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バッラク在トルコ米大使兼務シリア担当特使:「シリア民主軍の分離独立国家樹立を支持していない」(2025年7月12日)

トーマス・バッラク在トルコ米大使兼務シリア担当特使は、サウジアラビア系英字メディアのアラブ・ニュースのインタビューに応じて、アメリカによる対シリア制裁の解除が「戦略的な新たな始まり」であると述べ、シリアの分裂や連邦化といったいかなる形態にも反対する米国の立場を改めて表明した。

バラク大使は、「ドナルド・トランプ大統領の政権が5月13日に制裁を解除したのは、10年以上にわたる戦争の末に、シリア国民に新たな希望を提供することが目的だった」と語った。

また中東地域について、「驚くべき歴史的な時代における、複雑な課題」であると表現した。

バラク大使はさらに、「トランプ大統領のメッセージは平和と繁栄だ」と述べ、今回の政策転換は新たなシリア政府に国家再建の機会を与えることを意図していると説明した。そのうえで、アメリカのシリア介入の本来の目的は、イスラム国(ダーイシュ)との戦いであったと付け加えた。

バラク大使は、「米国はシリアでの連邦制モデルの導入に反対しており、国には一つの軍隊と一つの政府が必要だ」と強調し、「シリアは一つの国家であり続ける」と述べた。さらに、「自治権を持つ分離地域」の設置の可能性を否定し、「米国は条件を押し付けることはないが、“分離的な結果”を支持することはない」と明言した。

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米国務省によると、トーマス・バッラク在トルコ米大使兼務シリア担当特使は7月11日夜(シリア時間7月12日)の夜、ニューヨークで一部記者団らに対して、シリア民主軍の分離独立国家樹立を支持していないと明言した。

バッラク大使は以下の通り述べた。

米国がシリア民主軍を支援していることは、シリアに自由クルディスタンやシリア民主軍の国家、あるいはアラウィー派の国家やドゥルーズ派の国家の建設を意味するものではない。
すべてはシリアという一つの国家の枠内にあり、シリアには独自の憲法と議会が設けられることになる。
我々は彼ら(シリア民主軍)に恩義があるが、その恩義が独立した自治体制の承認という意味であってはならない。
対シリア制裁の解除は、戦争に引き裂かれたこの国にとって戦略的な新たな出発点であり、米国は地域に国家や連邦制を構築することを目的としていない。
(制裁解除)は10年以上続いた内戦の後に、シリア国民に新たな希望を与えるためであった。
シリアはひとつの軍、一つの政府を有する統一国家であるべきだ。

(C)青山弘之 All rights reserved.

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