民主的変革諸勢力国民調整委員会のマンナーア在外局長は化学兵器使用疑惑について独自に調査していることを明かし「いかなるかたちの外国の軍事干渉」への拒否を改めて表明、シリア政府は「テロ集団の主張の嘘を明らかにするため」東グータ地方に国連調査団を受け入れることを決定(2013年8月25日)

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反体制勢力の動き

民主的変革諸勢力国民調整委員会のハイサム・マンナーア在外局長はUPI(8月25日付)にダマスカス郊外県東グータ地方などで軍が化学兵器を使用したとの一部反体制勢力の主張に関して、国連調査団による調査を要求する一方、「数千人の犠牲者が出たなどと言えず、せいぜい500人の犠牲者リストが示されているだけだ。我々が現在持っているデータは、東グータ地方で使用された化学兵器は手製であることを示している。どの当時者が使用したかについて、我々は独自のデータをもって調査しており、性急に発表は行わない」と述べた。

そのうえで「いかなるかたちの外国の軍事干渉をも委員会は拒否し、祖国への敵対行為とみなす」と述べた。

また「我々は非シリア人戦闘員の即時退去と、すべての当時者への武器供与停止を要求している」と強調した。

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ラタキア県で武装闘争を行っているという反体制組織、活動家が共同声明を出し、高性能兵器が供与されなければ、シリア革命反体制勢力国民連立を集団脱会すると発表し、武器弾薬の供与を求めた。

共同声明に署名した組織・活動家は以下の通り:

ラタキア調整
クルド山地サルマー調整
ハッファ調整
ジャブラ・アドハミーヤ調整
ジャブラ地元調整諸委員会
ジャマール・ワルド(シリア革命反体制勢力国民連立メンバー)
ハーリド・マスブート(シリア革命反体制勢力国民連立メンバー)
ムスタファー・スフタ(シリア革命反体制勢力国民連立メンバー)
アナス・アルヌート(シリア革命反体制勢力国民連立メンバー)
ムハンマド・アドナーン・バディーウィー(シリア国民評議会メンバー)
イスマーイール・サーミー・ハーッジ・バクリー(シリア国民評議会メンバー)
ラーミー・カッラ・アリー(シリア国民評議会メンバー)
ハーリド・カマール(シリア国民評議会メンバー)
フィダー・マジュズーブ(シリア国民評議会メンバー)
アブドゥルハミド・サルワーヤ(シリア国民評議会メンバー)
ニウマーン・サブア・ライル(シリア国民評議会メンバー)

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「我らはみなシリア人」は声明を出し、ダマスカス郊外県東グータ地方などで軍が化学兵器を使用したと断じ、「もっとも卑劣な人道犯罪」と非難した。

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クルド・オンライン(8月25日付)は、「イスラーム主義集団」が、ダイル・ザウル県、アレッポ県、ラッカ県からのアラブ人避難民に対して、クルド人が多く住むハサカ県カーミシュリー市の土地を購入し、定住するよう奨励、資金援助を行っていると報じ、同地を「アラブ化」しようとしていると非難した。

シリア政府の動き

外務在外居住者省は声明を出し、シリア・アラブ共和国と国連は、アンゲラ・ケイン国連軍縮担当上級代表のダマスカスの訪問を受けて8月21日にダマスカス郊外で化学兵器が使用されたとされる場所に、アキ・セルストロム氏を団長とする国連調査団を受け入れ、即時に調査を実施することで合意したと発表した。

声明はまた、国連調査団の訪問・調査の日時がシリア政府との調整のもとになされると付言した。

またワリード・ムアッリム外務在外居住者大臣がケイン上級代表との会談で「東グータ地方でシリア軍が化学兵器を使用したとするテロ集団の主張の嘘を明らかにするため、シリアが調査団に協力する用意がある」と伝えたことを明らかにした。

これを受け、国連は声明を出し、化学兵器使用に関する国連調査団が、化学兵器が使用されたとする地域で8月26日月曜日から調査活動を開始するため準備している」と発表した。

SANA(8月25日付)が報じた。

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ウムラーン・ズウビー情報大臣は、「外国そして米国の軍事介入が行われた場合、混乱などに代表されるきわめて危険な影響をもたらすだろう。そして一連の炎が中東全土を焼き付くことになろう」と警鐘を鳴らした。

また「国際情勢、地域情勢は、米国がシリアへの軍事攻撃に向かうことを許さない。シリアへの敵対行為は、いかなる当時者にとっても心地よいものとはならない。なぜなら国際社会や地域のバランスがあり、さらには現地における実際のデータがそれを裏づけているからだ…外国の軍事介入という理論はすでに破綻している。なぜならシリアは依然として現存しており、そこには自律的な制度、軍があり、友好国、同盟国があるからだ」と強調した。

SANA(8月25日付)が報じた。

国内の暴力

ハマー県では、SANA(8月25日付)によると、ハマー市ジャラージマ地区でアナス・ナーイム県知事の車に仕掛けられた爆弾が爆発し、ナーイム県知事が死亡した。

またSANA(8月25日付)によると、ガーブ地方のラウダ・カラーマ街道で、軍がシャームの民のヌスラ戦線のロケット弾発射台を破壊した。

このほか、南北フワイジャ市、ジブリーン村で、軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷・逮捕、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、カダム区、ジャウバル区、カーブーン区を軍が地対地ミサイルなどで砲撃、またヤルムーク区では、軍とパレスチナ人の人民諸委員会が反体制武装集団と交戦し、双方に死傷者が出た。

また、アラビーヤ・チャンネル(8月25日付)は、ダマスカス軍事評議会が、サイイダ・ザイナブ町郊外で、ヒズブッラーとアブー・ファドル・アッバース旅団(イラク人)の戦闘員15人を殺害したと発表したと報じた。

一方、SANA(8月25日付)によると、バルザ区、カーブーン区で、軍が反体制武装集団を追撃し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またザブラターニー地区、バーブ・シャルキー地区に迫撃砲弾が複数発着弾し、市民8人が負傷した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ムウダミーヤト・シャーム市、ダーライヤー市、サイイダ・ザイナブ町郊外、フジャイラ村、リーマー地方、ザバダーニー市、ヤブルード市で軍と反体制武装集団が交戦、軍が砲撃を加えた。

一方、SANA(8月25日付)によると、ザマルカー町ジャンクションを軍が完全制圧した。

またアイン・タルマー村、ハラスター市、ムライハ市、シャイフーニーヤ村、バハーリーヤ農場、ダイル・サルマーン市、ズィヤービーヤ町、フサイニーヤ町、ダーライヤー市、サイイダ・ザイナブ町郊外で、軍が反体制武装集団を追撃し、イスラーム旅団、ドゥーマー殉教者旅団、フダー青年旅団、ダルアーの楯大隊の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ダルアー市各所に軍が空爆を行った。

一方、SANA(8月25日付)によると、シャイフ・マスキーン市、ナワー市、ダルアー市で、軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、イフスィム町、アリーハー市、マルイヤーン村、カフルラータ市、マガーラ村、ナフリヤー市、クーリーン市で軍と反体制武装集団が交戦、軍が砲撃を加えた。

一方、SANA(8月25日付)によると、アリーハー市、ナフラ市、カフルナジュド市、クマイナース村、サラーキブ市、ハーン・スブル村、カフルルーマー村、マアッラト・ヌウマーン市、ヒーシュ村で、軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ラタキア県では、シリア人権監視団によると、サルマー町、ズワイク村、ガマーム村を軍が空爆・砲撃した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、タッル・ダマーン村、ハナースィル市、アッザーン山、クワイリス航空基地周辺で、軍と反体制武装集団が交戦、軍が砲撃を加えた。

またアレッポ市ではバーブ街道地区、シャッアール地区、マサーキン・ハナーヌー地区、カルム・ジャバル地区、サーフール地区で軍と反体制武装集団が交戦、軍が砲撃を加えた。

一方、SANA(8月25日付)によると、ハンダラート・キャンプ、ワディーヒー村、ハーン・アサル市、ナイラブ村、マーイル町、バヤーヌーン町、マンスーラ村、クワイリス村、ジャブール村で、軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またアレッポ市では、サラーフッディーン地区、スワイカ地区、ザフラーウィー地区、アカバ地区、旧市街、サーフール地区、ジュダイダ地区で、軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ヒムス県では、SANA(8月25日付)によると、ヒムス・タドムル街道で、軍がタウヒード旅団の車輌から大量の武器弾薬を押収した。

またヒムス市バーブ・フード地区、クスール地区、ワルシャ地区、サアン村、カルアト・ヒスン市、ダール・カビーラ村、ラスタン市、タルビーサ市、ブルジュ・カーイー村、タッル・ザハブ町、バイト・ハッジュー市、アーミリーヤ市、ワーディー・マアスラーニー、シャンダーヒーヤ村で、軍が反体制武装集団を追撃し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

さらに軍は、ヒムス市ジャウラト・シヤーフ地区のワリード複合商業施設を制圧した。

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クッルナー・シュラカー(8月25日付)は、イラク・シャーム・イスラーム国がジャズィーラ・チャンネルのウマル・ハシュラム特派員を逮捕したと報じた。

逮捕の日時、場所は明らかにされていない。

諸外国の動き

ロイター通信(8月25日付)は、化学兵器が使用されたとされる東グータ地方などへの国連調査団の受入をシリア政府が認めたことに関して、米政権高官が「遅きに失した」と批判、「複数の公式筋や米国および友好国の諜報機関が集めた証言など…から、現段階でシリア政府が民間人に化学兵器を使用したことは間違いないと言える」と一蹴したと報じた。

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フランスのフランソワ・オランド大統領は英国のデヴィッド・キャメロン首相、オーストラリアのケヴィン・ラッド首相とシリア情勢について会談した。

会談後、オランド大統領は「一連の証拠は、8月21日の攻撃が化学兵器によるものだということを示すようになっている。シリア政府に筆舌に尽くしがたいこうした行為の責任があるとの確信にすべてものが導いている」と述べた。

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イラン・イスラーム革命防衛隊のマスウード・ジャザーイリー副参謀長は声明を出し「シリア戦線ラインをワシントンが踏み越えれば、ホワイトハウスにその結果は及ぶだろう」と警鐘を鳴らした。

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ロシア外務省報道官は、ダマスカス郊外県東グータ地方などで軍が化学兵器を使用したとの反体制勢力の主張に関して、西側諸国が「国連調査団に調査結果をあらかじめ押し付けようとして、シリアでの軍事行動を可能にしようとしている」と非難、「米国に対して強く過去の過ちを繰り返さず、国際法に違反しないよう求める…。国連を無視した単独軍事行動はさらなる事態の悪化をもたらす」と警鐘を鳴らした。

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イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、ダマスカス郊外県東グータ地方などで軍が化学兵器を使用したとの反体制勢力の主張に関して「我々は先人の教えを思い出す。それは自分たちで守らなければ、誰が自分たちを守るのか、という言葉である…。我々は国民と国家をどのように守るか知っている。これこそが政府が躊躇することなく、責務をもって行ってきた原則であり、それは続くだろう…。続けざるを得ないだろう」と述べた。

またシモン・ペレス大統領はエルサレムでフランスのローラン・ファビウス外務大臣との会談に先立って「シリアの化学兵器を完全に排除するための国際的な試みが行われる時が来た…。それはきわめて複雑で、負担が大きいが、さらに負担が大きく、そして危険なものになろう」と述べた。

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『ハヤート』(8月26日付)は、複数の反体制勢力筋の話として、アラブ湾岸諸国が400トンの武器を供与したと報じた。

この武器供与は2011年3月以降最大規模で、トルコのハタイ県経由で25日に搬入され、配給が開始されたという。

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ヨルダンのナースィル・ジャウダ外務大臣がエジプトのナビール・ファフミー外務大臣とアンマンで会談した。

会談後、ジャウダ外務大臣は、ダマスカス郊外県東グータ地方などで軍が化学兵器を使用したとの反体制勢力の主張に関して、「恐るべき殺戮」と非難、責任の所在を追求する必要があるとしたうえで、シリアの紛争の政治的解決を支持するとの姿勢を改めて強調した。

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ローマ法王フランシスコはダマスカス郊外県東グータ地方などで軍が化学兵器を使用したとの反体制勢力の主張に関して、ミサの後に「対立ではなく、対話こそ問題の解決に向けた希望の地平を開くものである」としたうえで、「数日前に放映された恐るべき光景は、私に今一度、武器を求める声を沈黙させるための声をあげさせる」と述べた。

AFP, August 25, 2013、Alarabia.net, August 25, 2013、al-Hayat, August 26, 2013、Kull-na Shuraka’, August 25, 2013、Kurdonline, August
25, 2013、Naharnet, August 25, 2013、Reuters, August 25, 2013、SANA, August
25, 2013、UPI, August 25, 2013などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

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