ANHAによると、ハサカ県のカーミシュリー市で「ロジャヴァ・クルディスタンにおけるクルドの姿勢と陣営の統一」コンファレンスが開催され、北・東シリア地域民主自治局の支配地域各地で活動するクルド民族主義勢力、クルディスタン民族大会、北・東シリア地域民主自治局の執行委員会共同議長府、女性・青年組織、文化人、社会活動家、芸術家、部族長、首都ダマスカス、アレッポ市、ハマー市、バーブ市(アレッポ県)、アアザース市(アレッポ県)のクルド人の代表ら400人以上が参加した。
コンファレンスでは、北・東シリア地域民主自治局渉外委員会のイルハーム・アフマド共同議長、バルウィーン・ユースフ民主統一党(PYD)党首、シリア・クルド国民評議会のムハンマド・イスマーイール代表からなるディーワーンが設置された。
コンファレンスには、シリア民主軍のマズルーム・アブディー総司令官も出席し、演説を行い、クルド人の東郷がシリアにとって持続的な力になるとしたうえで、新生シリアには、すべてのシリア国民を庇護する憲法が必要で、これによって分権的な民主国家シリアが建設されると述べた。
ANHAによると、コンファレンスでは「共同政治ヴィジョン」が全会一致で採択され、閉幕した。
「共同政治ヴィジョン」は、シリアの国民分野にかかる15項目、クルド民族分野に11項目からなる。
内容は以下の通り:
第1部 シリア国民分野
1. シリアは、多民族、多文化、多宗教・宗派の国家であり、憲法においては、憲法を越えた原則をもって、アラブ人、クルド人、スィルヤーニー人、アッシリア人、チェルケス人、トルクメン人、アラウィー派、ドゥルーズ派、ヤズーディー教徒、キリスト教徒など、すべての構成要素の権利が保障される。
2. 国家は国際的な条約・協定及び人権、並びに平等な市民権の原則を遵守するものとする。3.
シリアの統治体制は、二院制の議会制を採用し、政治的多元主義、権力の平和的移譲、権力分立を基礎とする。また、地方評議会制度を備えた分権体制を採用する。
4. シリアは分権国家とし、中央と地方の間で権力と富の公正な配分を保障する。
5. 国家の名称、国旗、国歌は、シリア社会の民族的・文化的多様性を反映するものとする。
6. 国家は宗教及び信仰に対して中立であり、宗教儀式の自由な実施を保障するとともに、ヤズーディー教を公式に認める。
7. 国家は、異なる構成要素の特性を尊重する包括的な国民アイデンティティを採用する。
8. 女性と男性の間の完全な平等を保障し、すべての国家機関において女性の代表を確保する。
9. 子どもの権利について、国連およびアムネスティ・インターナショナルの協定に明記された権利を保護し、それぞれの地域特性と能力を考慮しながら、適切な支援と保護を行うものとする。
10. 現行の行政区画を、人口密度(人口集積)および地理的面積を考慮して再検討する。
11. 国内外に持ち出されたシリアの文化財および遺跡を本来の所在地に返還する。
12. クルド人地域を含むすべての地域における人口動態の変化による結果を無効とし、そのような変化を停止する。また、スィリー・カーニヤ(ラアス・アイン)、ギレ・スピ(タッル・アブヤド)、アフリーンなどの、強制的に避難させられた住民たちの安全な帰還を保障する。
13. 国際的後援の下、すべてのシリア構成要素の代表を含む憲法制定会議を設置し、民主的な原則の策定およびシリアのすべての構成要素を代表する完全な執行権限を有する政府を樹立する。
14. 母語による表現と教育、文化活動の実施を、すべての構成要素の権利として保障する。
15. 3月8日を「女性の日」として祝日に制定する。
第2部 クルド民族領域
1. クルド地域を統一し、シリア連邦制の枠組みの中で一体的な政治・行政単位とする。
2. シリアにおけるクルド民族の存在を先住民族として承認し、国際的な条約・協定に基づき、政治的・文化的・行政的権利を自由かつ平等に行使できることを憲法上保障する。
3. シリア革命の殉職者、シリア民主軍、治安部隊、獄中死した囚人たち、そしてダーイシュ(イスラーム国)との戦いとその虐殺に抵抗して命を落とした者たちの犠牲に敬意を表し、その遺族を支援し、法的条文に基づき権利を保障する。
4. 青年を社会の中核的な力と見なし、国家のあらゆる機関において公正な参加と代表を保障する。
5. クルド語をアラビア語と並ぶ公用語として憲法に明記し、教育と言語使用の自由を保障する。
6. クルド語、歴史的遺産、文化に関するセンター及び機関を設立し、クルド語によるラジオ・テレビ放送局、書籍・雑誌・印刷物の出版、研究機関を開設する。
7. クルド人の立法、司法、行政及び治安機関への参加を保障する。
8. 3月21日をナウルーズとして公式祝日に制定し、3月12日をカーミシュリー蜂起記念日とする。
9. クルド人に対して実施されたアラブ・ベルト計画やアラブ化政策など、差別的政策・措置・法令をすべて廃止し、これにより被害を受けた者たちに補償を行い、施行前の状態に回復する。また、シリアの主権とクルド人の存在を損なう秘密または公然の協定も無効とする。
10. 1962年の例外的国勢調査により無国籍となったクルド人市民のうち、未だに国籍を有しない者および記載のない者に対し、シリア国籍を回復させる。
11. クルド地域のインフラ整備を促進し、かつて意図的に行われた疎外と無視を是正するため、地域の資源からの収益の一定割合を開発・復興に充てる。
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ANHAによると、シリア民主評議会は声明を出し、コンファレンスに関して、「生命の意志と、抹消と周縁化を試みた何十年にわたる挑戦に対抗する集団としての不屈の精神を体現する歴史的な一歩」だと高く評価した。
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ANHAによると、カーミシュリー市ではコンファレンスを支持する集会やデモが各所で行われた。
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シリア・クルド国民評議会のムハ…