ワークショップ「シリアの移行期正義:展望と課題」が閉幕:あらゆるかたちの暴力、煽動、報復を断固拒否する必要性を強調(2025年5月15日)

SANAによると、ダマスカス大学のリダー・サイード会議センターで「シリアの移行期正義:展望と課題」と題されたワークショップが2日目の議事を終えて閉幕した。

ワークショップは、シリアにおける移行期正義の法的理解を深め、課題に取り組むことが目的で、法律家、弁護士、研究者らが参加、議論を行った。

2日目となる15日には、ヒンド・カバワート社会問題労働大臣も出席し、イブラーヒーム・ダッラージー氏(法律専門家)、アフマド・カルビー氏(シリア対話センター)、ラドワーン・ズィヤーダ氏(プロ・メディエーション機構シニア顧問)、サミーラ・ムサーラマ氏(ジャーナリスト)らが発言を行った。

ダマスカス大学のライアーン・カヒーラーン法学部が読み上げたワークショップの閉幕提言で、あらゆるかたちの暴力、煽動、報復を断固拒否する必要性を強調する一方、被害者とその遺族に正義をもたらし、シリア国民に対する犯罪や人権侵害に関与した者への処罰を確実にするため、移行期正義機構の設置、同機構にかかる法の制定と実施プロセスの活性化を求めることが確認された。

提言ではまた、移行期正義をシリア人自身の経験と能力に基づく「国民的産物」と位置づけたうえで、他国の経験や関連する国際機関の基準への理解を深めることを通じて、シリアで人材育成や訓練を進めて行くことが重要だと強調した。

さらに、移行期正義に関する国内法の制定を後押しする具体的な提案を行うための委員会を設立するよう求めるとともに、その際に憲法宣言の精神を踏まえつつ、学術的・研究的取り組みを移行期正義の諸課題へと向け、シリア社会の目標と利益に資するよう導くべきであると訴えた。


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