シャルア暫定大統領のインタビュー記事が『ジューイッシュ・ジャーナル』に掲載:「シリアとイスラエルには共通の敵がいる」(2025年5月31日)

『ジューイッシュ・ジャーナル』は、アフマド・シャルア暫定大統領へのインタビューを行ったジョナサン・バース氏の記事を掲載した。

記事中のシャルア暫定大統領の発言は以下の通り。

我々はゼロから始めているのではない。深淵から始めているのだ。
我々が受け継いだのは瓦礫だけではない。心の傷、不信、疲弊もだ。だが同時に希望も残されていた。脆いが、確かに存在する希望だ。
まっさらな状態だと語るのは不誠実だ。過去は、すべての人の目の中に、すべての通りに、すべての家族に、今もなお存在している。だが私たちの責任は、その過去を繰り返さないことだ。たとえより穏やかなかたちであっても。それではいけない。まったく新しいものを創り出さなければならないのだ。
もし私ひとりしか話していないのなら、それはシリアが何も学んでいないということだ。我々はあらゆる声をテーブルに招いている。世俗派も、宗教者も、部族も、学者も、農村も都市も。国家は、これからは命令するのではなく聞かなければならないのだ。
私は信頼を求めているのではない。私は忍耐と監視を求めている。私を、そしてこのプロセスを“問い続けてほしい”。そこから信頼は生まれる。
働くことで得られる尊厳、そして目的をもった平和(が求められているの)だ。
これ(緊急経済プログラム)はもはやイデオロギーではない。人々にここにとどまる理由、生きる理由、信じる理由を与えることだ。
安定したシリアは、演説やスローガンでは築けない。市場で、教室で、農場で、工房での行動によって築かれるのだ。我々はサプライチェーンを再構築する。シリアは再び交易と商業の拠点となるだろう。
職がある若者が1人いれば、それだけで過激化のリスクは1人減る。学校に通う子どもは、それ自体が未来への一票だ。
はっきりさせておきたい。報復の連鎖は終わらせるべきだ。空が恐怖に満ちていては、どの国も繁栄しない。現実には、我々には共通の敵がいる。地域の安全保障において、両国は主導的な役割を果たし得る。
シリアのドゥルーズ派は駒ではない。彼らは市民であり、歴史的に忠誠を誓ってきた。そして法の下であらゆる保護を受けるべきだ。その安全は交渉の対象にならない。
平和は恐怖によってではなく、相互の尊重によって築かれなければならない。誠実さと共存への明確な道筋がある場所でのみ対話に応じる。そうでなければ退く。
メディアがどう描こうと、私は彼(トランプ大統領)を平和の人と見ている。我々は同じ敵に撃たれてきた。トランプ大統領はレバレッジと力、そして結果を理解している。シリアには率直な仲介者が必要だ。もし地域の安定や米国およびその同盟国の安全に資する一致点があるなら、私はその対話に臨む覚悟がある。彼こそがこの地域を一つにまとめ、レンガ一つずつで築き直せる唯一の人物だ。
これ(復興)はおとぎ話ではない。回復だ。そして回復は痛みを伴うものだ。
シリアの主権はシリア人の合意から始まる。
我々は駒にも、要塞にもならない。正統性によって統治される国家を目指す。米国とは、統治、汚職撲滅、正直さと誠実さに基づく制度構築で協力していきたい。
私は支配するためにこの地位を求めたのではない。この歴史を他人任せにして破壊されるよりは、自ら書く側になりたかったのだ。我々には成功しか選択肢がない。シリアを再び偉大な国にしなければならない。

(C)青山弘之 All rights reserved.

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