アフマド・シャルア暫定大統領は、就任後初めて、トルコを拠点とするシリア・テレビの単独インタビューに応じた。
インタビューにおけるシャルア暫定大統領の主な発言は以下の通り。
11日間に及んだアサド体制の崩壊を目指した戦いは、イドリブ県で5年間にわたる綿密な計画と、諸派の統一と多様な勢力の統合の結果であった。
体制側は、「攻撃抑止の戦い」が準備されているとの情報を事前に把握しており、あらゆる資源を動員していた。イドリブ県での過去の出来事が繰り返される可能性を理由に戦闘の開始を控えるよう助言する者もいたが、それにもかかわらず戦闘を開始した。
矯正と改革の第一歩が体制の打倒だった。シリアには人的資源と多くの発展要素があり、再興の可能性は十分にある。
イドリブ県にはシリア全土の各県から人々が集まっており、我々は全員を救国内閣に参加させた。首都ダマスカス到着後は、国家機関の維持に迅速に取り組んだ。
シリア解放から2ヵ月の間に、社会のあらゆる階層や在外シリア人と会い、シリアの未来に関して彼らの意見を聞いた。
現在のところ、政党を規制する法律は存在せず、個々の能力に基づいて活動している。新政権では、高度な能力を持つ人材が活躍することになる。
シリアで役職が配分される状態を避けようと試みており、能力がその基準となるだろう。
「攻撃抑止の戦い」に参加した諸派の大都市や町への進入と規律のありようは、社会の平和を維持し、国民に安心感を与えた。
現在、国内の社会的安定は確保されており、シリア国家はすべての宗派(の生活)を保障している。個別の事件は最小限に抑えられている。
我々の優先事項は、武器を管理し、国家の管理下に置くことだ。
すべての者がシリアの統一を支持し、いかなる分割や分離も拒否している。北・東シリアの問題の解決に向けてシリア民主軍との交渉が進行中である。
シリア民主軍側も武器を国家に引き渡す意向を示しているが、一部の細部については依然として意見の相違がある。
旧シリア軍は大きく分裂しており、特定の家族への忠誠が優先されていた。しかし現在は、すべてのシリア人のための国民軍の形成に取り組んでいる。
体制打倒の戦いから2~3週間後、西側の士官の1人と会談した際、彼は外交的な話し方を完全にやめ、立ち上がってこう述べた。「この戦いを人工衛星と無人機を使って監視してきたが、軍事学における非常に重要な学校を見出した。この学校で、我々生徒たちが学ぶに値する軍事学だ」。そして、この士官は自身の勲章を外し、それを私にプレゼントしてくれた。
現在、国内外の専門家を集めた経済チームが形成され、データ分析を基に今後10年間の経済政策を策定中である。
社会主義経済には多くの欠点があり、国民生活に悪影響を与えてきた。シリア経済の再構築と汚職の根絶に取り組む。
経済発展のためには、電力、道路、銀行などの基盤を整備し、その後、経済機関の改革を進める必要がある。
自由市場と投資の促進によって、多くの雇用が創出されるため、適切な投資環境や法律を整備する必要がある。
付け焼刃的対策では、国家の資源は浪費されるだけであり、国家の目標を明確にする必要がある。
シリアは世界の中心に位置し、あらゆる国と相互利益を持つ重要な国家である。
旧体制は、レバノンの内戦を助長し、権力を分割することで各勢力を自らに依存させた。
また、シリアをカプタゴンの最大の生産・輸出拠点へと変えた。
旧体制のもとで、カプタゴンの存在は、地域全体を脅かす戦略的リスクとなっていた。
我々の外交活動は、シリア国民の利益のためであり、シリアをアラブおよび国際社会に復帰させることを目指している。
「シリアは1人の人物によって統治される」という考え方は誤りであり、法律の範囲内で広範な自由が保障されるだろう。
シリアは自然な状態に合致した国家であり、そこでは、共和制が採用され、議会と政府、そして協力し合う各機関が存在してきた。
今後、国民(対話)大会準備委員会を設立し、シリアのあらゆる階層の参加を得る予定である。委員会終了後、憲法宣言が発表されることになる。
大統領選挙に至るまでには、4~5年の期間が必要となるだろう。
移行期の正義と社会平和の間には微妙な差異があるが、シリア国民に対して犯罪を犯した者たちは、とりわけ主要な責任者を中心にすべて追及する。
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