北・東シリア地域民主自治局はフェイスブックを通じて、ラッカ県のラッカ市で、ロジャバ戦略研究センターがシリア国民対話フォーラムを開催したと発表した。
「民主的、自由、多元的なシリアに向けて」とのスローガンのもとに開催されたフォーラムには、250人以上の部族長、名士、宗教関係者、政治活動家、有識者、法律家、政治組織、女性組織、青年組織、北・東シリア地域民主自治局、シリア民主軍の代表、アレッポ県、ダルアー県、スワイダー県、ダマスカス県、ハマー県、ラタキア県などからの参加者が会した。
フォーラムでは、冒頭に北・東シリア地域民主自治局執行評議会共同議長のアフィーン・スワイド氏、シリア民主軍のマズルーム・アブディー司令官らが演説を行い、その後、以下の議題についての議論が行われた。
最期にフォーラムは閉幕声明が読み上げられて終了した。
閉幕声明の内容は以下の通り。
シリア全土の社会は、経済・政治・安全保障面において複雑な課題に直面している。60年以上にわたる独裁体制により、歴史的な遺産と豊富な天然資源を持つこの国は「失敗国家」となった。この体制が定めた憲法のもとで、市民国家を確立するのではなく、逆に「ディープ・ステート」が形成され、自由が抑圧され、人権が侵害され、国の財源が寡頭制の支配下で搾取された。しかし、シリア各地のすべての社会成員からなる数百の愛国的勢力の犠牲と努力によって、最終的にこの独裁体制は崩壊した。
現在のシリアでは、新たな政治・行政体制が形成されつつある。シリアのさまざまな愛国的勢力は、この移行期において見解や提案を提示している。ダマスカスの新政権も国内での対話に対して、一定の開放的な姿勢を示している、シリア社会の大部分は、依然としてこの移行段階に不信感を根強く持っており、政治勢力間の信頼構築が進んでいない状況である。また、多くの政治勢力の言説には、未だに排他的な思考が根強く残っている。
このフォーラムでは、シリアの政治エリート間の相互理解を促進し、排他主義的思考が移行期を支配することを防ぐことを目的とした。我々は、国民対話の継続と、全てのシリア人が権利を享受できる新たな政治体制の構築が不可欠であると確信している。
シリア各地の知識人、学者、宗教指導者、女性、若者、芸術家、社会のあらゆる層の代表者が参加し、シリアの未来像について議論を重ねた。この場を通じて、シリア国民の意志を示し、政治的状況を分析し、国民対話の課題と解決策を模索した。
本フォーラムの最後、我々は一連の考えや提案をまとめ、世論、ダマスカスや自治行政地域の意思決定者に提示することとした。その内容は以下の通りである。
1. シリアの国民対話プロセスは、すべてのシリア人が合意する民主主義の原則と明確な国民的基礎がなければ成功せず、国家の危機は続く。
2. シリア国民対話への外部からの干渉を拒否する。それは、特定の社会成員を排除し、シリア人の間に憎悪を助長するものである。
3. シリアの力は成員の多様性にある。この多様性を受け入れるためには、地方分権を導入することが不可欠であり、これにより国内の安定を確保し、国際制裁の解除と経済回復が可能となる。
4. 国民アイデンティティと地域毎のアイデンティティは矛盾しない。各社会成員が近代シリア史において役割を果たしてきた。それゆえ、政治体制や憲法制定のプロセスに積極的に参加させることを正式に認めなければならない。
5. 建国以来シリア人が受けてきた抑圧の影響に対処するための移行期正義を実現し、被害者への賠償などあらゆる手段で権利を回復することを強調する。
6. すべての避難民・国内避難民の自主的かつ安全な帰還の必要を確認する。彼らの人道的安全を確保し、必要な支援を提供する。
7. シリア社会の大部分が受けてきた抑圧と、シリアを特徴づける文化的・民族的多様性は、すべての政治・社会的要素が排除されることなく参加する社会契約の策定を必要とする。この社会契約を、国の新しい憲法を策定するための唯一の基盤とみなすべきである。
8. 女性はシリア革命において重要な役割を果たし、地域社会の保護にも貢献した。女性の権利を制限することや、公的機関および民間機関における指導的・行政的役職への就任を妨げることを拒否する。
9. 北・東シリア地域は、歴史的、政治的、社会的、文化的に独自の特性を持つ。同地の機関がシリアの新たな政治、行政、経済、文化体制の構築から排除されることを拒否する。
10. 国の資源はすべてのシリア人に属するものであり、公正な原則に基づいて管理されるべきである。その運用は、国の発展と国民全体の福祉向上に貢献するものでなければならない。
11. すべての占領軍はシリアの領土から撤退する必要があると強調する。
12. すべてのシリア人を統合する民主的な国民戦線の結成を呼びかける。
13.参加者は、シリア各地で公開フォーラムや対話集会を開催し、国の未来について議論を深めることに合意した。
14. 参加者は、市民社会組織、青年運動、女性運動の役割の重要性を確認した。
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シリア・クルド国民評議会のムハ…