イスラエル軍がシリア各所への爆撃を継続する一方、クナイトラ県に侵攻し、住民を強制退去させる(2024年12月12日)

地中海沿岸のラタキア県とタルトゥース県では、シリア人権監視団によると、イスラエル軍戦闘機がリア軍の拠点複数ヵ所を狙って爆撃を行った。

爆撃の標的となったのは、ラタキア港、タルトゥース県バーニヤース市近郊のダフル・ズーバ村やタルトゥース市近郊のダフル・サフラー村の貯蔵施設。

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クナイトラ県では、シリア人権監視団によると、イスラエル軍が、クナイトラ県南東部のウンム・バーティナ村西部郊外に新たに侵攻し、兵舎を設置、住民が退去・避難を余儀なくされた。

イスラエル軍はさらに、ハドル村、ウンム・バーティナ村、ハムダーニーヤ村に侵攻し、住民を強制退去させ、同地を占拠した。

イスラエル軍はさらに、シャッアール丘一帯、第90旅団基地などを爆撃し、シリア軍の貯蔵施設などを破壊した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、イスラエル軍戦闘機がアクラバー町のヘリ・ポートを爆撃した。

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イスラエル軍は午後6時5分、テレグラムの公式アカウント(https://t.me/idfofficial)で、イスラエル軍がシリアに対する攻撃の戦果を発表した。

内容は以下の通り:

イスラエル国防軍(IDF)は過去数週間にわたり、情報局主導のもと、シリア国内情勢に関する包括的な状況評価を実施してきた。アサド政権崩壊の可能性を見据え、イスラエル空軍はシリアの戦略兵器を含む高度な軍事能力を排除するための大規模な攻撃計画を準備してきた。
イスラエル空軍の数百機の戦闘機および航空機はここ数日間で、シリアの戦略的兵器に大きな損害を与えた。標的となったのは、戦闘機やヘリコプター、スカッド・ミサイル、無人航空機(UAV)、巡航ミサイル、対艦精密誘導ミサイル、防空ミサイル、地対地ミサイル、レーダー、ロケット弾などである。
攻撃の大部分は、シリアの防空システムに大きな損害を与え、確認された戦略的地対空ミサイルの90%以上が破壊された。シリアの防空ネットワークは中東でもっとも強力なものの一つとされていたが、今回の被害はイスラエル空軍の地域における空軍優位性を示す重要な成果である。
シリア空軍の基地にも攻撃が行われた。攻撃を受けた基地の一つはダマスカス北部地域にあるT-4航空基地であり、ここでは、シリア空軍のSu-22およびSu-24の航空部隊が破壊された。また、別の標的となったのは「Ble」航空基地であり、ここには3つの航空部隊が配置されていた。この基地から約1.5キロの地点にある地対地ミサイルおよびロケット弾の保管施設も攻撃を受けた。
さらに、ヒムス地域を含む製造および保管の主要拠点にも攻撃が加えられた。この地域の施設はシリアのスカッド・ミサイル製造プロジェクトの拠点であり、シリアの製造業におけるもっとも重要なインフラの一つであるCERSに関連している。

AFP, December 12, 2024、ANHA, December 12, 2024、‘Inab Baladi, December 12, 2024、Reuters, December 12, 2024、SANA, December 12, 2024、Sham FM, December 12, 2024、SOHR, December 12, 2024などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

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