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バッラク在トルコ米大使兼務シリア担当特使:シリア政府への統合プロセスへのシリア民主軍の対応の遅さを批判する一方、シリアから性急に撤退することは望まないと主張(2025年7月9日)

トーマス・バッラク在トルコ米大使兼務シリア担当特使は、ルダウ・チャンネルのインタビューに応じ、によると、アフマド・シャルア移行期政権がシリア民主軍を国家機構に統合することに「信じられないほど積極的」であると述べたうえで、自身が「一つの国家、一つの民族、一つの軍、一つの政府」という原則のもとでの統合を支持していると語った。

また、バッラク大使は、これに対して、シリア民主軍側の対応が遅いと批判し、「進展するにはダマスカスへの道しかない」と強いメッセージを送った。

バッラク大使は以下の通りのべた。

シリア政府は、シリア民主軍を国家制度に組み込むという点で、非常に前向きかつ寛大な姿勢を示している。にもかかわらず、シリア民主軍側の応答と交渉の進行は鈍く、前進が見られない。私の助言は明快だ。道は一つしかない、それはダマスカスへ向かう道だ。
マルコ・ルビオ国務長官が語ったのは、イラクもシリアも国家であり、その中に存在するクルド人という素晴らしく、尊重すべき人々の文化や言語、教育が守られるべきだという趣旨であって、独立クルディスタンを意味するものではない。
複数の文化や民族的伝統を包摂しつつ、国家として機能するには、時間と適応が必要だ。だが今、世界は急速に動いており、シリアにとってこの瞬間が千載一遇の機会だ。分裂や妥協ではなく、「一つの国、一つの民族、一つの軍、一つのシリア」という結論にたどり着かねばならない。

一方、バッラク大使は、クルディスタン24の取材にも応じ、そのなかでシリア民主軍が「米国にとっての重要かつ積極的なパートナー」であると強調し、シリア民主軍のシリア政府への統合を確実にする方針を明言した。

バッラク大使は以下の通り述べた。

我々はシリアからの米軍撤退や増派を検討しているのではなく、むしろシリアにおける我々のプレゼンスを強化することに注力している…。新しいシリア政府に全面的な信頼を寄せている。
シリアから性急に撤退することは望まない。
「シリア民主軍にとってこのプロセス(シリア政府への統合)が困難であることは承知しているが、彼らにとって唯一の道はダマスカスに向かうことである。

(C)青山弘之 All rights reserved.

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