治安を守り、安定を保証するための専門部隊を配置する。
市民活動の活性化:すべての市民団体に対し、統治プロセスにおける役割を強化し、さまざまな分野で市民団体を形成する必要性を訴える。
共同協力:すべての地元勢力に対し、共同作戦室を通じた協力と連携を呼びかけ、県とその住民を守るという目標の一体性を確認する。
緊急通報の受付:24時間体制で通報を受け付ける緊急電話番号を設置し、迅速な対応と安全保障の確保を図る。
宗教的・社会的禁止:宗教指導者たちは、公的または私的財産に危害を加える行為に対して、宗教的・社会的に禁止されていることを強調し、すべての人の安全と安心を守る価値観と慣習を遵守する必要性を再確認する。

**

ダマスカス郊外県では、シリア軍が首都ダマスカス南西のアルトゥーズ町、ザーキヤ町、ハーン・シャイフ町、サアサア町、首都ダマスカス北のアッサール・ワルド町、ヤブルード市、フライタ村、ナースィリーヤ村、ルハイバ市などから撤退を開始した。

一方、ドゥルーズ派宗徒多く暮らすジャルマーナー市で住民らが体制打倒を訴えてデモが発生し、政府の支配を脱した。

これを受けて、シリア軍は、ジャルマーナー市、カタナー市、マアダミーヤト・シャーム市、ダーライヤー市、キスワ市、マッザ航空基地一帯、ドゥマイル航空基地一帯からも撤退した。

このほか、ドゥーマー市で反体制デモが発生、軍事情報局の要員が発砲し、若い男性1人と子ども1人が死亡した。

AFP, December 7, 2024、ANHA, December 7, 2024、‘Inab Baladi, December 7, 2024、Reuters, December 7, 2024、SANA, December 7, 2024、Sham FM, December 7, 2024、SOHR, December 7, 2024などをもとに作成。

SyriaArabSpring

Recent Posts