シャルア暫定大統領は国民向けてビデオ演説を行い、国民対話大会準備委員会を設置すると発表、国民に国家建設への参加を呼びかける(2025年1月30日)

シリア・アラブ大統領府によると、アフマド・シャルア暫定大統領は国民向けてビデオ演説を行った。

SANAによると、演説の内容は以下の通り。

慈悲深く慈悲あまねきアッラーの御名において。万物の主であるアッラーを称え、誠実なるその使徒、その民、そしてその教友すべてに祝福と平安がありますように。
尊厳あるシリア国民の皆さんへ。私は今、希望と決意に満ちた心を抱きながら、皆さんの前に立っている。この言葉を、シリアのすべての男性と女性へ、強制移民キャンプで暮らす人々へ、(国内)避難民と難民へ、傷つき負傷した者へ、殉教者と失踪者の家族へ、そして、自由なシリアのための闘争に人生を捧げてきた革命の活動家たちへ、届けたい。
私は、我々みなが解放されてから54日を経た今日、皆さんの前に立っている。シリアは、数十年にわたって我々を抑えてきた犯罪者体制の束縛から解き放たれた。54年に及ぶ、シリア史上、そして世界史上もっとも暗い独裁統治の終焉を迎えて54日が経った。
シリアは、第1にアッラーのおかげで、第2に国内外で闘争してきたすべての人、自らの命と地、家と財産、安全と安心を犠牲にしたすべての人のおかげで解放された。
シリアは、殉教者、逮捕された男性と女性、拷問を受けた男性と女性、失踪した男性と女性、嘆き悲しむすべての母親、悲しみに暮れる家族のおかげで解放された。彼らの犠牲、そして皆さんの犠牲があって、私は今日ここに立っている。我々の愛する国の歴史の新たな1章をともに開いていこう。
この勝利は、広場で叫ぶデモに参加した人々の喉から、そして抗議を行った人々のシュプレヒコールが起点となった。ハムザ・ハティーブくんの指先から、デモの歌声から、そしてタドムル、サイドナーヤー、パレスチナ支部の牢獄で捕えられ、拷問に苦しむ人々の嘆きが起点となった。それは、シリアの大地を解放した革命家たちの犠牲によって続けられた。長年にわたるミサイル、樽爆弾、化学兵器の苦しみにもかかわらず、彼らは屈せず、折れることはなかった。
兄弟姉妹の皆さん、私は昨日、国の責務を任された。これは、政治プロセスを法的慣習の範囲内で進行させ、必要な正統性確保するため、法律専門家との集中的な協議を経たうえで行われたものだ。
ここから、私はシリアの大統領として、この運命を左右する時期に皆さんに演説を行っている。我々の祖国が復興し、我々が直面する課題の克服のために、アッラーが我々みなを導かれんことを願っている。それは、国民と指導部が一丸となることで初めて実現される。
私は今日、為政者ではなく、傷ついた我々の祖国への奉仕者として話している。持てる限りの力と意志を尽くして、シリアの統合と復興を実現したいと考えている。皆が、この時期が移行期であり、国内外のすべてのシリアの男性と女性が、排斥や疎外ではなく、自由と尊厳をもって未来を築くために、真に参加することを求められている政治プロセスの一環であることを認識している。
我々は包括的な移行期政府を発足させるために取り組むことになる。この政府はシリアの男女、そして若者らによってその多様性を表現し、自由で公正な選挙実施段階に至るまでの間、新生シリアの(国家)機関の構築への取り組みを委託されることになる。
私に与えられた現在の任務と人民議会解散の決定に基づき、私は、移行期の空白を埋めるため、小規模な立法評議会を選出する準備委員会を設置することを発表する。
我々は今後数日中に国民対話大会の準備委員会についても発表を行う。この委員会は、我々の今後の政治プログラムについて直に議論や協議を行い、さまざまな意見に耳を傾けるプラットフォームとなるだろう。
これらのステップを完了したうえで、我々は移行期の法源となる憲法宣言について発表するだろう。
我々は、今後の期間において、以下の優先事項の策定に注力する。
-社会的平和を実現し、シリア人の血を浴び、我々に対して重大な犯罪や残虐行為を犯した者たちを追跡し、彼らが国内に潜伏しているか国外へ逃亡しているかを問わず、真の移行期正義を通じて裁くこと。
-全シリアの領土の統一を完遂し、単一の権力のもとで、単一の領土に対する主権を確立すること。
-能力と正義に基づき、汚職、縁故主義、賄賂のない強固な国家機関を構築すること。
-シリアの地域的・国際的地位を回復し、尊厳ある真の雇用機会を創出することで、生活環境を改善し、失われた基本サービスを復旧するための強固な経済基盤を確立すること。
自由シリアの民たちよ、祖国建設は我々みなの責務だ。これは、すべてのシリア人に対して、正義と協議(シューラー)によって統治される新たな祖国建設への参加を呼びかけるものだ。
我々はともに、未来のシリアを作ることになる。シリアは、知識と進歩の灯台であり、安全と安定のよりどころだ。繁栄と発展に満ちたシリア。平和と尊敬の手を差し伸べるシリア。アッラーの御許しのもと、誇り高く、尊厳を持ち、繁栄し、安心して暮らせる祖国にその民が戻ることを願いながら。















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