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EUは理事会決定第2025/1096号で、安全保障、前政権にかかわるものを除くシリアへの経済制裁を解除する一方、シャルア移行期政権に参加した武装勢力の指導者2人と3組織を新たに制裁対象に(2025年5月28日)

欧州連合(EU)は、シリアに対する制裁を定めたEU理事会決定第2013/255号の改正にかかるEU理事会決定(CFPS)第2025/1096号を5月27日付で発出した。

決定の全文は以下の通り:

ctions2025
欧州連合理事会決定(CFSP)2025/1096(2025年5月27日付)

シリア情勢を踏まえた制限措置に関する理事会決定2013/255/CFSPの改正

欧州連合理事会は、
欧州連合条約、特に同条第29条を考慮し、
欧州連合外務・安全保障政策上級代表からの提案を受けて、以下を考慮する:

(1)2013年5月31日、理事会は決定2013/255/CFSPを採択した(1)。
(2)2024年5月27日、理事会は決定(CFSP)2024/1510(2)を採択し、2013/255/CFSPの制限措置を2025年6月1日まで延長した。
(3)2025年2月24日、アサド政権崩壊後、理事会はエネルギー、運輸、再建分野での関与や、金融・銀行取引の促進を目的に、複数の制限措置を緩和した。
(4)同日、理事会はアサド政権、化学兵器関連分野および違法薬物取引に関連するリスト指定を維持する旨を宣言した。また、同国における情勢を注視しつつ、制限措置の一時停止の妥当性を継続的に検討するとし、包括的な移行、アサド政権の責任追及、人権・基本的自由の尊重、法の支配、国際法に沿った対応を求めた。
(5)2025年3月20日、欧州理事会は、外国の有害な干渉のない平和的かつ包括的な移行の重要性と、全ての民族・宗教的背景の市民の権利保護を強調した。
(6)2025年5月20日、理事会は、外国干渉のない新たな多元的で包括的なシリア再建を支援するため、対シリア経済制裁の解除を決定した。
(7)これに基づき、理事会は、安全保障上の理由に基づくものを除き、すべての分野別制限措置を解除すべきと判断した。
(8)アサド政権崩壊および暫定当局設立にもかかわらず、同国の不安定な状況は継続しており、アサドのネットワークはいまだに解体されず責任も問われていない。旧政権復活の危険があり、沿岸部での暴力事件がそれを裏づけている。
(9)アサドおよびマフルーフ両家とその関係者は、民間人への弾圧の責任を問われておらず、平和的移行の妨害を試みるリスクを伴う。
(10)旧政権下(2011年5月以降)の閣僚らは、当時の抑圧政策に連帯責任を有し、現在も移行過程に脅威をもたらしている。
(11)アサド政権に忠誠を誓う民兵や治安・諜報機関は、市民に対する弾圧や紛争激化の恐れがある。
(12)アサド政権崩壊後も、化学兵器関連施設が100ヵ所以上存在し、これらの破壊は市民保護のための優先課題である。
(13)アサド政権と関係のある実業家らは、依然として影響力を持ち、そのネットワークを維持されており、市民社会と平和的移行への脅威である。
(14)これらを踏まえ、制限措置の延長が必要であり、有効期限を2026年6月1日とする。
(15)よって、2013/255/CFSPの改正が必要である。

本決定を採択する:

(1)2013/255/CFSPは以下の通り改正される。
第27条 第1項および第2項は、以下のとおり差し替えられる。
1.加盟国は、シリアの民間人に対する暴力的な弾圧に責任を有する者、旧アサド政権から利益を得ている者またはそれを支援している者、ならびにこれらの者と関係のある者(附属書Iに記載)に対し、自国領域への入国または通過を防止するために必要な措置を講じなければならない。
2.加盟国は、理事会決定(CFSP)2015/1836(*1)の前文第5~12項および理事会決定(CFSP)2025/1096(*2)の前文第8~13項における、シリア情勢に関する理事会の評価および判断に従い、以下に該当する者に対しても、自国領域への入国または通過を防止するための必要な措置を講じなければならない。
(a)旧アサド政権と関係のある、シリアで活動する主要な事業家。
(b)アサド家、またはマフルーフ家の一員。
(c)2011年5月から2024年12月までの間に在任していた、シリア政府の閣僚。
(d)2011年5月から2024年12月までの間に在任していた、「大佐」またはそれに相当する以上の階級のシリア軍関係者。
(e)2011年5月から2024年12月までの間に在任していた、シリアの治安および情報機関の関係者。
(f)アサド政権に関連する民兵組織の構成員。
(g)化学兵器の拡散に関与している者。
および、これらの者と関係のある者(附属書Iに記載)。

(*1)2015年10月12日付 理事会決定(CFSP)2015/1836:シリアに対する制限措置に関する理事会決定2013/255/CFSPを改正する決定(官報 L 266、2015年10月13日、75ページ、ELI: http://data.europa.eu/eli/dec/2015/1836/oj)
(*2)2025年5月27日付 理事会決定(CFSP)2025/1096:シリア情勢を踏まえた制限措置に関する理事会決定2013/255/CFSPを改正する決定(官報 L、2025年5月28日、ELI: http://data.europa.eu/eli/dec/2025/1096/oj)

(2)第28条は以下のように改正される。
(a)第1項および第2項は、以下のとおり差し替えられる:

1.シリアにおける民間人に対する暴力的な弾圧に責任を有する者、旧アサド政権から利益を得ている者またはそれを支援している自然人および法人、ならびにこれらの者や団体と関係のある自然人および法人(附属書Iに記載)が所有、保有、管理、または支配するすべての資金および経済資源は凍結される。
2.理事会決定(CFSP)2015/1836の前文第5~12項および理事会決定(CFSP)2025/1096の前文第8~13項に示されたシリア情勢に関する理事会の評価および判断に従い、以下に該当する者や団体が所有、保有、管理、または支配するすべての資金および経済資源は凍結される:
(a)旧アサド政権と関係のある、シリアで活動する主要な事業家;
(b)アサド家、またはマフルーフ家の構成員;
(c)2011年5月から2024年12月までの間に在任していたシリア政府の閣僚;
(d)2011年5月から2024年12月までの間に在任していた、「大佐」またはそれに相当する以上の階級のシリア軍関係者;
(e)2011年5月から2024年12月までの間に在任していた、シリアの治安および情報機関の関係者;
(f)アサド政権に関連する民兵組織の構成員;
(g)化学兵器の拡散に関与する機関、部門、機構、団体または機関の構成員、およびこれらの者や団体と関係のある自然人または法人(附属書Iに記載)。

(b)第5項は以下のとおり差し替えられる:

5.附属書Iに記載されている自然人または法人、もしくはその利益のために、直接的または間接的に、いかなる資金または経済資源も提供してはならない。

(c)第6項(a)は以下のとおり差し替えられる:

(a)附属書Iに記載されている者およびその扶養家族の基本的な生活需要を満たすために必要なもの(食料品、家賃または住宅ローン、医薬品および治療、税金、保険料、および公共料金の支払いを含む)。

(d)第6項(h)は以下のとおり差し替えられる:

(h)附属書Iに記載されているシリア国有機関が、シリア・アラブ共和国に代わって、OPCW(化学兵器禁止機関)による検証任務および化学兵器の廃棄に関する活動に対して支払いを行うことを目的としたものであり、特に、シリア・アラブ共和国の領土外における化学兵器の完全な廃棄に関連する活動のためのOPCWシリア特別信託基金への支払いを含む。

(e)第7項(a)は以下のとおり差し替えられる:
(a)当該資金または経済資源が、附属書Iに記載された自然人または法人に関して、記載される以前に下された仲裁判断、または記載前後を問わず、連合内で下された司法的または行政的決定、または当該加盟国において強制執行可能な司法的決定の対象となっている場合。

(f)第7項(c)は、以下のとおり差し替えられる:
(c)その決定が、附属書Iに記載されている者または団体の利益を目的としたものでないこと。

(g)第9項は削除される。
(h)第13項は以下のとおり差し替えられる:
13.
第1項、第2項および第5項は、附属書Iに記載された金融機関によって、またはそれを通じて行われる凍結資産または経済資源の移転については適用されない。ただし、その移転が、附属書Iに記載されていない者または団体によって行われ、かつ、EU域内で教育、職業訓練、または学術研究に従事するシリア国民に対する財政支援に関連している場合に限る。また、関係加盟国が、個別に検討したうえで、当該支払いが第1項または第2項に該当する者または団体に直接的または間接的に渡らないと判断した場合に限る。
(i)第15項は削除される。
(j)第16項は削除される。

(3) 第28a条はは以下のとおり修正される。
(a)第2項は以下のとおり差し替えられる。

2.第28条第5項に定める禁止は、附属書Iに記載されている自然人または法人に対して、以下の目的で資金または経済資源が提供される場合には適用されない。公的機関、またはシリアで人道支援を行う、または同国の民間人に援助を提供するために公的資金を受け取っている法人・団体による提供であり、その提供がシリアでの人道支援または民間人援助のために石油製品を購入・輸送する、または関連する資金提供・金融支援を行うことのみを目的とする場合。

(b)第5項は以下のとおり差し替えられる:

5.第28条第5項に定める禁止は、附属書Iに記載されている自然人または法人に対して、外交または領事団によって資金または経済資源が提供される場合には適用されない。

(c)以下の段落が追加される:
7.第28条第1項、第2項および第5項にかかわらず、加盟国の権限当局は、附属書I「セクションB.団体」に記載された団体のうち番号42および43に対して、一定の凍結資産または経済資源の解放または提供を認可することができる。この認可は、加盟国政府機関との間で、再建、能力強化、テロ対策および移民分野における協力を目的とする場合であり、適切と認められる条件の下で行うことができる。
8.第7項に基づく認可申請の受理日から5営業日以内に関係当局から否定的判断、追加情報の要求、または期間延長の通知がない場合には、その認可は承認されたものとみなす。
9.認可を行った加盟国は、当該認可から4週間以内に、他の加盟国および欧州委員会にその内容を通知しなければならない。

(4)
第29条は以下のとおり差し替えられる:

第29条
補償、損害賠償、その他の請求(相殺の主張、罰金、保証に基づく請求、債券の延長または支払い、金融保証に関する請求、信用状や類似の文書に起因する請求など)を含むいかなる請求も、本決定により直接的または間接的に、全面的または一部的に履行が影響を受けた契約または取引に関連して、附属書Iに記載された指定対象の者または団体、またはシリア国内のその他の者または団体(シリア政府、その公的機関、企業、機構を含む、またはこれらの者や団体の名義・利益のために請求する者または団体)に対して認められない。

(5)第30条第1項は以下のとおり差し替えられる:

1.理事会は、加盟国または欧州連合外務・安全保障政策上級代表の提案に基づき、附属書Iのリストを作成し、これを改正する。

(6)第31条は以下のとおり差し替えられる:

第31条
1.附属書Iには、当該の者または団体を記載する根拠が記載される。
2.また附属書Iには、可能な限り、当該の者または団体を識別するために必要な情報も記載される。個人に関しては、氏名(別名を含む)、生年月日・出生地、国籍、旅券および身分証番号、性別、住所(判明している場合)、職務または職業が含まれ得る。団体に関しては、名称、登録地・登録日、登録番号、事業所所在地などが含まれ得る。

(7)第34条は以下のとおり差し替えられる:

第34条
1.本決定の適用期間は2026年6月1日までとする。ただし、常に見直され、理事会がその目的が達成されていないと判断する場合には、更新または適切に修正され得る。第28a条第1項から第4項における第28条第1項、第2項、第5項に関する例外は、定期的に、少なくとも12か月ごとに見直され、また、重大な情勢の変化があった場合には、加盟国、上級代表または欧州委員会の緊急要請により見直される。
2.理事会は、国連海洋法に従い、加盟国の海域内での主権的権利の侵害を防ぐことの重要性を強調する。加盟国の要請により、かかる侵害が発生した場合は、制限措置の継続的見直しの枠内で、直ちに当該制限措置の修正に向けた議論が開始される。
(8)第5条、第6条、第7条、第7a条、第8条~第26条、および第28b条は削除される。
(9)附属書IIは削除される。
(10)附属書IIIは削除される。

第2条 本決定は、欧州連合官報に掲載された翌日に発効する。

2025年5月27日、ブリュッセルにて作成
理事会を代表して
議長:A・シュワプカ

(1)2013年5月31日付 理事会決定2013/255/CFSP:シリア情勢を踏まえた制限措置に関する決定(官報 L 147、2013年6月1日、14ページ、ELI: http://data.europa.eu/eli/dec/2013/255/oj)
(2)2024年5月27日付 理事会決定(CFSP)2024/1510:シリア情勢を踏まえた制限措置に関する理事会決定2013/255/CFSPを改正する決定(官報 L、2024年5月28日、ELI: http://data.europa.eu/eli/dec/2024/1510/oj)

**

(EU)は、シリアに対する制裁を定めたEU理事会決定第2013/255号の改正にかかるEU理事会決定(CFPS)第2025/1110号を5月28日付で発出した。

決定の全文は以下の通り:

理事会決定(CFSP)2025/1110
2025年5月28日付

重大な人権侵害および虐待に対する制限措置に関する決定(共通外交・安全保障政策(CFSP)2020/1999)の改正

欧州連合理事会は、
欧州連合条約、とりわけその第29条を考慮し、
欧州連合外務・安全保障政策上級代表の提案を受けて、以下のとおり決定する。

前文(Whereas)
(1)2020年12月7日、理事会は理事会決定(CFSP)2020/1999(1)を採択した。
(2)2020年12月8日、欧州連合外務・安全保障政策上級代表(以下「上級代表」)による、EUグローバル人権制裁制度に関する欧州連合を代表する声明を通じて、EUおよび加盟国は、世界各地における人権の促進と保護に対する強いコミットメントを再確認した。EUグローバル人権制裁制度は、深刻な人権侵害および虐待への対応におけるEUの役割を強化するという決意を示すものであり、すべての人にとっての人権の実効的享受を実現することは、EUの戦略的目標である。人間の尊厳、自由、民主主義、平等、法の支配および人権の尊重は、EUの基本的価値であり、共通外交・安全保障政策の核心をなす。
(3)2025年3月、シリア沿岸部において暴力の波が発生し、多くの被害者が出た。民間人を含む多数が犠牲となった。2025年3月11日、上級代表はEUを代表して声明を発表し、その暴力の中で行われた民間人に対するおぞましい犯罪(恣意的な殺害など)を強く非難した。
(4)この状況を踏まえ、自然人2名および団体3件を、決定(CFSP)2020/1999の附属書に定められた対象リストに追加すべきである。
(5)したがって、決定(CFSP)2020/1999はこれに従って改正されるべきである。

本理事会は次の決定を採択した:

第1条
決定(CFSP)2020/1999の附属書は、本決定の附属書に従って改正される。

第2条
本決定は、欧州連合官報に掲載された日から効力を発する。

2025年5月28日、ブリュッセルにて作成
理事会を代表して
議長:A・シュワプカ

(1)2020年12月7日付 理事会決定(CFSP)2020/1999:深刻な人権侵害および虐待に対する制限措置に関する決定(官報 L 410 I、2020年12月7日、13ページ、ELI: http://data.europa.eu/eli/dec/2020/1999/oj)

附属書

決定(CFSP)2020/1999の附属書は以下のように改正される:

(1) 「A. 自然人」に以下の記載が追加される:
119.
ムハンマド・フサイン・ジャースィム
別名:アブー・アムシャ、ムハンマド・フサイン・ジャースィム、ムハンマド・ジャスィム・ビン・フサイン、モハメド・アルジャーセム
محمد حسين الجاسم
أبو عمشة
محمد حسين الجاسم
محمد الجاسم بن حسين
محمد الجاسم
役職等:
生年:1985年
出生地:シリア、ハマー県ジャウサ村
国籍:シリア
性別:男性
関係団体:スルタン・スライマーン・シャー旅団
ムハンマド・フサイン・ジャースィムは、スルタン・スライマーン・シャー旅団の創設者および指導者であり、同旅団はシリア内戦で活動している武装民兵組織である。
2025年3月、ムハンマド・フサイン・ジャースィムの指揮のもと、この旅団はシリア沿岸地域における暴力行為に参加し、特にアラウィー派コミュニティを含む民間人を標的とし、恣意的な殺害を実行した。
したがって、ムハンマド・フサイン・ジャースィムは、恣意的な殺害を含むシリアにおける深刻な人権侵害に責任がある。
掲載日:2025年5月28日

120.サイフ・ブーラード・アブー・バクル
別名:サイフ・バールード、サイフ・アブー・バクル、セイフ・エブ・ベキル、セイフ・エブベキル
سيف بولاد أبو بكر
سيف بولاد
سيف أبو بكر
役職等:
生年:1987~1988年
出生地:シリア、バーブ郡ブザーア村
国籍:シリア
性別:男性
関係団体:ハムザ師団
サイフ・ブーラード・アブー・バクルは、2016年に創設された武装民兵組織ハムザ師団の指導者であり、同師団はシリアで活動している。
シリア内戦を通じて、ハムザ師団はアフリーンやアレッポの地域において、同師団の拘束施設内での多数の拷問行為、恐喝、民間人の強制移住に関与してきた。
2025年3月には、サイフ・ブーラード・アブー・バクルの指揮のもと、沿岸地域における暴力行為に参加し、アラウィー派コミュニティを含む民間人を標的とし、拷問および恣意的な殺害を実行した。
したがって、サイフ・ブーラード・アブー・バクルは、拷問および恣意的な殺害を含むシリアにおける深刻な人権侵害に責任がある。
掲載日:2025年5月28日

(2) 「B. 法人・団体」に以下の記載が追加される:

34.スルタン・スライマーン・シャー師団
別名:スライマーン・シャー師団
فرقة السلطان سليمان شاه
関係人物:ムハンマド・フサイン・アル=ジャースィム
スルタン・スライマーン・シャー旅団は2016年に創設された武装民兵組織であり、シリア内戦において活動している。
創設者はムハンマド・フサイン・アル=ジャースィム(アブー・アムシャ)であり、主にトルクメン系戦闘員からなる約2,000名の兵力を有するとされている。
2025年3月、この旅団はシリア沿岸地域での暴力行為に参加し、民間人、特にアラウィー派コミュニティを標的に恣意的な殺害を行った。
したがって、スルタン・スライマーン・シャー旅団は、民間人の恣意的な殺害を含む深刻な人権侵害に責任がある。
掲載日:2025年5月28日

35.ハムザ師団
فرقة الحمزة
関係人物:サイフ・ブーラード・アブー・バクル
ハムザ師団は2016年に創設された武装民兵組織で、シリアにおいて活動している。
同師団はシリア内戦を通じて、拘束施設での多数の拷問、恐喝、民間人の強制移住に関与してきた(特にアフリーンおよびアレッポの地域において)。
2025年3月、同師団は沿岸地域の暴力行為に関与し、民間人やアラウィー派住民を標的に恣意的な殺害を行った。
したがって、ハムザ師団は、拷問および民間人の恣意的な殺害を含む深刻な人権侵害に責任がある。
掲載日:2025年5月28日

36.
スルターン・ムラード師団
فرقة السلطان مراد
スルターン・ムラード師団は2013年に設立された武装民兵組織で、シリア内戦中に活動している。
この師団はシリア国民軍(SNA)に所属しており、5,000〜10,000人の兵力を有するとされる。
アサド政権崩壊前、この師団はクルド系住民やシリア民主軍(SDF)を標的とした作戦に参加し、拷問、恣意的拘束、強制失踪、囚人の虐待などを行った。
また、リビア、ナゴルノ・カラバフ地域、ニジェールなど、シリア国外での軍事作戦にも参加した。
2025年3月には、沿岸地域での暴力行為に加担し、民間人、とりわけアラウィー派を標的に非人道的な扱いや恣意的殺害を行った。
したがって、スルターン・ムラード師団は、拷問、非人道的扱い、民間人の恣意的殺害を含む深刻な人権侵害に責任がある。
掲載日:2025年5月28日

ELI: http://data.europa.eu/eli/dec/2025/1110/oj
ISSN 1977-0677(電子版)

**

なお、ムハンマド・フサイン・ジャースィム氏は、シャルア移行期政権の国防省によって創設されたシリア軍の准将で、第25師団司令官を務めている。

また、シャームの民のヌスラ戦線、シャーム・ファトフ戦線、シャーム解放機構、トルキスタン・イスラーム党、アブー・ムハンマド・ジャウラーニー(シャルア暫定大統領)などについては、アル=カーイダのネットワークに対する制裁を定めた欧州共同体理事会規則 第881/2002号(2002年5月27日付)および同規則の修正を定めた一連の欧州委員会実施規則(EU)において制裁対象に指定されている。

(C)青山弘之 All rights reserved.

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