『ナハール』:新興の反体制組織「シリア・イスラーム抵抗戦線」のリダー総司令官が組織の概要、第1回臨時大会の様子を語る(2025年5月13日)

『ナハール』は、シリア・イスラーム抵抗戦線のアブー・ジハード・リダー総司令官(通称:リダー・フサイン)とのインタビューに成功したとして、その内容を伝えた。

シリア・イスラーム抵抗戦線をめぐっては、5月5日から6日にかけて第1回臨時大会を開催、声明を発表したのを受けて、シリア人民抵抗、(ムンズィル・W准将が指導)旧政権の共和国護衛隊のミクダード・ファティーハ氏(国外に逃亡中)から離反した「沿岸の盾」、アライン連隊(アブー・シュアイブなる人物が指導)、東部地区人民抵抗、ダルアー県とクナイトラ県で活動する人民抵抗などが合流していた。

インタビューでは、初めて、マフムード・マワーリダ政治局長、バトゥール・バドル女性局長、アッバース・アフマド中央広報局長、ジブラーン・サーリム経済局長、マラーク・ザーヒル在外居住者部隊長、アリー・アシュカル組織局長など、戦線の指導評議会のメンバーが明らかにされた。

なお、『ニューズウィーク』誌は、これまでに同戦線の指導者への取材を行い、4月8日付記事と4月23日付記事でその発言を紹介しており、また『ナハール』紙も3月27日付記事で同戦線に関する報道を行っている。

インタビューのなかで、アブー・ジハード・リダー総司令官は次のように述べている。

嵐の只中から、傷つきながらも耐え続けるダマスカスの中心から、我々は歴史の決定的な瞬間において、まずアッラーに、そしてあなた方に誓った。この地を離れず、武器を手放さないことを。
今日、我々は、シリア・イスラーム抵抗戦線(ウーリー・バアス(武勇に富んだ者たち))の結成を宣言した。なぜなら、待つことは裏切りであり、ためらいは死に等しいからだ。そして今、真実は太陽のように明らかになりました。我々が存在するか否か、選ぶときが来たのだ。
我々は、逃避ではなく対決を選び、従属ではなく尊厳を選び、血と銃の団結を選んた。分断も傀儡化も選ばない。
シリア人の血を売り、祖国を政治の市場で売買したすべての者たちへ、お前たちは進むことはできない。この地は我々のもの、この戦いを決するのは我々自身だ。
シリアに掲げられる旗は、自由な人々の旗以外にはあり得ず、エルサレムへの道はダマスカスの門を通るものでなければならない。
戦いはまだ始まっていない。正義は、力と意志によってしか勝ち取ることはできない。
第1回臨時大会の開催は、シリアが直面している異常な状況に対応すべく開催された。国全体がまさに火山の火口の上に立たされているような状態にある。事実上の政府、残された土地をめぐって争う複数の占領者勢力、分断と宗派主義、そしてすべての当事者が内戦へと突入しようとしている状況だ。
大会の目的は、抵抗に向けた明確で新らしい立場を打ち出すことであり、曖昧さを排し、外部勢力の支配にも、現在の政治的幻想にも従わない。
統一軍事評議会は、敵の支配地域内外での展開や作戦実行が可能な堅固な中核を擁しており、現在はあらゆる地域の高潔で愛国的な勢力との連携・拡大段階にある。
この革命的攻勢は単なる反抗ではなく、交戦ルールの変化の始まりである。武装闘争の段階の到来だ。だが、それは無秩序ではなく、組織的であり、自らの敵を正確に理解している。

アブー・ジハード・リダー総司令官の本名、経歴は明らかではないが、シリア軍に25年あまりにわたり従軍し、軍の階級は高くはなく、パレスチナやレバノンの多くの組織とともに行動してきたが、政治的・軍事的なヴィジョンを構築し、2021年にこれらの組織と一線を画すようになったという。

また、臨時大会は首都ダマスカスの某所で開催され、約200人が一堂に会したという。

参加者の集合は月曜日の午前8時から始まり、全員が揃うまでに約12時間を要したという。

会議の閉幕にあたって、統一軍事評議会の設立を正式に発表し、占領下にあるすべての地域において、組織的かつ段階的な革命的攻勢の第1段階を開始し、イスラーム抵抗戦線をその中核と位置づけることが宣言された。

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